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※検証しやすいようにと管理人の方で小説内に区切りを設けています。

盗作作品 原作(一部抜粋)

「しかし・・どうして盗賊退治のような簡単な任務を、私とパーシヴァル様が受けることになったのでしょうか」

 あの後、盗賊の一人に「気持ちがとってもよくなる薬」を投与し、その自白効果によってアジトを聞きだした二人はその場所に向かっていた。 因みにその盗賊がどうなってしまったかは……言わぬが華だろう。  村を出て南下し、小さな名も無き山の麓へと向かう。話によると、そこに洞窟があってアジトになっているらしい。  森の中に一本通った道を二人並んで歩く。木漏れ日の中 葉擦れの音と小鳥の声が耳に心地よく、なんとものんきで麗らかな午後だった。  レティシアは続ける。

「普通、盗賊退治は警備隊の仕事でしょう?騎士団がでしゃばるのは、変です」

 レティシアの問いはもっともだった。ここゼクセン連邦では普通、盗賊退治などといったことは警備隊の仕事だ。 ゼクセン騎士団はどちらかといえば戦の専門家なので、分野が別である。  パーシヴァルがお決まりのポーズを取る。

「しっかし、どうして盗賊退治みたいな簡単な任務をあたしとレガートが受けることになったのかしら」
 あの後、盗賊の一人に「気持ちがとってもよくなる薬」を投与し、その自白効果によってアジトを聞きだした二人はその場所に向かっていた。因みにその盗賊がどうなってしまったかは……言わぬが華だろう。
 村を出て南下し、小さな名も無き山の麓へと向かう。話によると、そこに洞窟があってアジトになっているらしい。
 森の中に一本通った道を二人並んで歩く。木漏れ日の中、葉擦れの音と小鳥の声が耳に心地よく、なんとものんきで麗らかな午後だった。
 シャスタは続ける。
「普通、盗賊退治って警察隊の仕事じゃない。魔導師ギルドがでしゃばるの、変よ」
 シャスタの問いはもっともだった。ここアルクード王国では普通、盗賊退治などといったことは警察隊の仕事だ。魔導師ギルドはどちらかというと、もっと特殊な任務を請け負う。遺跡の調査や発掘、封印の解除など。もちろん、魔物の討伐などもするが。
 レガートが眼鏡をずり上げる。

「貴女は聞いていないのですか?」

「何を?」

 何も分かっていないレティシアに、パーシヴァルはため息と共に告げた。

「今度の盗賊は、紋章術が使えるらしいですよ。それも召還魔法です」

「ええ!?」

 レティシアは驚いて眉を跳ね上げてしまった。  召還魔法とは、異世界から魔物を呼び出す術だ。行使は紋章術の中でも比較的難しい部類に入り、習得するにはある種の才能がいる。

「ずいぶん変わった盗賊なんですね……」

「全くです。ですから、紋章術の使える私や貴女が遂行者に選ばれたのでしょう」

(そうか・・クリス様とサロメ様は最近色々と御忙しい様だから、適任は私達しかいない、というわけね)

「あなたは聞いていないのですか?」
「何を?」
 何も分かっていないシャスタに、レガートはため息と共に告げた。
「今度の盗賊は、魔法が使えるらしいですよ。それも召還魔法です」
「ええ!?」
 シャスタは驚いて眉を跳ね上げてしまった。
 召還魔法とは、異世界から魔物を呼び出す魔法だ。行使は魔法の中でも比較的難しい部類に入り、習得するにはある種の才能がいる。
「ずいぶん変わった盗賊ね……」
「全くです。ですから、「神剣」の私やあなたが遂行者に選ばれたのでしょう」
「そっか……召還魔法使いじゃ、ちょっと「迅雷」や「黒羽」には荷が勝ちすぎるね」
 納得して呟くシャスタ。
 「神剣」、「迅雷」、そして「黒羽」とは魔導師ギルドの中の階級を差す呼称だ。魔導師ギルドには六階級あり、上からギルド長、神剣、甲殻、黒羽、迅雷、そして呼称なしの平になる。当然のごとく、上の階級の人間は実力も比例して高い。
 レガートはその中でも神剣に属する人間だ。つまり、ギルドの中ではかなり高い位置にいることになる。
 因みにシャスタには階級がない。彼女はギルドの中でも特殊な位置付けにいる人間だった。

