物理をとらえる。 物理:解答編
あなたは物理をどれだけ理解できていたでしょうか?
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[力学]質量のもつ意味
さて、これまで何度か答えてくれた人がいますが、皆、根本的なところで質問の意図を読み違えています。
『質量とは物体の何を表しているのか』、これは量的なこと、すなわち『値がいくらになるか』という ことではなく、性質について聞いているのです。ですから力を加速度で割ったもの、というように 質量のもつ性質がまったくわからないもの(これでは『質量の求め方』でしかないですね)や、 1m/s2の加速度を生じさせるために必要な力、というように量的なものでしかないもの (数値にとらわれずに『性質』を説明できなければいけません)はこの問題の解答とはいえませんね。
ではどういうものが解答として望ましいかというと、質量のもつ意味がよくわかるもの、言い換えれば 『質量の異なる2物体に同じ事をしたときにどのような違いが生じるか』を説明したものがよいのです。
そこで、質量については運動方程式ma=Fがありますので、同じ力を加えたときにどのような違いが 生じるかを性質として説明する、ということになります。
同じ力に対しては、質量が大きければ加速度は小さくなります。逆に質量が小さいほど同じ力に対して 大きな加速度が生じます。すなわち、質量の大きな物体ほど、ある力に対して生じる加速度が小さくなるといえます。
よって、 『質量とは物体の加速しにくさを表している』 という解答になるのです。
または、『質量が大きいほど運動の状態を変化させにくい』 ということもできます。

この解答は、『質量が加速度に及ぼす影響』と受け取れます。では、同じように一定の加速度を生じさせるための 力と質量の関係を考えて『質量が力に及ぼす影響』としての解答も考えられそうですね。
しかし、それよりは『質量が加速度に及ぼす影響』としての 『質量とは物体の加速しにくさを表している』 という解答のほうがより望ましいものなのです。なぜだかわかりますか? 力学とは、『力』学というだけに『力』について考えるほうが望ましいように思えます。しかし、 実際に力学で考えているのは『物体の運動』です。運動とは『位置(変位)・速度(速さ)・加速度』について 考えるものです。ですから、質量の意味としては、『力』より『加速度』をイメージできる方が知識として役に立つのです。

[力学その2]宇宙空間における単振動
@今、バネが自然長の状態で静かに手を離した。おもりはどうなるか?

根本的なところで力学を勘違いしている人がけっこういるものです。 力学とは『力』について考えればよい、と思っているのです。そうではなく、力学とは 物体の運動を考えるものですので、力というものが物体の運動『位置(変位)・速度(速さ)・加速度』 にどのような影響を及ぼすかを考えた上で、さらにそこから運動を考えるものなのです。では、力と運動の関係は どうなっているのでしょうか。ニュートンの運動の法則がありますが、
『力がかかれば加速度が生じて速度が変化する、力がかからなければ加速度は生じないので速度は変化しない』
ということを完全に理解してほしいものです。

力を考えるときには、地球上においては基本的には 『重力と、そのほかには接しているものから受ける力』だけを考えるものです。 この場合宇宙空間ですので重力はありません。とすると接しているものから受ける力ですが、接しているのは ばねだけです。そしてこのばねは自然長ですから力を及ぼしません。
ということは、このおもりには何も力がかかっていないということがわかります。ということは手を離したとしても おもりには加速度が生じませんので、
おもりは静止したままである
ということがわかります。

A次に、2つのバネを同じ長さまで伸ばして同時に静かに手を離した。 この時おもりは単振動をする。では初めの振動において、Mとmのどちらのおもりがが先に手を離した位置まで戻ってくるだろうか?

同じように考えると、おもりには手を離した瞬間からばねの弾性力がかかります。おもりは単振動をすることがわかりますので 周期を計算すれば、周期は質量の平方根に比例するとわかり、すなわち質量の大きいほうが1往復に時間がかかるということがわかります。
ですから質量の小さいmの方が先に戻ってくるということがわかります。
しかし、これは『その時間を求めよ』というような定量的な問題ではなく、『どちらがはやいか』という定性的な問題です。
とすれば、2つのおもりの違いは質量だけですから、『質量の違いによる運動の変化』を考えればよいことになります。
ですから、最初の問題で考えた『質量の意味』を考えてみましょう。

2つのおもりには同じ力がかかり、また振幅も同じですから運動する距離も同じです。同じ力で同じ距離を動くなら当然 加速しやすいmの方がはやいはずです。
というように、質量の意味さえわかっていれば計算しなくてもどちらがはやいかわかるのです。

