サー悶ミステリー:2、風呂場の死体

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   恋人の亜希子に呼び出され、雅彦は深夜の12時に亜希子のマンションを訪れた。 亜希子はオロオロしながら雅彦の到着を待っていた。
   「いったい突然どうしたんだい?」
   雅彦の問いかけに答える代わりに亜希子は彼を風呂場へ連れて行った。雅彦はあっと驚いた。 浴槽の湯の中に女が沈んでいたのである。
   「この人、誰なんだい?いったい、どういうことさ?まさか、亜希子、お前・・・」
   「バカなこと考えないでよ!私が人を殺したりするはずないじゃないの! これは私の友達の明美。久しぶりに東京に出てきたんで、今夜は私のところに泊まる予定だったのよ。 それが、寝る前にお風呂に入ったんだけど、なかなかでてこないから見てみたら死んじゃってたのよ!」
   明美は酒を飲んで風呂に入り、不運にも急に心臓麻痺を起こして死んでしまったのであった。
   「医者とか、警察には知らせたのかい?」
   「そんなことするならこうしてあなたを呼んだりはしないわよ。外に明美の車があるから、 死体をそれにつんで明美の別荘に運んでほしいのよ。」
   「なんでわざわざそんなことするんだい?」
   「私、明美に大金を借りているのよ!もしこんな状況で死体が見つかったら、きっと 警察は私を疑うに決まってるじゃないの!だから、明美が自分の別荘の風呂で死んだようにしてほしいの。 彼女はこの時期いつも1人で別荘暮らしだから、だれも怪しむ人はいないわよ。」
   結局雅彦は断りきれず、明美の死体を彼女の別荘に移すことになった。

   死体をビニールシートに包んで車の後部トランクに隠し、彼女の衣類などの荷物も 忘れずに積み込んだ。交通違反でつかまっては元も子もないので、雅彦は運転に気をつけて車を走らせた。
   亜希子のかいた地図をたよりに明美の別荘についたときにはもうすっかり夜が明けて 朝日が昇っていた。幸い林の中の一軒家だったので、目撃される心配はなかった。
   車をガレージに入れ、死体を風呂場に運んだ。玄関のドアの鍵はハンドバッグの中にあった。
   浴室はガラス窓から朝日が差し込んで明るかった。風呂のガスに点火して浴槽にぬるま湯を 満たしてから、その中に死体をつけた。ガスの火は種火だけつけておいて、服や下着は脱衣籠に脱ぐ順番どおりに入れ、 他の荷物は適当なところにおいた。
   そして雅彦はこっそりと別荘を後にした。車はガレージに残しておいた。

   明美の死体が発見されたのはその日の午後3時ごろであった。別荘の管理人が 定期巡回に来てみつけたのである。そのときには浴槽の湯はすっかり冷めていた。
   「死因は心臓麻痺だな。特に不審な点はない。」
   警察医が死体を調べてそう報告した。
   「死亡推定時刻はいつですか?」
   「詳しいことは解剖してみないとわからないが、昨夜の9時から11時といったところだろうな。」    「それでは、たとえ入浴中に心臓麻痺でポックリ逝ったのだとしても、現場はこの 浴室じゃない。他のどこかで死んだのを、何らかの理由で誰かがここに運んできたに違いないな。」
   と、刑事は浴室を見まわして、ズバリ真相を暴いてしまったのである。

   では、いったい雅彦がどんなミスをしてしまい、死体を運んだことがばれたのだろうか?


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