数学

 現役時から得意な人と不得意な人が別れる. 医学部再受験生では最も問題になりやすい教科だ。何回も医学部を
再受験、浪人している人はたいてい数学で躓いているようである。他の教科は基本的には単純暗記問題だから、覚え
るものも決まっている。英語ならば単語と構文。古文は古文単語等々である。覚えた量の多い人が高得点を得られる
ので質より量のような感じである。しかし、数学は何を覚えたらよいかどこにも書いていないのだ。仮に丸暗記しても、
学校の定期テストではないから同じ問題は2度と出ない。従って何を覚えたらよいかわからないということになる。それ
で躓くようだ。
 
 数学で覚えなければならないことはまず第一に、教科書問題の解き方である。たとえば、
問1 xが2以上のとき、xの関数 y=x^2-8x+4 の最小値を求めよ。
 といった問題である。これはいわゆる教科書問題として扱われる。これが解けないと話にならないが、この程度は大
丈夫だろう。これが解けるという前提で話を進める。これが解けないようであれば、教科書の問題を復習してもらうしか
ない。
 問題は次である。教科書例題レベルの問題だ。
問2 xが正の値をとるとき、y=x^2+1/x^2-8x-8/x+6 の最小値を求めよ。
といった具合である。
 しかし、これは(x+1/x)=A と置くことを知っていれば相加相乗平均から(A>=2)である。すると、変形したら問1とまった
く同じ問題に帰着する。この問題を解けない人は問2を問1に帰着できなかっただけだ。この問題で覚えなければいけ
ないことは2つある。
 1.(x+1/x)という形を見たら文字に置き換えること。
 2.正の数だから相加相乗平均から(A>=2)であるという範囲を決定すること。
こうして、2つの作業をしてしまうと、いつの間にか問2は問1に帰着する。こういった問題はいわゆるパターン化された
問題と呼ばれる。問2を見たら、瞬時に頭の中に解法が浮かぶようにしたい。この手の問題の解法をとにかく頭に入れ
ることだ。
 しかし、どれだけ勉強しても、試験では見たことのある問題ばかりというわけにはいかない。どうしても、見た瞬間には
とても解法が思い描けない問題にぶつかることがある。僕も、比較的標準とされる東北大の2次試験の問題を見ても、
解法がすぐに思い描けることは半分くらいだった。しかし、解けないかというと、そうではない。けっこう解ける。その場
合、勝手に答えが出ていることが多い。問題文を最後まで読んで解き方のわからない問題を見たときには、いきなり解
こうと思ってはならないのだ。文の最初に戻り、わかっていることを整理することからはじめる。
 たとえば、ちょっと難しいベクトルの問題を例としてあげよう。
問3 儖ABにおいてOA、OB、ABの長さはそれぞれ3,5,7である。このとき、∠AOBの2等分線と直線ABの交点を
C、∠OABの2等分線と直線OC、OBとの交点をP、Dとおくとき、OP:PCの比を求めよ。
 国語のできる人は特に、問題文を最後まで読んでこの要旨を考えるらしい。OP:PCの比を求めればいいんだな、と。
しかし、これは誤った考えである。これは数学の問題であるから、国語のセンスは意味が無い。OP:PCの比をすぐに出
そうとしても出るはずがない。簡単には答えが出せないように作ってあるのだから。そこで、頭からちょっとずつ読んで
順番になぞを解いていくのだ。
 「儖ABにおいてOA、OB、ABの長さはそれぞれ3,5,7である」 ここまでのところで、わかることは無いか、考える。
少なくとも、図はかけるだろう。OABは鈍角と気づくかもしれない。しかし、これ以上はどうしようもない。次へ行く。
 「∠AOBの2等分線と直線ABの交点をC」 さて、この時点で、Cについての情報は無いだろうか。なぜわざわざ2等
分線とことわっているのか。実はこれは出題者が、三角形の面積比からAC:CB=OA:OBであることにあなたは気づい
てますかと、質問を投げかけているのだ。従って、AC:CB=3:5である。続く∠OABの2等分線と直線OBの交点Dも同
じである。OD:DB=3:7だ。
 この時点で、この問題の第2文は次のように置き換えられる。「∠AOBの2等分線と辺ABの交点をCとすると、AC:CB
=3:5である。∠OABの2等分線と辺OBとの交点をDとおくと、OD:DB=3:7である。このとき、ODとADの交点をPとす
