第20講 |
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第20講 ニューヨークドールズのセカンドであると同時にラストアルバムでもある「in TOO MUCH TOO SOON」(邦題:悪徳のジャングル)。1974年の作品です。現在このバンドのCD、又はLPがどうも手に入りにくい状況のため情報があまり無いのですが、前提の知識なしにコレを聴いた時、久々にやられました。 ツインギター、ハーモニカボーカル、ベース、ドラムスの5人編成のニューヨーク出身バンドです。ライブの手法や曲の内容から「アメリカのストーンズ」なんていわれていたそうです。 そしてグラム全盛の時代背景を意識してか、グラマラスなファッションで演奏をしていたんですが、その後のパンク・ニューウェーブの連中からは商業ロックの槍玉にあげられることなく尊敬されていたという不思議な存在(グラムがパンク・ニューウェーブに発展したという説もありますが)。 ではアルバム紹介。まずジャケなんですが、最初見たときはライヴアルバムかと思いました。演奏シーンをジャケにしてます。そして右端にいるギタリストが悲痛な顔をしているので、バリバリ弾いてるのかと思いきや、なぜか右手にはリカちゃん人形らしきものが(笑)。裏面見ると、確かにストーンズみたい。なんかミックに似てるメンバーもちらほらと。そして左下に小さな字で「THIS ALBUM IS DEDICATED TO DIANA BARRYMORE」と書いてあるんですが、ダイアナ・バリーモアとは誰でしょう?ご存知の方がいたら教えてください。 アルバムの内容は、A面B面ともに5曲ずつの構成。トータル性やコンセプトがあるわけでもなさそうで、全曲にロックンロールをベースにしたと思われる痕跡が聴かれます。歌詞は哲学的アプローチも見られ、コーラスも多用に使い、ブリティッシュロックの影響が垣間見えます。シングルとなったA2の「悪徳のジャングル」はメロをアフリカサウンドにし、サビでいきなりロックンロールになるという構成の面白さ。 ちなみに私が気に入ってるのはB面で、B1の「パッスンブーツ」ではストーンズぽいボーカルとコーラスが妙に美しい。最後に銃声が聴かれるのも歌詞に合わせたアイデアでしょうか。 特に好きなのがB3の「バッド ディテクティブ」。中国ぽいギターで始まり、低い声で「Bab Be Bab Be Babba Rin Tin Tin…」という初耳なコーラスをバックにロックンロールとチャイニーズエッセンスを違和感なく融合させています。 そしてラストナンバーの「ヒューマン ビーイング」は完全なストーンズ(ぽい)ロックンロール。しかし意味深な歌詞からはニューヨークドールズ独自のセンスが感じられます。 このアルバムが素晴らしいと思うのは、全曲がロックンロールというある種狭い範疇で製作されたものでありながら、一つ一つに何らかの特殊なアイデアを含ませ、それとロックンロールサウンドを違和感なしに融合させてしまう、ロック・ポップスサウンドとしてギリギリのラインを走っている、その緊張感が感じられるからだと思います。まったく個人の見解ですが。理屈抜きでも充分格好いいです。 |