今週の一冊

 部員の読んだ本の中で、印象に残っているものを紹介。


第八回 足の汚れが万病の原因だった   文化創生出版

 将棋とは何の関係もない本。とある大学将棋部の合宿に参加させてもらったときに、宿にあった。
 引用。
 「足裏をもむだけで万病が治ることを奇跡のように言う人がいますが、奇跡ではなく簡単な原理です。
(中略)
 しかし、なぜ心臓が動くのか。それはすべてのものが渾然一体とした無極、やさしくいえば宇宙ですが、それが生み出す波浪によって動いているのです。波浪とは、一種の宇宙エネルギーといえましょう。それは一分間に十八回のエネルギーを持っています。
(中略)
 波は風がなくてもおこり、一分間に十八回、岸にうち寄せます。海水が波という形をとって、宇宙の波浪の存在を証明してくれているのです。
 人間がこの波浪を受けると、やはり一分間に十八回の反応をおこします。これが、肺が一分間に行う運動である呼吸です。
 宇宙エネルギーである波浪は陽、人間の肺の運動は陰。陽と陰が結びつくと熱がおこります。陽の波浪十八回を受けて陰の身体の肺が十八回動く。この二つを足してごらんなさい。体温三十六度が生じます。」
 このとき脳裏に浮かんだ言葉は「宗教」であった。信じる者は救われる。
 ちなみに、この本の他の部分は本当っぽいことを書いていた。足裏のツボが分かって、とても参考にならなかった。

第七回 あっと驚く3手詰め   講談社

 偽信以下略さんが、よっぽど今月の一冊が読みたいらしく更新を催促してくる。書けるような本が少ないので困っているのだが。そもそもこれを読んでいる人が偽信以下略以外どの位いるのか と思いやる気は失せていく。
 とにかく書こう。森信雄著のこの本のフレーズは「初心者感動、有段者呆然 ー名著誕生。ー」。いい響きだ。 3手詰めがひたすら200題載っていて、全てが空き王手、両王手物。やはり内容の濃い3手詰めを作ろうとすると空き王手両王手に頼らざるを得ないようだ。とはいえ骨のある問題ばかりで満足度は高い。詰め上がりが詰んでいるのかどうかわかりにくい形にするのがコツなのだろう。王手のかけ方が9通りくらいはあるので、3手詰めとはいえかなり広く読まなければならない。こんな事を説明しても意味がないかもしれない。無作為に2つ選んだ。

第六回 高島一岐代九段攻戦集  (昭和55年 弘文社)

 古本市に行ったところ、この本があり7000円の値がついていた。高島八段(引退時八段、後に贈九段)は大山升田時代の関西の強豪で、昭和30年に名人戦の挑戦者となり4−2で敗れたが大山名人の銀矢倉を一気に攻めつぶした一局は有名である。昭和37年、A級のまま突然引退してファンを驚かせた。現在でも指される菊水矢倉は高島八段の創案、同郷の英雄、楠正成の旗印にちなんだ命名である。本書には、その菊水矢倉で、板谷、塚田両八段を破った将棋も収められている。「日本一の攻め」といわれた高島八段には低く構えて攻めるこの駒組が棋風にあっていたのであろう。また、高島八段は、相振り飛車も得意で、大野、松田という振り飛車の大家を相振り飛車で破った将棋も収められている。ちなみに、高島一門は香落ちの下手は相振り飛車だったそうである。
 高島八段は引退後は大阪に道場を開いて弟子を育成した。棋聖戦の挑戦者となった高島弘光八段は甥である。
             (特別寄稿 ゴーストライター ヒカルさん)

第五回 将棋世界

 将棋の情報誌と言えば「近代将棋」「詰将棋パラダイス」「週刊将棋」がある。しかし「将棋世界」は最もお買い得な雑誌である。週刊将棋は将棋会館で立ち読みが出来るし部長さんが時々部室に持ってきて下さるので買っていない。詰パラはマニアックだし内容の割に高いので買っていない。近代将棋は時々買う。学生棋界に詳しい。
そんなわけで今世紀最初の一冊は「将棋世界」にした。750円の割にはかなり内容がつまっているが、詰将棋や次の一手を全部解かないと元が取れないだろう。ちなみに筆者は二年前に「スーパー大懸賞」なるもので12800円の将棋ソフトが当たったので、それだけでほとんど元が取れている。?
「今週の一冊」ということで二月号に絞る。今月号は大晦日に買って元日まで読んだ。その間、近所で殺人事件が起き、なんとオウムが近所に来そうな事を知り、「21世紀」が到来し、年賀状が来て、清水エスパルスが天皇杯決勝で理不尽なジャッジで負けた。激動の二日間であった。関係ないけど。(脱線。)
「聖の青春」の特集がありました。村山聖を藤原達也が演じるのは仕方がないにしても、森信雄を小林稔侍というのはあまりにも似ていない。一月六日午後二時より、TBS。「オール学生の大会があるじゃないか!」という人、残念でした。(また脱線。)
付録で玉の囲いの名称を解説していました。「裾固め」「銀雲雀」「銀象眼」などと聞いても何のことかわからない人が多いでしょう。38玉ー48銀の囲いを「三手囲い」としていたのは納得がいかない。「早囲い」でしょう?あと「ミレニアム」「三浦囲い」「トーチカ」などと呼ばれる囲いがありますが、人によって考え方がかなり違いますな。個人的には「ミレニアム」「三浦囲い」は嫌い。「トーチカ」は悪くはないけど「かまぼこ囲い」あたりでいいんじゃないかな。
勝ち抜き戦結果での「田中寅彦九」がいまだに間違えたまんま。  (P) 

