「余韻 5」 02.5.15 by わし
ふと気がつくと外はもう白んできていた。
いつの間にか眠っていたらしい。どうやら思っているよりずっと、疲れていたようだ。改め
て二十歳を過ぎた辺りから自覚し始めた体力の衰えというやつを感じる。ゆっくりと体を
起こし、寝起きの一服に火をつけた。軽い昏倒感・・・僕はまだ残っていた缶の中の気の
抜けた中身に口を付ける。この甘苦さ・・・
そうだ、夢を見ていた。一体どれだけぶりだろう。すごく温かくて、どきどきして、こんな
気持ちをまだ味わえるんだ。オープニングもエンディングもない、8ミリのような映像・・・
それは金沢の想い出のフィードバックだったのか、初めての旅の高揚感からなのか。思
い出そうとすればするほど輪郭がぼんやりしていく夢の記憶を追いかけている僕に、メー
ルの着信音が現実を連れてきた。まだ夢の柔らかい余韻が体を包んでくれていたせいか、
我ながらのんきな科白がこぼれる。
「また、出会い系かよ。いつも朝早えんだよ」
つぶやき終わる前に、今度こそ目が覚めた。
madoka-t
液晶に表示されたアドレス。そうだった、もとはといえば彼女のメールからこの旅が始まっ
たんだ!
どうしてきた あ
なたはなにがしり
たい
あまりにも、無味乾燥な文字列。そしてまたしても僕の理解を越える内容。さっきまでと
は全く違った世界に、僕はほうり出された。
「一体何だってんだ。」
今度は心の底から出てきたこの科白に答えは期待できなかった。勿論、メールの質問に
も。

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