|
@今、バネが自然長の状態で静かに手を離した。おもりはどうなるか?
根本的なところで力学を勘違いしている人がけっこういるものです。
力学とは『力』について考えればよい、と思っているのです。そうではなく、力学とは
物体の運動を考えるものですので、力というものが物体の運動『位置(変位)・速度(速さ)・加速度』
にどのような影響を及ぼすかを考えた上で、さらにそこから運動を考えるものなのです。では、力と運動の関係は
どうなっているのでしょうか。ニュートンの運動の法則がありますが、
『力がかかれば加速度が生じて速度が変化する、力がかからなければ加速度は生じないので速度は変化しない』
ということを完全に理解してほしいものです。
力を考えるときには、地球上においては基本的には
『重力と、そのほかには接しているものから受ける力』だけを考えるものです。
この場合宇宙空間ですので重力はありません。とすると接しているものから受ける力ですが、接しているのは
ばねだけです。そしてこのばねは自然長ですから力を及ぼしません。
ということは、このおもりには何も力がかかっていないということがわかります。ということは手を離したとしても
おもりには加速度が生じませんので、
おもりは静止したままである
ということがわかります。
A次に、2つのバネを同じ長さまで伸ばして同時に静かに手を離した。
この時おもりは単振動をする。では初めの振動において、Mとmのどちらのおもりがが先に手を離した位置まで戻ってくるだろうか?
同じように考えると、おもりには手を離した瞬間からばねの弾性力がかかります。おもりは単振動をすることがわかりますので
周期を計算すれば、周期は質量の平方根に比例するとわかり、すなわち質量の大きいほうが1往復に時間がかかるということがわかります。
ですから質量の小さいmの方が先に戻ってくるということがわかります。
しかし、これは『その時間を求めよ』というような定量的な問題ではなく、『どちらがはやいか』という定性的な問題です。
とすれば、2つのおもりの違いは質量だけですから、『質量の違いによる運動の変化』を考えればよいことになります。
ですから、最初の問題で考えた『質量の意味』を考えてみましょう。
2つのおもりには同じ力がかかり、また振幅も同じですから運動する距離も同じです。同じ力で同じ距離を動くなら当然
加速しやすいmの方がはやいはずです。
というように、質量の意味さえわかっていれば計算しなくてもどちらがはやいかわかるのです。
これは私の個人的な見解ですが、受験で成功するためということなのか、物理の指導が数学的で計算ができるできない
ということを重視するようになっているように思います。そのため大切な性質、自然現象としてのとらえ方ができず
(現象をイメージできない)、何でも計算しないとわからない人ばかりのようです。教える側、そして
教わる側の生徒もそのような『受験物理』一辺倒で、『自然現象を学ぶ理科』としての物理が排斥されているように感じます。
某有名塾では高校生に微分積分を多用した物理を教えています。いったいそんな必要があるのでしょうか。
自然現象を的確にとらえれば、高校物理なんてたいした計算は不要なものばかり(簡単な計算で解けるのです)です。
無駄な計算をすることを教え、現象をとらえられなくする指導は問題あると思いますね。
|