第四回 鈴木流四間穴熊

 初めて普通の本にしてみた。部員の中でもファンの多い、鈴木大介著。毎日コミュニケーションズの「振り飛車新世紀シリーズ」。1200円の中に四間飛車穴熊の定跡がたっぷりつまっており、四間飛車穴熊の入門書としてはかなりお得で役に立つ本だと思う。大内延介著「史上最強の穴熊」と合わせて読むとほとんどの戦法に対応できる。筆者も中一の頃かなりお世話になった。とはいっても、「玉の堅さにものを言わせ大さばき」、といったような穴熊らしい戦い方はほとんどしなかった。美濃囲いに比べ定跡を覚えなくて良い、と当時は思っていたのだ。
最近は、「自分は得意、相手は不得手」というどっかの本に書いてあったような状態に持ち込むことが「勝利への最短の近道である」という考えに洗脳されてしまったので、「宗歩流四間」「大野流」「65ポン四間」「ツノ中」「ゴキ中」「盛り上がる雁木」など相手が知らなさそうな戦法が好きになった。怪しい形に自分の定跡を加えるのはロマンがある。
この本だが、穴熊党で自称「序盤が弱い」Sのぶを定跡党にしてしまえと思ってSのぶに貸してみたところ、一日で「読みました」といって返された。「取りあえず全部読んだ」とのことだが、それでは意味がないと思うぞ。またH物二段に貸したところどうやら四間穴熊を指し始めたようである。しかし四間飛車は相手が研究していることが多いので、そのうち嫌になって中飛車などを指し始めるだろうと睨んでいるのだが・・・。中一には四間飛車党が多く、しかもみんな美濃囲いなので、ある1人に貸したところ(誰だったっけ?)まだ返されていない。どうなっているのだろうか?
玉の囲いに関しては、人によって考え方がかなり違う。しかし穴熊は学生棋界で絶大な人気を誇り、相穴熊は「将棋の純文学」と言われる。もし振り飛車穴熊を指したいと思ったら、まずはこの本を買う事をおすすめします。どこかの本屋にはあるでしょう。  (P) 

第三回 最新将棋必勝法

 名人 木村義雄著。なんで普通の本が紹介されないのか?というと「書きにくいから」である。 1950年に世界社から発行された定価290円の本らしい。なぜ我が家にあるのかというと「大昔古本屋で買った」(らしい)。もうボロボロになっている。1950年に290円って無茶苦茶高くないだろうか?なお、「社」「価」「円」等の字はもちろん旧字体でかかれている。
内容は、「二枚落必勝法」「飛香落」〜「新傾向相懸戦の研究」までである。前書きには、「極く初歩の将棋愛好者に対し、最も簡単で且つ最も短距離の研究道程をたどり、最も的確な、且つ最も能率的な棋力の養成法、といつたようなものが欲しいとの、本書への注文である。」だそうである。そんな物があったら苦労はしないよ。古すぎて、参考になるようなことはかかれていない。また旧字体が多く読みにくい。
「二枚落必勝法」では、現在でも有名な「銀多傳」(銀多伝)が解説されている。この定跡は98香とあがっておくのを忘れるとはまる手順があるのだが、(谷川も昔はまった、とどこかで読んだような)
「下手の98香は、最も肝要な一手となる。若しこの用意を怠ると、(中略)作戦的に重大な齟齬を生ずるから、かかる場合に、九九に下って、飽く迄當初の狙ひを保持する用心である。」 と丁寧な解説がされている。銀多伝定跡と、「二枚落ちの上手は角頭を攻める」という事を筆者に教えてくれたのは実は「5五の龍」であるのだが、おそらくこの「最新将棋必勝法」で有名になったのではないだろうか。
「二枚落ち」と言えば思い出すのは去年のことである。教室で後ろに座っていた某O和D氏が「おまえどのぐらい将棋が強いんだ」と聞いてきたから「OW田に二枚落ちで勝てるぐらいだよ」と答えたところ「じゃ指してやろうじゃないか」ということになり、部室で指すことになった。大WDさんは意外にも強かったが、この角頭攻めを知っていたおかげで勝負型に持ち込み、無理矢理玉頭から詰めろをかけ大差で勝ったのである。おそらく小学校では一番強かったと思われた負けず嫌いのO和田さんは以後将棋部に入り大活躍、四段にまで上がりつめました。つまりこの本の二枚落ちの定跡は隠れたところで開成将棋部に甚大な利益をもたらしたのでした。ちゃんちゃん。〜この物語はフィクションが含まれています。〜
そんな大昔のこの本はもうどこにもない。と思われるが・・・  (P) 