これは私の個人的な見解ですが、受験で成功するためということなのか、物理の指導が数学的で計算ができるできない ということを重視するようになっているように思います。そのため大切な性質、自然現象としてのとらえ方ができず (現象をイメージできない)、何でも計算しないとわからない人ばかりのようです。教える側、そして 教わる側の生徒もそのような『受験物理』一辺倒で、『自然現象を学ぶ理科』としての物理が排斥されているように感じます。
某有名塾では高校生に微分積分を多用した物理を教えています。いったいそんな必要があるのでしょうか。 自然現象を的確にとらえれば、高校物理なんてたいした計算は不要なものばかり(簡単な計算で解けるのです)です。 無駄な計算をすることを教え、現象をとらえられなくする指導は問題あると思いますね。

[力学その3]3つの力
さて、なぜこの3力を取り上げたのかがポイントです。他の力、例えば重力や動摩擦力との 違いをよく考えるのです。また、これらの力を種々の問題でどのように利用しているかがポイントとなります。
先に答えからいってしまいましょう。
1:状況に応じてその大きさが自然と変化する力
2:とりうる大きさの範囲が決まっている力
というのが答えになります。

まず、1から説明しましょう。
例えば重力、動摩擦力なんかは物体や面などによって決まった大きさになります。しかし、糸の張力などは 状況に応じて大きさが決まります。言い換えると、
問題の初めから値が決まっているもの(問題を見た時点で大きさを表せるもの)が重力mgや動摩擦力μ'Nで、 問題を見た時点では値がわからないのでとりあえずTやN,fなどとおき、『力のつりあい、運動方程式、作用反作用の法則』 の3つを用いて大きさを求めるものが、今回取り上げた3つの力なのです。
ちなみに、あらゆる力は『力のつりあい、運動方程式、作用反作用の法則』の3つを用いて求めることができる というのも重要な事柄です。力をうまく使いこなせない人はこの3つをしっかりと理解しておらず、使いこなせていない ということなのです。

では次に2について。
これは『値が決まっていない』ということと関係あります。それぞれ、T≧0,N≧0,f≦μNの範囲の値を自由にとれるのです。
言い換えると、この範囲を超えるような力を必要とする場合、もはやその力は働かなくなるのです。
円運動や単振動などではよく『面から離れたいための条件(N≧0)』や『糸がたるまないための条件(T≧0)』が あります。また、『2物体が一体となって運動する条件や物体が動き出さない条件(f≦μN)』もよく問題にされています。 それらはこの不等式を用いて解きますね。この範囲を越えたら面から離れてしまいます、というように使いますね。

ここでひとつ追加。静止摩擦力をμNとして間違う人が多いのですが、ここで述べたように静止摩擦力の大きさは 状況に応じて変化します。そこで糸の張力や垂直抗力をT,Nとおくように静止摩擦力もfとおいて求めることになります。 その最大値がμNなだけです。静止摩擦力はとりあえずどんな場合でもfとおく、これも大事な心がけです。

[力学その4]ケチをつけてください。
v=vo+atより、 8.0=2.0+4.0a
よって、a=1.5[m/s2]

確かにこれで加速度は求まっています。しかし、私なら求め方に疑問を感じるところです。
ではまず、加速度とは何でしょうか。それは、
『単位時間あたりの速度の変化』
を考えているものですね。確か物理の一番初めに習ったもののはずです。 ですから加速度は基本的に
『速度の変化をかかった時間で割ってやればよい』
のです。a=(v'-vo)/(t'-to)という式がありますね。
加速度を求めたいなら、その定義に基づきこの式から求めてやればいいのです。
4.0秒間に2.0m/sから8.0m/sまで6.0m/sだけ変化したんだから6.0÷4.0=1.5[m/s2]
これだけでよいのです。
v=vo+atなんてものはこの式を変形してt秒後の速度vを求めるための形にしたものなのです。 加速度を求めるための立派な式があるのに、なんでわざわざ速度を求めるために変形した式を用いるのでしょう。
まったく無駄なことです。加速度が何であるかをしっかり理解せず、数式変形や計算ばかりを頭においているから このような計算を平気でやることになるのです。その結果、物理が本質的に何を考えているものかわからなくなっていくのです。
困ったことに、このように解いている問題集の解答もあれば、このように解いた生徒に何も言わずに正解を与える 先生が多いんですよね。そんなのは『物理』というよりただの『計算』じゃないですか。

なかにはv=vo+atさえ覚えていればa=(v'-vo)/(t'-to)なんて覚える必要がない 、だからいいじゃないか!と反論する人がいるかもしれませんね。しかし、それはおかしいですね。 それこそ物理の中身を無視してただの計算としか考えていないことを露呈しているだけの考え方なのですから。

[力学その5]共通点
『運動』について答えなければならない、ということは、『力』についてどうのこうの言うだけでなく、 そこから『運動』にまで考えを発展させる必要があるのです。
[1]ではmに運動方向にかかる力はMからの摩擦力だけです。この摩擦力によって生じる一定の加速度 で等加速度運動をします。
[2]ではmにかかる力は重力だけです。この重力によって生じる一定の加速度で等加速度運動をします。
いずれにせよ、mの運動について共通なのは『等加速度運動である』 ということです。これが答えになります。

