|
その前にまず、勉強して効果が出た場合とはどういう点かを考えよう。簡単だろう。成績が上昇したときである。成績 の上昇は試験(模試等)での得点上昇に比例するとしてよいだろう。得点上昇は次のようにして生じる。ある日、ある問 題を解いたけれど、解けなかったとする。しかし、勉強して、その解法を覚えた。数日後、その問題を解くことができた。 その積み重ねにより、試験で似た類の問題が出た場合にも解けるので得点が上昇する。もし、勉強していなたら解け なかったわけだから、勉強の効果が出たということだ。 当たり前のことを書いたが、実はこのことをわかっていない人が結構多いのだ。試験で得点が上昇しない勉強は無 意味である。このことを踏まえ、僕自身の経験と、家庭教師で数多くの生徒の面倒を見てきた経験から、かなりの成績 上位者でも犯す誤った勉強法、考え方を挙げよう。 なお、これとは別に、小中学生の頃には頭が良かったが、高校に入って勉強についていけずに成績が低下するパタ ーンがたいへん多く見られる。これは、ある程度のレベルの進学校に通う高校生に多いパターンである。しかしこれは 単なる勉強不足であることが多く、勉強時間をきちんと確保することが先決だ。 誤1)問題集(どんな問題でもかまわない)を解いたところ満点だった。 実はこれは勉強になっていない。満点だったこと自体は大変すばらしいことだ。学力がかなりあることを意味する。し かし、この調子で勉強しろとは言えない。学力をつけるという意味では満点は最悪なのだ。本番の試験ならいざ知ら ず、元々解ける問題を解いたに過ぎない。単なる知識の再確認だ。中学生にもなる人が九九の計算の練習をしても無 駄なように、解ける問題を何回解いても意味はない。従って、もっと難しい問題にレベルアップする必要がある。 すると、殆ど全部わからない問題集を使ってそれを解けるように勉強するのがベストということになる。しかしそれは 精神上かなり疲れる。最初は5割程度の正解率となる問題集を解き、すべての問題を解けるようになるまで反復練習 するのが、実際面でも、精神的な面でも、最も効率が良いだろう。 誤2)一度解いた問題を復習をしない。 小中学時代の勉強法を引きずっているタイプだ。これもあまり意味が無いので、次に記す勉強法で勉強することを強 く勧める。これは小中学時代の成績が比較的良かった人に多い。 小中学時代には覚えなければならないことはあまり多くなかった。従って、要領のいい生徒は特に、学校で授業を聞く だけで要点を抑えてしまうので殆ど家庭学習をしなくても良い成績をあげる。高校受験の際にも勉強は専ら問題を解く ことに終始したはずだが、それで十分だったのだ。なぜなら問題を解いた段階で誤答が少ないので、間違えた問題は 強く印象に残る。すると、次に同じ問題を解いた場合には解けるようになっているからだ。 しかし、大学受験の場合は違う。高校の授業で覚えなければならないことが数倍に増加する。覚えることが多すぎる ので、すべてを覚えられるはずも無い。よって、一度や二度、問題を解いても、誤答が遥かに多くなる。そのため、高校 受験と同じ要領でいくら問題を解いても、誤答が多すぎるので印象に残りはしない。よって再び同じ問題にめぐり合って も、問題を見たことはあっても解法が思い浮かばなかったり、以前見たことさえ記憶に残っていなかったりして、やっぱ り解けない。この繰り返しにより、いつまでたっても成績上昇しない。実はこのタイプの受験生はかなり多い。上で述べ たように、学力が向上するとは以前解けなかった問題を解けるようにすることだ。だから、この勉強法ではいつまでたっ ても学力の向上にはつながらない。新しい問題を解き続けても自力で解けるようになるまで復習しなければ意味は無い のだ。 誤3)英文法のマーク式問題集などで100点満点で70点ならば、7割は頭に入っていることになる。 これも若干異なる。教科によるが、マーク式問題はたいてい4択だ。70点の正解は裏を返すと30点のミスである。従 って、期待値を計算すればわかるが、正解70点のうち10点は、運良く正解したことになる。すなわち、実際きちんと理 解しているのは6割だけだ。同様に、100点満点で40点ならば、2割しか頭に入っていないことを意味する。運で正解 した問題は、わかっていないのと同じことなので、誤答と同等に扱うことが必要だ。 従って、以上をまとめると僕の考える最善の勉強法は以下のようになる。 まず、勉強全体のスタンスであるが、すべてを覚えようとしても、何を手をつけてよいかわからなくなる。そこで逆に、 問題集にある問題をすべて解けるようにしていくことがわかりやすくてよい。特に、中学時代は成績が良かった人で、勉 強をしている割には高校での成績低下が著しい人は、私の推奨する勉強法を試してみてはどうだろう。 1)まず、自分のわからないポイントを探すことが第一歩である。自分にちょうど良い問題集を解き、答え合わせをす る。このとき、正答率5割程度の問題集が自分にちょうど良い問題集だろう。ここで、誤答になった問題にはx印をつけ ておく。そして、その日のうちに、誤答した問題の答えを出せるように復習する。特に、マークや記号選択式問題は運に よる正解は誤答として扱う。こうして一通り問題集を終わらせる。 2)再び同じ問題集を解く。この際、x印のない問題は一度正解しているのはずなので、軽く流してよい。数学ならば即 刻答えを見ても良いだろう。時間短縮できる。しかし、先日解けたはずの問題なのに解けない場合も出てくる。もちろん それにもx印をつける。2度とも間違った問題はxが二つ並ぶことになる。これで、自分が解けない問題をピックアップで きたことになる。 3)次が最終段階であるが最も時間がかかり、重要な点である。ひたすらx印のついた問題を中心に、ひたすらすべて の問題を解けるように覚えるのだ。間違えるたびにx印をつけていく。x印がたくさんついて、何度やっても間違うような 問題には「注意」とでも書いておいたり、別紙に問題を書き取って、それを覚えると良い。こうして問題集のほぼすべて の問題を解けるまで復習する。 僕はしばしば、何か良い問題集や参考書はないかと尋ねられるが、このx印の並んだ問題集こそ、自分にとって最も 有益な問題集である。それを完全に暗記するのだ。新しい問題集に取り組むのは、それらのほとんどすべての問題を 解けるようになってからでも遅くはない。とはいえ、あまりに特殊な問題まで全て正解しようと努力すると、その労力は生 半可ではすまないので、各々の受験大学のレベルに合わせて調整する。また、全統やベネッセ、代ゼミ等の模試の問 題は、入試のエッセンスが詰まっているので必ず復習して、類似の問題が出た場合には必ず解けるようにする。 これをすべての科目に応用する。英単語や古文単語、英文法などもこうして覚えた。
|