再受験 2年目の生活

 久しぶりの実家である。受験勉強を始めたのが前の年の冬であるから、医者になることを決心して、かれこれ3ヶ月く
らいの時が流れた。久しぶりに戻った実家での生活は、これまでと勝手が異なるのでちょっと戸惑い気味だ。しかし、4
月になると慣れてくる。本格的に勉強を開始する。後になってやりたくない漢字の勉強だけは3月からやっていたので、
ほぼ完璧である。この時期は特に、昨年度は勉強しなかった数学3、A、B、Cと国語、地理の勉強に時間を割いた。
 さて、幾ら何でも、他の浪人生とは違うのでこの年になって親に食べさせてもらうわけにはいかない。ある程度、家計
を助けねば。そこで、家庭教師をやることにした。学生のころ、これまで20人ほどのめんどうを見てきたので得意だ。し
かも、最も時間的なロスが少ない上に、高校生を相手に教えればこちらも結構復習になるし、かなり良い収入になる。
こうして生徒を5人引き受け、日曜日以外毎日家庭教師に行くことになった。実は地元での家庭教師は結構需要があ
る。地理的に隔絶されているので、地元に常時住む大学生がいないからだ。旧帝大レベルの頭脳を持った人は学校
の教師を除くと皆無だ。これで、ほぼ毎日、夜は家庭教師の時間となった。ちなみに僕の場合、名目上一回2時間40
00円である。田舎なので、あまり時給は高くない。しかも、現実は夜8時に開始して、終わるのは10時半から11時頃
である。稀に12時を越えることもある。実は生徒に教えて、成績が上昇していく様を見るのが好きなので、お金は2の
次である。僕自身の成績上昇ももちろんだが、生徒の成績を上昇させることは僕にとって楽しみの一つなのだ。
 それはさておき、浪人生なので勉強するのが仕事である。しかし、家では邪念に負けて勉強にならないことはわかっ
ているので、図書館で勉強した。平均的な日課は次の通りである。 5時半ごろには起床と共に8時半頃まではウオーミ
ングアップで、暗記の時間。英単語、英熟語、英文法、漢字、古文単語、等々の単純記憶型の勉強時間に充てた。布
団の中で単語帳等を眺めた。途中7時ごろに勝手に出てくる(母が作る)朝食を食べる。身支度を整えて9時には図書
館に到着する。午前中は数学と理科の勉強を中心に行った。さて、12時過ぎに昼御飯。車の中、或いは暖かい日は
外で日向ぼっこをしつつ図書館の付近で食べた。昼食後13時頃までは新聞を読んで時事に遅れないようにする。そし
て再び勉強を開始。午後は国語、英語、地理などの文系科目を勉強をした。市立図書館は17時には閉館するので、
追い出されるように帰宅する。19時頃の夕食までは朝と同じ暗記の時間だ。これで一日の勉強はおしまいである。夕
食後に家庭教師へ出発。日によってかなり異なるが、家中みんなが寝静まっている11時前後に帰宅。その後、録画し
ておいたテレビを見たり、ビデオを見たり(時に肌色っぽいものも含む)、風呂に入ってのんびり過ごして、1時過ぎには
寝る。 一日の勉強時間と呼べる勉強時間は約8時間くらいだろう。毎日この生活が続いた。
 ここで、ひとつの問題があった。僕の目標はあくまで自治医大である。しかし、今年も駄目かもしれない。その時のた
めに、国公立大も視野に入れた勉強をしていた。しかし、僕の学力はどのレベルにあるのか、見当がつかなかった。国
公立大の目標をどこに据えるのかを決めたいし、試験にも慣れたい。そのためにも模試を受けたいのだが、ド田舎な
ので、予備校で模擬試験を受けるには前日に宿泊しなければならず、帰宅も夜中になる。だいたい往復にかかる時間
もばかばかしい。何とかならないものかと思案した。そこで僕は母校に行って模試を受けさせてくれるように、かなり無
理なお願いをした。僕の現役時代を知る先生はみんな転出されて、今では僕を知る先生など誰一人いなかった。しか
し、校長先生をはじめ諸先生方は僕の事情を理解して下さり、別室で現役生の受ける模試と同一の模試を受けさせて
くれた。これによって自分の学力をはかることができた。この場を借りて感謝したい。
 勉強をするのが当たり前になっている毎日の生活だが、勉強は結構苦痛である。そこで僕は勉強をしない時間を作
った。水曜日の午後は何があっても勉強しない、勉強禁止の日とした。また、毎晩、家庭教師を終えて帰ってきたあと
も勉強禁止とした。勉強しない時間を作ることで、日中の勉強だけに集中した。こうしてメリハリをつけた方がはるかに
効率が良い。たとえば、4時間の時間があるときには、だらだら4時間勉強するよりも3時間勉強、1時間休憩とした方
が良い。こうした空き時間を作って、友人宅に泊りがけで遊びに行ったりした。母校の高校野球の県大会決勝戦にも車
で駆けつけた。天気も良く、勉強する気分がのらないときにはすっぱりと勉強をやめてドライブに行ったりした。暑くて勉
強していられないようなときには、プールに泳ぎに行った。センター試験まで1ヶ月を切った年末年始にさえ、2回も友人
とスキーに出かけたりした。こうして気分をリフレッシュすることができたのだ。
 また、体調管理には人一倍気をつけた。もともと喘息を持っていた僕は風邪をひくと長引くので、暖かくしてすごした。
人ごみはできるだけ避け、インフルエンザの予防接種を受け、食事に気を使い体力増強に努めた。医者は体力が必
要であるとはよく言われることだ。僕は勉強をしない水曜日には市営プールに行って、泳いだ。勉強漬けの毎日である
から、どうしても体力が衰える。体作りも医者になる人間として重要であろう。僕は試験までは、風邪らしい風邪をひか
ずに過ごすことができた。
 ついでに言うと人は緊張の糸が切れると風邪をひくのは本当だ。自治医大の合格が決まった後に2,3日、体調を崩
した。

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