「色々と話しているうちに、どうやら目的の場所についたようですよ」

 パーシヴァルが小さな声でささやいて、レティシアに注意を促した。彼の視線の先を見、レティシアも気を引き締めた。

「ここからはどうするのですか? パーシヴァル様」

 盗賊の自白したとおり、二人の目の前に洞窟が現れた。入り口の前を二人の男が油断なく見張っている。  取り合えず、素早く近くの木陰に身を潜め、二人は段取りを打ち合わせる。  相手は当然、複数いるだろう。そして正確な人数が分からない。対して、こちらはたった二人。何も考えずに乗り込むのはいささか無謀だ。  いかに二人の実力が優れていても、数の暴力を侮っては痛い目をみることになる。  パーシヴァルは愛用の剣の柄を握り締めながら黙考し、言った。

「色々と話しているうちに、どうやら目的の場所についたようですよ」
 レガートが小さな声でささやいて、シャスタに注意を促した。彼の視線の先を見、シャスタも気を引き締めた。

「どうするの? レガート」
 盗賊の自白したとおり、二人の目の前に洞窟が現れた。入り口の前を二人の男が油断なく見張っている。
 取り合えず、素早く近くの木陰に身を潜め、二人は段取りを打ち合わせる。
 相手は当然、複数いるだろう。そして正確な人数が分からない。対して、こちらはたった二人。何も考えずに乗り込むのはいささか無謀だ。
 いかに二人の実力が優れていても、数の暴力を侮っては痛い目をみることになる。
 レガートは愛用の杖を握り締めながら黙考し、言った。

「一番いいのは山ごと崩すことなんですが……そんなことしたら、 あの盗賊にさらわれて働かされているあの村の娘さん達も生き埋めになりますね」

 恐ろしいことをあっさりといってのけるパーシヴァルに、しかしレティシアは驚きもしない。  それどころか。

「多少の犠牲は仕方ないっていうのは駄目なんですか?」

 女神のような顔で、より恐ろしい事を言ってくる。もし他人が彼女の顔を見ながらこの言葉を聞いたら、絶対に空耳だと思うだろう。  パーシヴァルは付き合いもそれなりに長く、そんな彼女の性格を熟知しているので気にもしないし……、

「駄目です。そうしたいのは山々ですが、さすがに山一つを崩すと始末書が大変ですから。ゼクセの自然保護団体にも訴えられてしまいます」

 パーシヴァル自身、人命を最優先する考え方を持った人間ではなかった。

「一番いいのは山ごと崩すことなんですが……そんなことしたら、あの盗賊にさらわれて働かされているあの村の娘さん達も生き埋めになりますね」
 恐ろしいことをあっさりといってのけるレガートに、しかしシャスタは驚きもしない。
 それどころか。
「多少の犠牲は仕方ないっていうのは駄目なの?」
 女神のような顔で、より恐ろしい事を言ってくる。もし他人が彼女の顔を見ながらこの言葉を聞いたら、絶対に空耳だと思うだろう。
 レガートは付き合いも長く、そんな彼女の性格を熟知しているので気にもしないし……、
「駄目です。そうしたいのはやまやまですが、さすがに山一つを崩すと始末書が大変ですから。自然保護団体にも訴えられてしまいます」
 レガート自身、人命を最優先する考え方を持った人間ではなかった。

「そっか……自然保護団体は煩いわね……うーん」

口調が普段の物に戻っている。恐らく本心で言ったからだろう。   「じゃあ、やっぱり一気に踏み込んで各個撃破しかないですね」

 レティシアがそういうと、パーシヴァルは唸った。  それしか方法が無いことは最初から明白だったにも関わらず、パーシヴァルはなるべくならその方法をとりたくなかったのだ。  レティシアをじっと見つめて、ため息をつく。

