<3年時代>
 
 3年時代はS子の顔つきに変化が見えてきた。愛らしい目つきでこちらに集中していると私は感じた。また今まで以上に学校や担任に対する信頼感というものを持つようになってきた。球技大会のバレーボールにも積極的に参加し、彼女は大変活躍した。また、秋の文化祭に「コント」をやりたいと言い出してきた。S子はM子とコントをどうしてもやりたいとのことだったので、クラスの承認をとり、結局、B組として「フリーマーケット」と「コント」を行うことになった。彼女等は一生懸命に練習をした。その結果、文化祭の当日はS子等のコントを1時間も行うことになった。しかも、大成功であった。また、アンコールの声もかかるほどであった。このようなS子を通してクラスに活気が見え始めてきた。その後、我が3年は修学旅行の行事を実施した。B組は修学旅行に25名が参加した。S子はバスの中では歌を歌うなど活気をもたらせた。また、S男は帰りの飛行機の中では担任に「先生、記念写真を一緒にとろうぜ!!」と言ってきた。また、文化祭でもB組の出し物は優秀賞を獲得した。S子に、S男にと関わりながら、真のリーダーが出てきた。しかし、彼らは実行力という課題を残していた。

<4年時代> 
 
 安心・信頼・自信という言葉が生徒には理解できたようである。それは生徒の動きからも分かった。S子は4年に進級が出来たということが相当嬉しいのか、係を決める際に担任にすべての係を助ける応援係(全員に係をつけさすために作ったクラスの役員の1つである。)を申し出てきた。その時、私は担任の心が浸透してきたと思った。常々、私は自分だけではなく、他の人達のことも考えられる思いやりのある生徒になってほしいと言ってきたからである。
 5月の球技大会では、2度目のバスケットの優勝を獲得した。中でも、4年になってからの優勝が担任としては嬉しかった。最高学年として下級生にお手本を示す時期でもあったからである。
 2学期になると、文化祭、体育祭がある。しかし、それよりも、ただ日常の学校生活を今まで通り、リズムをつけていくことだと思った。リズムを持っていれば、自ずと文化祭・体育祭に拍車がかかると信じていたからである。文化祭では最後の年なので、やはり今までの締めくくりとしても、上級生らしいものを下級生へのプレゼントとして残したいというのが担任の考えであった。もし、これを達成できるなら、1つの土台を築いたことになると思っていたからである。
 まず、B組は文化祭実行委員会が何をやるのか尋ねた。しかし、誰も反応がなかった。再び、文化祭実行委員会やクラスの議長がクラス全員に文化祭の出し物を聞いた。その後、様々な提案があった。そこで、担任から最後の思い出としての出し物を、例えば、クラス展示などを考えたらどうであるかとアドバイスした。はじめはクラス全員が躊躇した。しかし最後には全員が了承した。

●文化祭
 S子はコントに取り組んだ。一方、クラスのリーダー数人がクラスの展示である「今時の高校生の実態」というテーマで、アンケートを全校から取ったものを模造紙に書きまとめた。そのアンケートの中味は生徒のおこずかい、携帯電話の平均使用料金、性などについてであった。当然、そのアンケートを書き上げるまでの中でも友人関係でいろいろ言い合いをした。完成するまでにはずいぶん時間がかかった。しかし、その作業過程も生徒達には人間関係のいい勉強になったようであった。その結果、文化祭当日にはS子の他に男子のリーダーが出てくるようになった。

●体育祭
 S子は4年最後の800メートル競争で1位を獲得した。しかし、S子だけではない。他の女子、男子多数も好成績を収めた。最後の年を有意義に過ごすようにと言ってきたこともあるが、これほどまでにB組の活気を帯びてきたのは始めてであった。S子に関わってきたことが、他の生徒にも影響を与え、思いやりのある、活気のあるクラスに少しずつなってきた。S子の存在から本当に力のある生徒がリーダーとして登場してきた。そのリーダーがクラスのことを心配したり、最後には弁論大会に参加したりした。