第17講 |
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第17講 今回は1967年にキンクスが発表した「サムシング エルス」です。 このアルバムをフェイバリットに推すファンも少なくないと聞きます(ジャムのポール・ウェラーもそうだとか)。 この作品の特筆すべき点は、アルバムの中身の多彩さでしょう。シングルアルバムの中にビートルズの「リボルバー」を思わせるような13曲の多様な音楽が含まれているわけですが、その中でも有名なのがシングルにもなった「道化師の死」、「ウォータールー サンセット」、さらには隠れた名曲「デビット ワッツ」、「アフタヌーン ティー」など。特に「ウォータールー サンセット」と「デビット ワッツ」のメロディの美しさは筆舌に尽くし難いものがあります! キンクスはいつもそうですが、ここでもユーモアに富んだ歌詞が幾つも見受けられます。冒頭の「デビット ワッツ」はなんでもできるクラスメートの「デビット ワッツ」を羨むストーリーであり(曲の冒頭で教室のざわめきが流れてくる)、三曲目の「二人の姉妹」は家庭を持ちその生活に疑問を抱いている姉が独身で好きな生活をしている妹を見ての心境の変化を歌い、B面二曲目の「レイジー オールド サン」はレイ デイヴィスの宗教への視点が見てとることができ(このサイケな曲を聴くと初期のピンクフロイドを連想してしまう)、ラストナンバーの「ウォータルー サンセット」はレイの過ごした故郷を歌うキンクス版「ペニーレイン」ともいえる作品です。他の追随を許さないキンクス独自のポップセンスと社会への視点はここで完全に確立されたものだと思います。 ちなみに今でも現役活動中のキンクスですが、この作品を最後にイギリスではアルバムがチャートインしていないそうです。「いいレコードほど売れない」という言葉がありますが、まさに彼らのためにある言葉かもしれません。 |