「そのようですね……仕方ありません」

 パーシヴァルの言葉にレティシアは頷いた。

「何だか、相談しただけ時間の無駄だったようですね。さくさく終わらせて早く帰りましょう」

 レティシアの言葉に不安を抱いたパーシヴァルだったが、ここでじっとしていても仕方なかった。

「そっか……自然保護団体は煩いわね……うーん」
 どうでもいいことだがアルクード王国の自然保護団体「森の光と命の水」とやらは、しょっちゅう魔導師ギルドに圧力をかけているのだ。理由は簡単、魔導師が強力な魔法で地形を変えてしまったり、森を焼き払ったりすることが多いから。
「じゃあ、やっぱり一気に踏み込んで各個撃破しかないじゃない」
 シャスタがそういうと、レガートは唸った。
 それしか方法が無いことは最初から明白だったにも関わらず、レガートはなるべくならその方法をとりたくなかったのだ。
 シャスタをじっと見つめて、ため息をつく。
「そのようですね……仕方ありませんか」
 レガートの言葉にシャスタは頷いた。
「何か、相談しただけ時間の無駄だったわね。さくさく終わらせて早く帰りましょう」
 シャスタの言葉に不安を抱いたレガートだったが、ここでじっとしていても仕方なかった。

「ごめんなさいね」

レティシアは小さな声で呟くと、見張りの盗賊に素早く駆け寄り、首の後ろを手刀で一撃した。 う、と小さくうめいて倒れる盗賊。もう一人の方は、パーシヴァルが得意のハイキックで昏倒させた。  意を決して洞窟に踏み込み……二人は入り口から数歩の所で足を止めた。

「あの、パーシヴァル様……」

「分かっている。……血の臭い、だな」

 二人は顔を異臭に歪めた。濃密な血の臭いが洞窟を満たしている。  レティシアが口元を押さえた。耐えられるレベルではなかった。慌てて洞窟から出、胃の中身を吐いてしまう。 パーシヴァルはその背をさすった。

「ごめんなさいね」
 シャスタは小さな声で呟くと、見張りの盗賊に素早く駆け寄り、首の後ろを手刀で一撃した。う、と小さくうめいて倒れる盗賊。もう一人の方は、レガートが得意のハイキックで昏倒させた。
 意を決して洞窟に踏み込み……二人は入り口から数歩の所で足を止めた。
「ねぇ、レガート……」
「分かってます。……血の臭いですね」
 二人は顔を異臭に歪めた。濃密な血の臭いが洞窟を満たしている。
 シャスタが口元を押さえた。耐えられるレベルではなかった。慌てて洞窟から出、胃の中身を吐いてしまう。レガートはその背をさすった。

「げほっげほっ……」

「貴女程の鈍感な人間で吐くのですから、相当な数の人間が死んでますね」

「パーシヴァル様は……平気なのですか? 信じられない」

 パーシヴァルはその言葉に苦笑を零した。

「私は慣れていますから」

 それは複雑な気持ちの入り混じった言葉だった。レティシアがそれに気付く。

「ごふっ……」
「あなた程の鈍感な人間で吐くのですから、相当な数の人間が死んでますね」
「レガートは……平気なの? 信じられない」
 レガートはその言葉に苦笑を零した。
「私は慣れていますから」
 それが複雑な気持ちの入り混じった言葉だということに、シャスタは気がつかなかった。

「パーシヴァル様…?」

妙に艶っぽい声。パーシヴァルは自然に目線を下げた…が、はっと我に帰る。

(該当する部分なし)

「どうしますか? ここで場違いな案山子のようにぼうっと待っていたいのなら、私一人で中を調査してきますが」

「…………勿論、私も行きます」

 素直に休め、と言わない上司にレティシアは睨むような視線を送った。パーシヴァルは肩を竦めた。

「どうしますか? ここで場違いな案山子のようにぼうっと待っていたいのでしたら、私一人で中を調査してきますが」
「……あんたって、言うことにやっぱりとげがあるわよね……行くわよ」
 素直に休め、と言わないレガートにシャスタは睨むような視線を送った。レガートは肩を竦めた。彼なりに心配していった言葉だったのだ。

(危ない所だった・・な。やれやれ、本当に鈍感なお嬢さんだ)

一人苦笑するパーシヴァルを、レティシアは頭に?を浮かべて眺めていた。

(該当する部分なし)

