「余韻 3」 02.2.5 by F澤
[もしもし」
「あんた、もしもしじゃないわよ!全く何考えているの。急に金沢なんて・・・」
「円香ちゃんが死んだってメールが入ってきてたんだよ。」
「円香ちゃんって・・・あの円香ちゃん?津幡円香ちゃん?死んだってどういうこ
となの?」
「僕にも分からないよ。ただ突然そんなメールが入ってきてたから。事の真相を確か
めようと思って・・・」
「馬鹿じゃないの、あんた。もう何年も前の話だと思ってるの!もう、たぶん引越しち
ゃってるし、死んだとしてたら、どの面下げていく気?生きててももうあんたのことなん
てたぶん忘れちゃってるわよ。」
「そんなこと分ってる!でも行かなきゃいけない、そんな気がして仕方がないんだ。
母さんたちには迷惑かけないし、僕ももういい年した大人なんだから好きにさせてよ!」
「・・・分ったわ。あんたの好きなようにしなさい。もう何も言わないわ。で、今日泊まる
場所とか見当あるの?」
「いや、カプセルホテルにでも泊まろうかと思ってる。」
「それなら亀田さんの所にとまらせてもらいなさい。あんたも覚えてるでしょ?おんな
じクラスだった。」
「ああ、覚えてるよ。」
「あちらのお母さんには近見町市場で蟹とか買ってきてもらったりしてるし、まだお付
き合いあるから。あんた亀田君とも仲良かったでしょ。私が電話して急な話ですがよろ
しくって言っとくから。」
「分ったよ。じゃあよろしく頼むよ。」
「で、あんたいつになったら帰ってくるつもりなの?」
「さぁ、でも頼むから気がすむまでいさせてくれよ。」
「分ったわ。もう好きにしなさい。亀田さんに迷惑かけんじゃないわよ。」
「はいはい。十も承知です。」
携帯が切れたツーツーって音はなぜだか僕をむしょうに不安にさせた。今は2月金沢は
寒いだろうな。そんなことを思いながら、キヨスクで買った発泡酒をぐいっと飲んで、僕は
また浅い眠りについた。不安と興奮が混ざった感情を無理やり抑えるかのように。

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