なんだ、そんなものが答えなのか!と思ったでしょうか?しかし、その『そんなもの』ですら理解していない ために問題を解けなくなってしまう人が多いものです。実際、[2]は考えられても[1]はよくわからない という人が多いですね。
では何を言いたいのかというと、結局力学では『等加速度運動』を考えるだけの問題が多いのです。 等加速度運動となれば、極端な話3つの式を使うだけになります。すなわち、
力を考える⇒運動方程式+力のつりあい⇒加速度を求める⇒等加速度運動
という流れになるのです。たいていの問題はこの流れにのっとって解けばいいのですが、 なぜか途中で脇道にそれてしまう人がいます。『力がかかれば加速度が生じて速度が変化する、力がかからなければ 加速度は生じないので速度は変化しない』ということを完全に理解し、『どのような力も加速度を生じさせるものでしかない』 ということを理解してほしいのです。あくまで考えるのは『物体の運動』なのです。

[力学その6]エネルギー
エネルギーというものについて正しい考え方をできるか、ということを聞いた問題です。
まずは答えの説明からしましょう。
エネルギー(力学的エネルギー:運動エネルギーと位置エネルギー)というものについては簡単に言えば2つの使い方しかありません。
1:物体(系)が外力(重力、ばねの弾性力以外の力)によって仕事をされないとき⇒力学的エネルギー保存の法則
2:物体(系)が外力を受け、仕事をされるとき⇒仕事とエネルギーの関係

という2つです。
1はある状態(状態Aとします)とある別の状態(状態Bとします)で、それぞれの力学的エネルギー を比べるとそれが等しいというものです。
それに対して2は状態Aから状態Bへ変化する間に物体が外力によって仕事を受け、その分だけ力学的エネルギーが 変化しているのです。すなわち、状態Aと状態Bとの力学的エネルギーの『変化量』が、その間に受けた仕事に等しい というものです。
数式として用いるなら、
1:2つの状態の力学的エネルギーを=で結ぶ
2:2つの状態の力学的エネルギーの変化量と受けた仕事を=で結ぶ

となります。これが正しい使い方です。

ではこの問題の解答ではどうだったでしょうか?
この問題は2の『仕事とエネルギーの関係』タイプです。ところがこの人の解答を見る限り、 『エネルギーの変化』と仕事を比べていません。ただいわゆる状態Bにおける力学的エネルギーと仕事とを=で結んだ だけですね。
これではエネルギーについて正しい考察をしたとはいえません。採点者としても、この人がちゃんとエネルギーの 変化まで考えてくれているのかどうかわからないのです。
ですから正しくは、
初めの状態では力学的エネルギーは0[J]である。これが手による仕事を受けることで最終的に16[J]まで変化した。
この変化量がこの間に受けた仕事に等しいので、
16-0=Fx0.80
よって、F=20[N]

としてほしいのです。
力学的エネルギー保存は2状態のエネルギーを、仕事とエネルギーの関係はそのエネルギーの『変化量』と仕事を 比較しているというのがポイントなのです。

[電磁気学]乾電池
乾電池と電源の違いです。乾電池だからこそこうして問題になっているのです。
乾電池といえば、『内部抵抗がある』というのが大きなポイントとなっています。
ここで内部抵抗なんていうから特別なものなのか、と思って考えるとわけがわからなくなってしまいます。
内部抵抗といえど所詮は抵抗。他の抵抗と同じように考えればよいのです。
すなわち、簡単に書けば、
『乾電池=電源+抵抗』
となります。ポイントはこれだけです。
とすると、乾電池1つのほうは電源1つ、抵抗1つ、豆電球1つとなります。
また、乾電池3つのほうは電源3つ、抵抗3つ、豆電球1つとなります。
ここで後者は電源の1つが逆向きですので電源1つ分打ち消しあってしまいます。
(電源には向きがありますね。電源とは強制的に両端の電位差を設定してしまうものです。ところが抵抗には 向きはありませんね。どんな場合でも抵抗を通ると電圧は降下します。)
ということは、結局後者は電源1つと同じことになります。
結局、
電源1つ、抵抗1つ、豆電球1つ
電源1つ、抵抗3つ、豆電球1つ

の比較ということになりますので、抵抗の少ない前者の方が豆電球の両端の電圧が大きいですので明るくなるのです。

[電磁気学その2]乾電池その2
先ほどの問題と同じように電池を電源と抵抗にわけてみれば簡単です。
電源で電位が上昇し、抵抗で降下する、そしてまた電源で電位が上昇し、抵抗で降下する。 この1周で最初と同じ電位になるというキルヒホッフの法則を考えてもいいですし、 対称性から同じ電位になると考えてもいいですし、とにかくAB間の電位差は0Vとなります。


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