 もう一度洞窟に踏み込んだ二人は中の惨状に眉を潜めた。  パーシヴァルが作った明かりに映し出された光景は、あまりにも無残なものだった。  とにかく転がっているのは、死体、死体、死体……。  顔から上が無いものをあれば、両腕がちぎれてしまっているものもいる。既に原型を留めていない、挽肉状態のものもあった。 床や壁は大量の血にぬめり、さながら地獄絵図を作り出している。  死体の中には、ここの盗賊団の人間はもちろん、救いの無いことに、村からさらわれてきたと思しき娘達の死体も転がっていた。

 もう一度洞窟に踏み込んだ二人は中の惨状に眉を潜めた。
 レガートが作った魔法の明かりに映し出された光景は、あまりにも無残なものだった。
 とにかく転がっている、死体、死体、死体……。
 顔から上が無いものをあれば、両腕がちぎれてしまっているものもいる。既に原型を留めていない、挽肉状態のものもあった。床や壁は大量の血にぬめり、さながら地獄絵図を作り出している。
 死体の中には、ここの盗賊団の人間はもちろん、救いの無いことに、村からさらわれてきたと思しき娘達の死体も転がっていた。

「なんて、ひどい……」

 再び襲い掛かってきた吐き気が、その光景で吹っ飛んでしまう。レティシアはそれだけ言って、硬直した。

「生存者がいるかどうか確かめよう。突っ立っているだけでは何も分からないからな」

 パーシヴァルの一言で我に返る。彼はいつでも憎らしいほどに冷静だ。

「そ、そうですね」

「ひど……」
 再び襲い掛かってきた吐き気が、その光景で吹っ飛んでしまう。シャスタはそれだけ言って、硬直した。
「生存者がいるかどうか確かめましょう。突っ立っているだけでは何も分かりません」
 レガートの一言で我に返る。レガートはいつでも憎らしいほどに冷静だ。
「そ、そうね」

そういえば、真面目に任務をこなしている時、彼の口調は微妙に変化する。 丁寧な感じに変わりは無いが、それでもどこか・・

(安心する…んだよね)

(該当する部分なし)

 予想外の事態だった。盗賊を退治しようとしたら、既にもう全滅しているなんて。  二人が手早くあちこちを見回ると、たった一人だけだったが、生存者を見つけることが出来た。  見つかったのはぼろぼろのフードを身に纏った男。  その男も、肩から大量の血を流している。急所は外しているが、この出血では放っておけば確実に死ぬ。  パーシヴァルは厳しくその男を見つめると、言った。

「貴方が盗賊のリーダーですね」

「え、そうなんですか?」

レティシアの問いにパーシヴァルは確信をもって頷く。

「恐らくは。レティシアにも分かるだろう? この男には紋章術を使った後の残り香が染み付いている」

 強力な魔法を使った後には、どうしても魔力の残滓が体に残る。多少紋章術を使い慣れていれば、それを感じ取ることができる。

 予想外の事態だった。盗賊を退治しようとしたら、既にもう全滅しているなんて。
 二人が手早くあちこちを見回ると、たった一人だけだったが、生存者を見つけることが出来た。
 見つかったのはぼろぼろのフードを身に纏った男だ。
 その男も、肩から大量の血を流している。急所は外しているが、この出血では放っておけば確実に死ぬ。
 レガートは厳しくその男を見つめると、言った。
「あなたが盗賊のリーダーですね」
「え、そうなの?」
 シャスタの問いにレガートは確信をもって頷く。
「恐らくは。あなたにも分かりませんか? この男には魔法を使った後の残り香が染み付いている」
 強力な魔法を使った後には、どうしても魔力の残滓が体に残る。優れた魔法使いならばそれを感じ取ることができる。

「それは分かりますが、でもどうして・・」

「この惨状は、恐らくこいつが召喚魔法を使ったから起きたものだ。術者の体は発動時に発生する防壁によって守られるからな。 暴走した召喚獣が襲い掛かってきても、辛うじて術者だけは助かる」

 レティシアはその言葉でパーシヴァルの言わんとしていることを理解した。

「つまり、この方が召喚魔法を失敗させて、召喚獣を暴走させてしまった…と」

「まあ、そういうことだな」

「それは分かるけど、でもどうして」
「この惨状は、恐らくこいつが召還魔法を使ったから起きたのでしょう。術者の体は魔法発動時に発生する防壁によって守られますからね。暴走した召還獣が襲い掛かってきても、辛うじて術者だけは助かる」
 シャスタはその言葉でレガートの言わんとしていることを理解した。
「つまり、こいつが召還魔法を失敗させて、召還獣を暴走させちゃったのね」
「まあ、そういうことでしょうね」

