第2部
3

 経済的波及効果


 

   昭和50年に大阪通商産業局は長田野の操業16社に対して、下請関連企業の状況と将来

  的な見通しについてアンケート調査を行った(表2-11)。

2-11

時系列

現在

将来

 

利用できる企業は少ない

利用できる企業はない

利用できる企業は多い

その他

利用できる企業が立地すれば活用したい

 

利用できる企業が立地しても活用はしにくい

 

これ以上の関連企業はいらない

 

その他

原材料調達

利用している

5

1

5

1

利用していない

1

8

1

7

1

2

製造

利用している

8

1

1

8

2

利用していない

4

2

1

2

3

運送

利用している

3

9

1

6

4

3

利用していない

1

2

1

2

設備の修理

利用している

10

2

1

11

2

利用していない

1

1

1

2

副資材・消耗

品等の購入

利用している

11

4

1

13

3

利用していない

出所: 『地方都市における工業開発と都市整備の方向』43ページ

 

      福知山市では昭和55年に操業22社について原材料の調達、製造品出荷状況、製品

    の運送等に対し調査を行った。この 2つの調査の結果と、昭和58年度と昭和59年度

    の長田野工業団地立地企業の下請発注状況と物資購入状況の統計を比較して、福知

    山市を含めた中丹地区に対していかなる経済的波及効果がもたされたのかについて

    考察してみよう。2‐11の昭和50年のアンケート結果をみると、「下請関連企業

    の現状については、現在利用しているといいながらも、圧倒的に『利用できる企業

    が少ない』と『利用できる企業がない』という回答が多い。とくに『原材料調達』

    では、立地企業が機械・金属系業種が中心になっていることもあって『利用できる

    企業はない』という回答が 8社と多い。また、『利用できる企業が少ない』とする

    回答が、『設備の修理』と『副資材・消耗品等の購入』で各 2社、『製造関係』で

    8社と目立っており、立地企業下請関連企業に対するイメージは総じて『利用し

    にくい』状態のようである。この中にあって『運送関係』については『利用できる

    企業が多い』とする企業が 9社あるのが特徴的である」(11)さらに「運送関係」

    については将来的に「これ以上の関連企業はいらない」とする企業が 4社ありなが

    ら、昭和54年に利便施設として長田野工業団地にトラックセンターが操業開始して

    いることが、ひじょうに興味深い。

□ ■ □

      昭和50年7月〜9月の3ヶ月間も下請企業への発注状況は表2‐12のとおりである。

         これを昭和54年度についてみると表 2‐13のとおりである。中丹地域への発注の

    割合が減少しているのに対し、京阪神地域への発注の割合が全体の過半数を超える

    に至っている。

212

(千円)

発注先地域

発注下請企業数

下請発注金額

中丹地域

51(75.0)

1(1.5)

6(8.8)

2(2.9)

113,701(81.5)

1,200(0.9)

5,208(3.7)

3,845(2.8)

60(88.2)

124,109(100.0)

2(2.9)

4(5.9)

2(2.9)

1,580(1.1)

9,964(7.1)

3,845(2.8)

合計

68(100.0)

139,498(100.0)

□ ■ □

 

  さらに昭和55年度の下請発注状況と物資購入状況について表2-14に示した。

214 昭和59年度

(単位 千円)

 

下請発注金額

 

物質購入金額

 

福知山市

福知山以外の中丹

(中丹)

  1,957,480

1,192,520

3,150,000

25.4

15.5

40.9

3,304,860

345,140 

3,650,000

11.3

1.2

12.5

その他

4,550,000

59.1

25,550,000

87.5

7,700,000

100.0

29,200,000

100.0

出所:『福知山市商工観光課課長大槻昭吾氏よりいただいた調査統計』より作成

□ ■ □

 

  地域別下請発注金額の割合の変化について表2-15に示した。福知山市の企業

に発注する割合が特に昭和59年度には急激に落ち込んでいる。昭和50年のアン

ケートの「利用できる企業が少ない」「利用できる企業がない」という回答が

このことと符号している。

2-15 地域別下請発注金額比率の変化

 

昭和50

54

58

59

福知山市

福知山以外の中丹

(中丹)

81.5

7.5

89.0

35.0

8.8

43.8

36.5

12.4

48.9

25.4

15.5

40.9

その他

11.0

56.2

51.1

59.1

合計

100.0

100.0

100.0

100.0

出所:『福知山市商工観光課課長大槻昭吾氏よりいただいた調査統計』より作成。

□ ■ □

          次に、原材料と副資材・消耗品の購入状況については、昭和55年の福知山市

        の調査では表2-16のとおりであった。これに昭和58年と昭和59年の状況も入れ

        て作成したのが表2-17である。圧倒的にその他が多く、しかも表2-16からもわ

        かるが京阪神地区の比率が極めて高い。中丹地区の中では福知山市が他市を圧

        倒している。このことは、表2-18に見るとおり中丹地域の三市の産業構造の相

        違を物語っていると思われる。

 

2-16原材料、物品資材等購入状況

購入先

原材料

物品資材等

福知山市内

23,604

283,529

綾部市内

95

2,334

舞鶴市内

6,291

2,221

中丹三町内

 

861

その他京都府下

22,958

8,926

阪神地区

1,268,349

1,268,349

その他近畿地方

615,134

615,134

その他

558,106

558,106

合計

2,494,537

2,494,537

   出所:「福知山市商工観光課課長大槻昭吾氏よりいただいた調査統計」より作成。

2-17地域別物資購入金額比率の変化

 

昭和54

    58

    59

   

福知山市以外の中丹

(中    丹)

8.6

0.3

(8.9)

16.1

0.9

(17.0)

11.3

1.2

(1.5)

その他

91.1

83.0

87.5

合計

100.0

100.0

100.0

        出所:「福知山市商工観光課課長大槻昭吾氏よりいただいた調査統計」より作成。

 

□ ■ □

    次に、運送関係の状況については、昭和54年度の状況は表2-19のようであった。

  昭和50年のアンケート調査の時に「利用できる企業は多い」とする企業が多かった

  ことを考えると、昭和54年度における福知山市の比重の高さに納得がいく。

    以上見てきたように、運送関係における場合を除いて、特に原材料と副資材・消

  耗品の購入において、中丹地区の果たす役割が小さいことは問題である。

       また、福知山市の企業に発注する割合が表2-15に見るように昭和59年度に急激に

     落ち込んでいる事実も見逃せまい。

     近畿自動車道舞鶴線と国道 9号線バイパスが全面開通することによって、京阪神

   と長田野の時間短縮がはかられるが、これによってますます京阪神依存体質が強ま

   っていくのではないかという心配がある。

    中丹地域経済発展のためには、地元下企業の技術力向上をはかり、中丹地域工業

  開発を達成することが大きな課題となってくる。

 

□ ■ □




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