【コラム】
10.テストは何を調べている?
| テストは何の為に行っているのか? 現在の教育では、学校でも塾でも定期的にテストが実施される。テストによって学習成果を確かめるとともに、勉強させるためのプレッシャーとして使われている。もしテストをやらなければ、勉強しない生徒が数多く出るからだ。 では、テストの内容は適切なのだろうか。多く用いられるのは、知識を知っているか調べる問題である。それも、テスト中には資料を見てはいけないため、生徒は必然的に知識の暗記が求められる。 いくら勉強した内容でも使わなければ忘れるのは、当然である。 多くの教科で習う内容は学校でしか使わない為に、社会に出てからは使わないので忘れてしまうのである。それではせっかく勉強したのに勿体。小学校・中学校・高校と勉強してきたのに結果的に全て忘れてしまっては無意味である。勉強する意味すら消えてしまう。 逆に実社会では無駄な暗記をしない。資料を見ながら済ませられるものは暗記せず、暗記が本当に必要な内容だけ暗記する。実際には、何度も繰り返し使う内容とか、非常に基礎的な内容が暗記の対象となる。それ以外の内容は、概要だけ理解しておき、必要なときに資料を参照すればよい。 学校教育と現実社会では求めているものが違い過ぎるのではないか? 今情報化社会と言われる程に私達の周りにはいろんな情報が沢山存在する。私たちは字という道具を使って知識を蓄えてきた。一昔前までは「語り部」と言われる人間が存在していた。字の無い世界では代々大事な事は語り続けられてきた。しかし文字の誕生で今まで語り続けてきた情報を文字にする事で保存する事が出来た。現在はインターネット上に情報を蓄積する事で、私たちはいつでも欲しい情報を手に入れることが出来るようになった。人間自身が情報を覚えておく必要性は徐々に消えつつある。 重要なのは知識をどう活用するかである。 しかし難しいのは知識を覚えていないと、活用する事も出来ないということである。 分かり易く説明すると、何かについて考える時(思考)に私たちは今まで自分が経験してきた内容や、覚えてきた事(知識)を基に判断する。逆に物事を覚える時もある程度知識があった方が覚えるスピード・量も多い。この事からどちらか片方だけ鍛えればいいと言うほど単純なものではない。10数年前までは「詰め込み式教育」を実施してきた。所謂知識の蓄積に沢山の時間を費やしてきた。しかし今日は思考力に多くの時間を費やし暗記の時間を大幅に削減した。これでは意味がない。どちらの時代も記憶と思考の両立がなされていない。 記憶と思考が両方揃って初めて価値のある知識に変わり、自ら物事に対し疑問に思い自ら調べて解決する姿勢が生まれると私は考えている。そして学校で勉強した知識が直接ではなくても、何かを考える時・覚える時・行動する時などに大きく役立つと私は考えている。 しかし現在学校で課しているテストは社会が求めているものではなく暗記中心なのです。 本来テストで調べないといけないのは二点ある。 ・知識を知っているか? ・知識を理解しているか? 上記の二点をテストで本来調べなくてはいけない。しかし実際のテストは「知識を知っているか?」しか調べていないのである。その為にテスト勉強をする際に生徒は「暗記」に走るのである。そして多くの生徒が陥りやすいのは「暗記」はするが「理解していない」という状態である。公式は知っているが公式の意味を理解していない。その公式で出た答えの意味を知らないなどという生徒が沢山いるのはテストの対策の為に「暗記」に走った際に生まれた産物そのものである。だから社会に出て使わないから忘れることや、学校で勉強している事は役に立たないと思う生徒が急増しているのです。 決して学校での勉強は無駄ではない!と私は言いたい。 例えば次のような問題はどうだろう? (例題1) 「A子さんは財布に5000円が入ってます。一枚850円のスカーフと一枚200円のハンカチを合計10枚買いたい。でもなるべくスカーフを沢山買いたい」と思った時、何枚ずつ買えばいいでしょうか? (解答例1) 850] + 200(10−]) ≦ 5000・・・・・・・・@式 ] = 4 Ans. スカーフ4枚、ハンカチ6枚 上記の式を解く事によって何枚ずつ買えばいいのかなどが分かる。 不等式を立てて]の値を出すだけで終わるのではなく次のような質問の問題の出し方も出来る。 (例題2) 例題1のような状況であなたは@式と書きました。 そこにあなたの弟が来て、@式から何故スカーフを4枚とハンカチ6枚が答えなの?と聞いてきました。 何故@式から上記のような答えが出たか、小学生の弟にも分かる様に説明しなさい。 またその際に不等号の性質・整数の性質も説明して答える事。 上記の問題を少し工夫する事で求められる知識は広がります。 単に計算出来るではなく、式自体の意味を理解し、整数・不等号の意味を理解しなくては完全な正解を書くことは出来ません。ただ今回は割り切れてしまいましたが、少数が出てくる問題を作れば整数の意味や不等号の意味を説明しなさい!という問題にもっと意味が出てくると思います。 そのように考えると現在学校で実施しているテストは「知識を知っているか?」を調べるに過ぎないのである。 知識を知っているのか?を調べる事は重要です。しかしそれと同等にもしくはそれ以上に重要な事は、知っている知識を活用できるか?を調べる必要があるのです。 確かに上記のような問題を作ると採点をする教師から見ると、大変労力が増えます。 答えが一つしかなかった今までの問題に比べ、上記のような問題はいろんな答えがあるからです。しかし生徒に豊かな知識を与えたいと思うのなら、知識を知っているか?だけを調べるのではなく理解しているのか?を問うテストを作成した方がいいのではないかと私は考える。 |