寮生陸上部VS食堂のおばちゃん
7時ジャスト。「ありがとうございました!」。この挨拶をもって陸上部員は解散する。
今日もつらい練習は終わった…と、思いきや!寮生にとってはここからが新たな戦いの幕開けだ。なぜかと言うと、一刻も早く食堂に行かないと晩ごはんが片付けられてしまうからだ。挨拶を終えたら寮生の人数を数え、急いで食堂に駆け込むが、時すでに遅し。今日もまたおばちゃんの機嫌が悪い。おばちゃんは、またか…といった表情で冷えたみそ汁をそそぐ。
去年から始まったのだが食事をする時、くじ引きをして座る席を決めているのだ。始まった当初は、あってもなくてもどっちでも良いくじだったが、今となってはこれが無いと食事はできない。
準備を終え「合掌、いただきます」と、言った時には他の寮生は食事を終えている。つまり食堂に残されているのは我々のみである。
今日のメニューの1つにアップルパイがあった。見た目はどう見ても春巻きそのものである。その証拠に寮生の7割が中身を知らずに醤油をかけて失敗しているという。このように寮飯にはいろいろな罠が仕掛けられているので気をつけなければいけない。
最初に「新たな戦いの幕開け」と言ったが、本格的な攻防が繰り出されるのはここからである。
これから行われることはフィクションでもなんでもない。すべて事実である。
いつもご飯を半分くらい食べたところからおばちゃんの攻撃が始まるのだ。
あっ!食堂の電気が半分消えた! これが戦いのゴング、さしずめ軽いジャブと言ったところだ。しかしへこたれている暇はない。おばちゃんの攻撃はまだまだ続く。「もう営業は終わったんだ。早く帰れよ!」と、言わんばかりに周りのテーブルを拭きだす。違うおばちゃんには「(食事時間が)終わったよ〜!」と叫ばれる。このようにさまざまなプレッシャーをかけて我々を急がせてくるのだ。
しかしこちらも負けてはいない。中村幸士朗はご飯を大盛りにしに行った。彼は早く食べ終わってほしいと思っているおばちゃん達に、真っ向から勝負しにいっているのだ。幸士朗をはじめ、男子寮生達の大盛り作戦は続く。一方、女子寮生も負けてはいない。寮生の中の一番のMVPはなんと長谷川智子である。彼女は一番食べるのが遅い。それにもかかわらず、彼女は急いで食べている様子は全くない。それどころかお茶をおかわりしに行くという余裕ぶり。末恐ろしい…。
「合掌、ごちそうさまでした!」
このような激しい攻防の末、長い戦いは幕を下ろした。
我々も、そしておばちゃんも、全力を尽くした。この戦いには勝者も敗者もない。食堂では毎晩このような戦いが人知れず行われているのだ。今までもそうだったし、これからもそうだろう。てなワケで毎晩迷惑かけて、おばちゃんごめんなさい!