【コラム】
9.家庭環境が与える学力格差
| 「ゆとり教育」の影響で年々学力低下が進んでいる事は説明した。 今回は、「ゆとり教育」意外にも家庭環境が学力低下などに影響を及ぼしている可能性がある事を紹介したい。 岩波ブックレットから出ている「学力低下の実態」に家庭環境が学力に大きなかかわりを持っている事を紹介している部分があるので、そのデータを参考に話しを進めたい。 「ゆとり教育」の導入で生徒の学力は大きく低下の一途をたどっている。 しかし教育方針意外に子供達の周りの環境も、昔に比べ大きく変わってきているのは事実である。例えばテレビ・ゲームの普及は子供達に大きな娯楽を与える事になった。また核家族化、共働きによる鍵っ子など大きな変化がおきている。 まず最初に子供達の生活時間の変化を見てみよう。 表1 生活時間の変化(p.37より抜粋)
表1を見ると01年の中学生のテレビを見る時間は159分になっている。逆に勉強時間が29分と89年調査時に比べ大きく変化している事がわかる。つまり勉強時間が減って娯楽にまわす時間が増えた事になる。これは小学生にも同じ事が言える。テレビに変わってゲームをする時間が増えているのが特徴である。そして「読書をする」の時間に注目してもらうと、やはり減少の一途をたどっている。前のコラムでも読書離れが学力低下に影響している事を説明したが、この調査でもわすが12年で減少している事がわかる。 学校で相対的な勉強時間が減少している中、家庭での勉強時間もすくなっているのが特徴である。さて何故このような状況になってしまったのであろうか?私は親の勉強に対する意識の低下が大きいと思われる。 最近学校に「しつけも学校ですべき」と信じられない事を言っている親がいるほど、学校にあらゆる事を押し付ける親が増えている。通常「しつけ」と言われるものは家庭で行ってきたものだが、今の親は自分がしつけられてきてないので、子供をしつける事が出来ない。だから子供は社会でもマナー違反を平気で行う。親にもマナーがないので子供を怒る事がない。他人が怒ると「怖い人が何か言っているから止めなさい」と言う始末である。このような現状を考えると、家庭で勉強しないのには親の影響が大変大きいと思わざるえない。このような事を言うと「勉強しなさい」と子供に言っている!と主張する人間もいるかもしれないが、何故勉強しないといけないのか?理解した事をどのように生かせばいいのかなどを言わず、単に「勉強しろ!」と言う親がほとんどである。勿論このことは教師にも言える。また勉強出来る環境を作るのも親の役目であるが、果たしてそのような環境を作っている親は沢山いるのだろうか? 勉強出来る環境とは何か? 特に学問に限らず「一流」になった人は小さい頃親に言われた事、親と一緒に見たものなどに感動し、一生懸命勉強しようと思ったと言う人がいる。親と一緒に「舞台」を見て役者を志した人、近くの遺跡に親と一緒に出かけ考古学に興味を持ち考古学者になった人など沢山いる。とくに勉強に直結しなくても何気ない行動が子供に動機付けを与えるのである。勉強が出来る環境とは机や辞書を用意する事だけではな。子供が自ら「もっと知りたい、どうしてそうなるの?」と思わせる経験をさせる事が大切である。またその時疑問に思った時すぐに答えられるだけ親も知識がないといけないし、子供が自ら調べられる環境を提供しなくてはいけない。勉強出来る環境とはそういうものだと私は考える。 現に「学力低下の実態」(岩波ブックレット)でも「家の人はテレビでニュース番組を見るか?」「家の人が手作りのお菓子を作ってくれるか?」「家の人に博物館や美術館に連れて行ってもらった事はあるか?」「家にはコンピュータがあるか?」などアンケートをとり調査した結果、文化的環境の高い家庭程子供達は勉強に対しての意欲・関心が高く、宿題・予習・復習にも比較的取り組み、分からない事は自ら調べる傾向にある事が分かっている。また嫌いな教科・苦手な教科でも一生懸命取り組むと答えた生徒が多く、文化的環境の低い家庭の生徒程ポイントはどれも低かった。 この事から家庭環境が子供たちに与える影響は予想以上に大きい事が分かり、学校内での勉強への取り組み方にも大きな較差が生じている事が今回の調査結果でも明らかになっている。(詳細を知りたい人は「学力低下」の実態・・岩波ブックレットを見て下さい) 学校での指導方法の改善も重要だが、家庭環境の改善も同時に進めなくては意味が無い。二つ揃って初めて走り出すのである。現に東京都の小学校などでは入学前までに「しつけ」をちゃんとさせる事を条件にしている所もある。基本的な「しつけ」は学校でするのではない!家庭でするものである。その辺を勘違いしている親が多い。 そのような親に言いたい。 「もっと子供の事を考えなさい」と。 |