 強力な魔法の行使は、それだけで強力な防壁を同時に行使することになる。 その防壁のおかげで術者はどんな強力な魔法を使っても死なないし、傷つかない。 爆発の魔法などの攻撃魔法が術者を傷つけないのはそのためだ。  しかしこの男はかなりの怪我を負っている。パーシヴァルはそのことから召喚獣の暴走が起きたことを推察した。

 強力な魔法の行使は、それだけで強力な防壁を同時に行使することになる。その防壁のおかげで術者はどんな強力な魔法を使っても死なないし、傷つかない。爆発の魔法などの攻撃魔法が術者を傷つけないのはそのためだ。
 しかしこの男はかなりの怪我を負っている。レガートはそのことから召還獣の暴走が起きたことを推察した。

「貴方は、ご自分で制御も出来ない程のものを召喚しましたね?  その結果、呼び出した召喚獣に襲い掛かられ、不完全な術の防壁では攻撃を防ぎきれず、傷を負った」

 男はうめいた。質問には答えず、か細い声で助けてくれ、と繰り返す。 レティシアもパーシヴァルも呆れてしまった。

「何を召喚したのです? そして、それはどこに行ったのですか?」

「助けてくれ……俺は、俺は……」

 情けない男に、パーシヴァルは非情に言い切る。

「私達はあなたを助けに来たわけではありません」

 あまりの言葉に盗賊は今度はレティシアを見る。彼女の顔は美しく、女神のように清らかだ。 盗賊は彼女なら助けてくれると信じて泣きついた。

「あなたは、ご自分で制御も出来ないほどのものを召還しましたね? その結果、呼び出した召還獣に襲い掛かられ、不完全な術の防壁では攻撃を防ぎきれず、傷を負った」
 男はうめいた。質問には答えず、か細い声で助けてくれ、と繰り返す。
 シャスタもレガートも呆れてしまった。
「何を召還したのです? そして、それはどこに行ったのですか?」
「助けてくれ……俺は、俺は……」
 情けない男に、レガートは非情に言い切る。
「私達はあなたを助けに来たわけではありません」
 あまりの言葉に盗賊は今度はシャスタを見る。彼女の顔は美しく、女神のように清らかだ。盗賊は彼女なら助けてくれると信じて泣きついた。

「助けてくれよ……俺は頼まれてやっただけなんだよ、俺は何も悪くない、悪くないんだ」

 レティシアはその言葉を聞き、微笑を浮かべた。優しい、聖女のような笑みだ。パーシヴァルは隣で嘆息した。

(全く、彼女は自分の顔の使い道をよく知ってる。クリス様と違い、変な所で敏感なんだから…困った物だ)

「助けてくれよ……俺は頼まれてやっただけなんだよ、俺は何も悪くない、悪くないんだ」
 シャスタはその言葉を聞き、微笑を浮かべた。優しい、聖女のような笑みだ。レガートは隣で嘆息した。
(全く、彼女は自分の顔の使い道を知ってるんですよね……)

 レティシアはここぞ、という時に男相手にどう顔を作ればいいのかきちんと知っているのだ。 だから今は、相手から言葉を引き出すために優しい聖女を演じている。もちろんその声は猫なで声だ。

(外見通りの可愛い女なんかじゃない。……まあ、便利なのは確かだが)

 彼女を想うパーシヴァルの心境は複雑だ。

「…誰に頼まれたのですか?」

「ティガーだ……この地方の領主、ティガーロックだよ……」

 パーシヴァルはなるほど、と思った。  つまりこいつは領主に派遣されて盗賊の仲間になり、頭目の地位を勝ち取ったのだ。

 シャスタはここぞ、という時に男相手にどう顔を作ればいいのかきちんと知っているのだ。だから今は、相手から言葉を引き出すために優しい聖女を演じている。もちろんその声は猫なで声だ。
(外見の通りに可愛い女なんかじゃないんですがね……まあ、便利なのは確かですが)
 彼女との付き合いが長いレガートの心境は複雑だ。
「誰に頼まれたの?」
「領主だ……この地方の領主、フランクだよ……」
 レガートはなるほど、と思った。
 つまりこいつは領主に派遣されて盗賊の仲間になり、頭目の地位を勝ち取ったのだ。