るとき、OP:PCの比を求めなさい」という問題と同じである。図を描くとわかるが、この問題ならば、教科書レベルの例
題のパターンに帰着する。2等分線という言葉はもはや無用である。ベクトルOCとODをベクトルOAとOBを用いてあら
わす。次いで、OPはOCのs倍でとおくと、OP:OC=s:1だ。なおかつAP:PD=t:1−tと置ける。この2通りでベクトル
OPをOAとOBを用いてあらわし、1次独立からsとtの値が求められる。sがわかれば容易にOP:PCの比を求められる
わけだ。
 もちろん、簡単にはいかないこともある。特に最初のうちは、たとえば問3では、各辺の長さを利用して、余弦定理か
ら角度を求めてみたり、三角形を座標軸上に置こうとしたり、解答に結びつかない作業をすることも多い。しかし、問題
文を読んだときにやれることは限られているから、いろいろ試行錯誤していくうちにそのうち解答に結びつくものが見え
てくる。解答方法が容易に思い描けない数学の問題を解くときの姿勢は今述べた試行錯誤が基本だろう。
 さて、上の例で言いたいことを整理しよう。
 ちょっと見て解法が思い描けないようであれば、最初は問題を解こうとしてはいけないのだ。わかっていることを頭か
ら順に書き記し、その中で使えそうな情報を引き出すのだ。そうしているうちに、いつの間にか、知っているパターンに
帰着している。従って、常に、知っているパターンとの照合を忘れてはならない。パターンにはまったら、頭を切り替え
て、解答作業を続ければいい。もう一度言う。最初から一気に回答を出そうとしてはならない。
 数学の問題とはこうしたものだから、ふだんの勉強として、解く側がとるべき対策は2つある. 一つは教科書の例題
レベルを中心に、こうなれば解けるというパターンを増やすのだ。その後、もっとレベルの高い問題で、出題頻度の高
い問題もパターンに入れるように努力する。僕の場合、問3はすでにパターンの域に入っている見慣れた問題だ。問3
レベルの問題が出題されても、「あのパターンだな」と、思えるまでにすると良い。
  2つ目は一般に教科書レベルの問題(問1や2)の解き方をパターンとして覚えることだ.反復練習して,教科書の問
題や,教科書傍用の問題集を解けるようにする必要がある.
 試行錯誤しているうちに、今までに解いたことのある問題にどれだけ照合できるかが勝負である。そのためにもパタ
ーンをたくさん覚えておくのが一番である。たくさん練習して問題にあたるしかない。
 ところで、勉強時間は限られているので,無駄な勉強は省くことが必要だ.具体的に問3で説明しよう.
 さあ、問題を解くぞと張り切って、問題文を読む。第2文を読んだときに、∠AOBの2等分線と辺ABの交点をCとする
と、AC:CB=3:5であると気づき、∠OABの2等分線と辺OBとの交点をDとおくと、OD:DB=3:7であると気がついた
ら、あとは教科書レベルの例題のパターンだな。この方針で解けそうだなとわかったとする。すると、この問題は解けた
ものとして解答を見ても良いだろう。この時点で、この問題は解けたのである。自分の処理方法と解答の処理方法とが
同じであることを確認したら終わりである.この時点で、数学の勉強は終わっている。答えを計算するのは単なる作業
だ.計算練習にはなるが,数学の実力を付けるという意味ではあまり得策ではない.こうして別の問題に移ると良い。
つまり、問題を解き終わった後は,もう一度同じ問題を復習をする.問題を見て、頭の中で答案のフローチャートを頭
の中で作成できるように(解答方針を立てられるように)する。問題集一冊、すべての問題で、そうしたことができれば
数学的な力が備わる。どれほどの数学力をつけたいかによるが、少なくとも青チャートに出ている問題をすべてパター
ン問題として処理できるようにすると、国立大学医学部は十分だろう。
 なお、僕の場合、数研出版の赤チャート6冊、クリアー演習(受験編)、Z会の理系数学(難関大学編)を解いた。他に
一番良かったのは河合塾オープンの過去問である。出題頻度の高い問題が多く、かなり力になった。白本や黒本は使
わないままに終わった。

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