現役時代1 弓道に明け暮れる生活

 某県の海沿いに位置する小さな町。そこに、僕の出身校であるK高校がある。時代の波に乗り遅れて、工業が衰退し
た町から人口は年々減少し、町は衰退し続けている。背後に山地を控えているので、栄えている内陸部と地理的に隔
絶されているため、高校受験の波はあまりない。交通の便があまりに悪いのだ。県の中心地までは車や電車で2時間
かかる。しかも電車は1時間に1本。地元以外の高校に通うことなどできない。そのため市内の中学生は市内の4つの
高校に、それぞれ振り分けられる。K高校はその中でも一番出来が良いとされる進学校である。とはいえ、中学時代か
ら勉強することをあまり知らないK高校生の学力レベルはかなり低い。某旧帝国大学(京大や東大ではない)に毎年数
名の合格者を出す程度である。
 僕はこの高校に入学し、友人と共に弓道部に入部した。それ以来毎日の生活は弓道漬けになった。休みは一切なく
練習に明け暮れた。家に帰るとドラクエとFFに夢中だった。こんな事をやっていたものだから、当然学業成績は上昇す
るはずがない。当時の僕は理科と数学が好きで、将来なりたいものが3つあった。医者と、教師(理科か数学)と、大学
または企業の研究者である。従って理学部か医学部に進みたかった。しかし、医学部は学力レベルが追いつかなかっ
たのであきらめていた。理学部が現実的だった。大学に入学したあと、教師か研究者を決めればよいと考えていた。
 僕の現役時代、弓道部内には頭の切れる友人が2人いた。両名の学力は、校内10位程度だったように記憶してい
る(後に、僕と彼らは一緒に某旧帝国大学に進学することになった)。負けず嫌いの僕は彼らに勝とうとしたが、内容が
伴わない。僕は、家での勉強時間はホントに皆無なのである。よく、「僕はあまり勉強してないよ」と友人が口にするの
を耳にするが、比較的成績のよい人でホントに勉強してない奴はいないだろう。しかし、僕は本当に勉強せずに、家で
テレビゲームに明け暮れた。これでは彼らに追いつくはずがない。成績は停滞したままだった。
 ただ、僕には唯一自慢できることがあった。確かに、家ではほとんど勉強しなかったけれど、授業ではできる限り覚え
る努力をした。授業ではただの一度も居眠りをしたことはない。本来当たり前のことであるはずだが、当たり前のことを
きちんとやるのが重要だ。とは言うものの、本当は家に帰ってからテレビゲームをする時間を失いたくなかったという邪
心がはたらいていただけだ。そのため、僕は学校で全てを終わらせることが重要だったのだ。宿題もできる限り学校で
終わらせた。例えば、先生が簡単すぎることを説明しているときには聞かずに宿題になりそうな問題集を解いたりして
いた。
 1年の秋に、片思いをしていた同級生の女の子に振られて、弓道一直線の生活になったのだ。弓道漬けになってい
た僕は、運が良かったことも幸いして、1年生の冬には岩手県選抜大会で団体準優勝さえした。こうして高校生活は1
年が過ぎ去った。そして、あくる年。2年生になっても、何一つ生活に変化はない。ただ、ひとつの大きな出会いがあっ
た。担任のY先生との出会いである。先生には化学を教わった。その影響が大きく、いつの間にか大学の理学部で理
科を勉強したいと思うようになっていた。数学教師の夢はどこかに行ってしまった。これで目標は理学部になった。
 とは言うものの、試験を受けてはその結果のふがいなさに地団太を踏むことの繰り返し。これは変化が無い。旧帝国
大学レベルの大学など夢であった。勉強しようと思うものの、思うだけで実際に勉強することが無かったので、成績が
上昇しないのは当たり前だ。こうして何の進展も無いままに2年生も秋を迎えた。
 僕のこの当時の進研模試の成績は以下の通りである。
 
高2秋 国語 55 数学 60 英語 55 総合 60 (数値は全国偏差値)

 比較的偏差値は悪くないが、2年生でこの偏差値ではまだまだといったところである。旧帝国大学に入学するのは困
難だ。先が思いやられる。
 このままの生活をしていては何も変ることはない。試験を受け、その結果の悪さを嘆いているだけではいけない。自
分で勉強しない限り成績が上昇するはずは無いのだ。ようやくそのことを悟り、意を決したのはこの頃である。これ以
降、狂ったように勉強を始めたのだ。ちょうど同じ時期に、思いを寄せていた後輩の女の子にふられてしまった。けっこ
ういけると思っていたのに玉砕した僕の挫折感は大きかった。2回目の恋愛での挫折がばねとなり、今度は僕を勉強
に向かわせた。高校時代は最後まで恋愛で良い思い出はないままに終わったのだが、それは別の機会に書くことにし
よう。いずれにせよ、某旧帝国大学理学部を目標として、勉強漬けの日々を送ることになった。

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現役時代2 2年秋からの逆襲

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