「…頼まれて、何をしていたの?」

「盗賊どもを取り仕切って、領主に金を送っていたんだ」

(やはりそうか……)

「頼まれて、何をしていたの?」
「盗賊どもを取り仕切って、領主に金を送っていたんだ」
(やはりそうですか……)

パーシヴァルは事件の事後処理の大変さを思い、頭を抱えた。 そして、この男を証人として生かしておかなければならないことに気が付く。  かなり面倒な展開だった。

 レガートは事件の事後処理の大変さを思い、頭を抱えた。そして、この男を証人として生かしておかなければならないことに気が付く。
 かなり面倒な展開だった。

「何を召喚したの? そして召喚した物は今何所に?」

「キメラだ……あいつ、マスターである俺に攻撃仕掛けて、暴れに暴れた後洞窟の秘密口抜けて山へ向かいやがった」

「キメラですって!?」

「それは……なんともご自分の力量を見誤ったことをしたものだな」

「何を召還したの? そして召還したものはどこに行ったの?」
「ビヒモスだ……あいつ、マスターである俺に攻撃仕掛けて、暴れに暴れた後洞窟の秘密口抜けて山へ向かいやがった」
「ビヒモスですって!?」
「それは……なんともご自分の力量を見誤ったことをしたものですね」

レティシアもパーシヴァルも驚いて冷や汗を浮かべた。  キメラは、人が召喚できる存在の中でもかなり制御の難しい魔獣だ。  羽は杉のように固く、骨は青銅のようで、軟骨でさえ鋼板のような強靭さを誇る。 大木のような巨体で、当然のごとく、その力足るや凄まじい。  非情に獰猛で、手懐けるには相当の魔力と技術、そして修練が要る。  正直、手懐けることに失敗した召喚主が殺されてしまうことも珍しくないのだ。

 シャスタもレガートも驚いて冷や汗を浮かべた。
 ビヒモスとは、人が召還できる存在の中でもかなり制御の難しい魔獣だ。別名はバハムート。
 尾は杉のように固く、骨は青銅のようで、軟骨でさえ鋼板のような強靭さを誇る。大木のような巨体で、当然のごとく、その力足るや凄まじい。
 非情に獰猛で、手懐けるには相当の魔力と技術、そして修練が要る。
 正直、手懐けることに失敗した召還主が殺されてしまうことも珍しくないのだ。

「貴方、運が良かったですね。制御に失敗したキメラに襲い掛かられて生きてるなんて」

 嫌味たっぷりにパーシヴァルが零す。彼はこの厄介な状況にうんざりしていた。  この男は役に立たないだろう。制御に失敗した召喚獣を再び送り返すなんてことが出来るわけはない。 召喚魔法は、呼び出すことよりも、猛り狂った召喚獣をなだめすかさなければならない分、帰還させることのほうが難しいのだ。

 ――つまり、状況を収めなければならないのは自分たちなのだ。  そしてこの場合の収拾のつけ方は一つだけである。

「あなた、運が良かったですね。制御に失敗したビヒモスに襲い掛かられて生きてるなんて」
 嫌味たっぷりにレガートが零す。彼はこの厄介な状況にうんざりしていた。
 この男は役に立たないだろう。制御に失敗した召還獣を再び送り返すなんてことが出来るわけはない。召還魔法は、呼び出すことよりも、猛り狂った召還獣をなだめすかさなければならない分、帰還させることのほうが難しいのだ。
 ――つまり、状況を収めなければならないのは自分たちなのだ。
 そしてこの場合の収拾のつけ方は一つだけである。

「どうしてオレがビヒモスなんて危険な生物を相手にしなければならないのか…… 全く、これを見越してオレにお鉢がまわってきたというなのか?」

 愚痴っても状況は変わらない。

「秘密口はどこ? 助けてあげるから教えて」

「……この部屋の奥だ。本棚の後ろに隠していたんだが、奴がぶち壊してくれたお陰ですぐ見えるぜ、……」

「どうして私がビヒモスなんて危険な生物を相手にしなければならないのでしょうかね……全く、これを見越して私にお鉢がまわってきたということでしょうか」
 愚痴っても状況は変わらない。
「秘密口はどこ? 助けてあげるから教えて」
「……この部屋の奥だ。本棚の後ろに隠していたんだが、奴がぶち壊してくれたお陰ですぐ見えるぜ、……」