第二回 羽生必敗の法則

 田中寅彦著の怪しい本。
部室にあったのだが、誰がこんな本を持ってきたのだろうか。「羽生七冠フィーバー」に便乗してかかれたこの本は、羽生の弱点?についてこじつけて分析し解説している。
例を挙げると、
 福田選手がPKを外すと羽生が負ける。
 異端な戦法でかき回すべし!
 羽生は千日手後の指し直しに弱い。
  など知りたくもない事を教えてくれた。こんな本が書けるほどに羽生は強いんだなぁ、と実感してしまうだけである。
ただ、    駒に鼻クソをつけて取らせないようにする。      対局中に「中腰振り振り」で羽生の笑いを誘う。       といった盤外戦術はとても参考になった。(冗談ですよ
もちろん「対羽生」なので我らアマチュアはあまり応用できる戦術が少ない。そこで、この本の流儀にのっとって「盤外戦術 究極のシナリオ〜アマチュア版」を考えてみよう。

  相手は強豪のX氏。とても勝てる相手ではない。そこで盤外戦術を使うことにした。まずは駒を並べるところで飛車と角、金と銀を逆にしてX氏に初心者だと思わせておく。
振り駒だが、「じゃんけんぽーん」と叫び、勝てば先手番を握り、負けても「じゃ振りますね」とと言って(相手の駒をさりげなく使って)振り駒をする。(なお16分の15の確率で先手番を握る方法がある。)
「ふつつかですがよろしくお願いいたします」と握手を求める。
9手目のところで、某O氏の口癖である「こういうしょうぎはあやしくいくんだよ・・・!」とつぶやく。
11手目のところで「私の予想したとおりになりましたね」と誇らしげに言い、
13手目のところで「んん?」と言いながら盤に覆いかぶさり、かつ相手の目を見つめ続ける。
15手目のところで「難しい将棋になったねぇーとても勝てる気がしない」とばやき、
17手目のところで駒を盤に打ちつけ少し盤面を乱す。
19手目で「これ本将棋でしたっけ?」と尋ね、
21手目で「すみません、失礼でしたか・・・?」と謝る。
23手目で「わかんねー あーだめだー」と某S氏のようにぼやく。
25手目で「ちょっと汗が・・・」と言いX氏の額を拭く。
27手目で「よめねー なんだこりゃー」とやはり某S氏のようにぼやく。時計の裏に手を回し相手の時間を減らす。隣の盤からそーっと駒を取ってくる。
後は略。変質者だと思われますが、やりたい人はどうぞ。     やっぱり内輪ネタになっているような・・・  (P) 

第一回 5五の龍

 つのだじろう著の将棋漫画。
25年前に「週刊少年キング」に連載された。主人公がプロ入りを目指し、「5五龍中飛車」という戦法を編み出して奨励会を勝ちあがるが、2級にあがったところで物語は終わってしまう。筆者が7歳の頃に読んだ懐かしの漫画である。 
今読み返してみると、絵はあまり御上手ではないようだが、「月下の棋士」などとちがって展開が非常にリアルかつ波瀾万丈だ。将棋の場面が非常に多く登場するが、こちらは縁台将棋の延長のようなウソクサイ手順もある。現役の奨励会員が、主人公の単純な中突に破れてしまったりする。 例 「押さえる→きる→ぶち込む→押さえる→ぶち込む→押さえる→ぶち込む」 という誰かさんのような攻め。 
 といった場面があるかと思うと、プロの監修を受けたおもしろい問題も多い。(図)詰将棋慣れしていれば簡単ですが・・・・
 
部員の間でも評価が分かれていますが、とにかく不朽の名作です!なお、ルールを覚えたてだった筆者の上達に役立ったこの本は、いまでもどこかの本屋にある・・・はず。  (P)                                                                                                                                 


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