「余韻 4」 02.3.24 by F澤


  浅い眠りが覚めると、そこは金沢に今着こうとしてるところだった。荷物らしい荷物
 もないが慌ててそこら辺にあるものを集めて出口に向かう。時計はもう11時を回っ
 ていた。出張帰りらしい中年男性達をかきわけてホームに降りる。早春の夜の金沢
 はやはり寒い。「今日は亀田君とこは無理か。」ひとりごちて、金沢の町にくりだす。
 こんな時間ともなるとさすがに北陸最大の都市金沢も暗く、まるで祭りの後のような
 寂寞感が漂う。カプセルホテルを探して町を歩いてるうちに夜は12時になり、タクシ
 ーのヘッドライトだけが夜の街を彩っていく。目の前に煌々としたビルがひとつ。一階
 がローソンになっているビジネスホテルが一軒。「ここでいいか。」誰に聞かせるでも
 なくまたひとりごちて免許証を出しチェックインする。学生証もなくなって就職浪人の
 身、これを無くせば今の僕が僕であると証明するものがない。部屋に入りシャワーを
 浴びると少し小腹が空き、髪を手櫛で整えながらローソンへ行く。まず寝酒を選ぶ。
 さっき発泡酒を飲んだあとだが、ウイスキーだと残ってしまいそうでいやだ。荷物はあ
 まり作りたくない。500mlの発泡酒を二本、つまみがてらにツナサンドを取り、レジでマ
 ルボロを買い部屋に戻る。発泡酒とツナサンドを一気にたいらげ、浴衣に着替えベッ
 ドに横たわる。こんな少しの疲労感から来る眠気と怠惰な空気に染められた夜は寝
 る気にもあまりならない。テレビを見る気にもなれず、煙草を吸いながらFMをまわす。
 するとモーニング娘。の曲が元気いっぱいにかかる。興ざめだ、こんな夜はサックス
 が効いてるジャズでも欲しいところなのに。チャンネルを変えるとレベッカのフレンズ
 がかかる。まるで地雷でも踏んだようだと僕は思う。よりによってというか何と言う運
 命のいたずらかという感じで耳を傾ける。レベッカといえばちょうど僕が金沢にいた時
 にシンクロするのだ。

  〜くちずけを交わした日はママの顔さえも見れなかった
 懐かしい。NOKKOの低音が胸にじんわりくるのはやはりこんな状況で金沢にいるせ
 いだろう。
  〜指をつないだらOHフレンズ、時がとまる気がした
 あの時金沢を去ったあの時のままで時がとまってればいいのにーそう思うと眠れず
 に僕は手持ち無沙汰にアンニュイな夜を過ごすのだった。