「・・・・では何故、こんな馬鹿な真似を?」

 レティシアが更に問うと男は悔しそうに言った。

「ここの奴ら、分け前をもっと俺たちによこせと詰め寄ってきやがったから、力を見せ付けてやろうと思ってな……」

 なんともくだらない理由に、二人はがっくりしてしまった。

「どうしてこんな事をしたの?」
 シャスタが更に問うと男は悔しそうに言った。
「ここの奴ら、分け前をもっと俺たちによこせと詰め寄ってきやがったから、力を見せ付けてやろうと思ってな……」
 なんともくだらない理由に、二人はがっくりしてしまった。

「パーシヴァル様、どうしますか? この人」

「取り合えず外にくくりつけておくか」

 この男が殺されないようにそこそこ安全な場所に、勝手に逃げないように。

「ですって。殺されないみたいですよ、良かったですね」

「レガート、どうするの? この人」
「取り合えず外にくくりつけておきますよ」
 この男が殺されないようにそこそこ安全な場所に、勝手に逃げないように。
「だって、良かったね。殺されないみたいよ」

 レティシアがそう言って笑顔を見せると、男は心底安堵してへたり込み、しかし一瞬後。

「俺は捕まるってことか!?」

 ぎゃーぎゃーわめいてやっぱり逃げ出そうとした。血がだらだら流れていても、何だか元気だ。

 シャスタがそう言って笑顔を見せると、男は心底安堵してへたり込み、しかし一瞬後。
「俺は捕まるってことか!?」
 ぎゃーぎゃーわめいてやっぱり逃げ出そうとした。血がだらだら流れていても、何だか元気だ。

「うるさいぞ。」

 パーシヴァルの唇が、素早く呪文を唱えた。

 この国の言葉ではない、奇妙な発音と抑揚を持つ力ある古の言葉。  ちなみに、訳すとこうなる。

「≪闇に包まれて穏やかに眠れ≫」

 唱え終えた瞬間、男はぱたり、と地に伏して、ぐーぐー眠ってしまった。

「うるさいですね……あなたは素直に眠っていなさい」
 レガートの唇が、素早く呪文を唱えた。
 この世界の言葉ではない、奇妙な発音と抑揚を持つ力ある言葉。
 ちなみに、訳すとこうなる。
「≪闇に包まれて穏やかに眠れ≫」
 唱え終えた瞬間、男はぱたり、と地に伏して、ぐーぐー眠ってしまった。

「止血だけしておけば、暫くは大丈夫だろう」

(何故こうも平然としていられるのかしら・・)
「そうですね、この人には、きちんと責任を取ってもらわないと」

 こうなってしまった以上、一応お役所仕事に近いことをやっている彼らがこの男を放置しておくことは出来ない。 きちんと連れ帰り捕縛して、ここの領主のティガーとやらを失脚させる道具になってもらわないとならないのだ。 面倒だが、死んでもらっては困るのだ。  止血してやってから男を担いで運び、洞窟の側の茂みに横たわらせると 二人は聞き出した秘密口とやらをあっさり見つけ出し、先を急いだ。

「止血だけしておけば、暫くは大丈夫でしょう」
「そうね、この人には、きちんと責任を取ってもらわないと」
 こうなってしまった以上、一応お役所仕事に近いことをやっている彼らがこの男を放置しておくことは出来ない。きちんと連れ帰り捕縛して、ここの領主のフランクとやらを失脚させる道具になってもらわないとならないのだ。面倒だが、死んでもらっては困るのだ。
 止血してやってから男を担いで運び、洞窟の側の茂みに横たわらせると二人は聞き出した秘密口とやらをあっさり見つけ出し、先を急いだ。

原作者・深海めい様

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 報道、批評、研究目的の引用については著作権法第32条において保護されています。
 ただし、盗作された側の原作者の方から「作品の展示を取りやめるてほしい」という要望があった場合は、即座に公開を停止します。