第21講 |
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第21講 フーの1971年発表の「WHO'S NEXT」(フーズネクスト)です。 ロック・オペラの不朽の名作として名高い「トミー」の後(ライヴアットリーズを挟んで)に製作されたスタジオアルバムです。この時のメンバーはデビュー以来のオリジナルメンバーである、ピートタウンゼント(G)、ロジャーダルトリー(V)、ジョンエントウィッスル(B)、キースムーン(D)のラインナップです。 コンセプトアルバムである「トミー」の後ということで、こちらも壮大なコンセプトアルバム「ライフハウス」となる予定だったものがレコード会社の都合で断念され、結局「ライフハウス」用の曲を織り交ぜたりしたシングルアルバムという形で「フーズネクスト」が発表されました。 ジャケットで見られるデカイ石は恐らく「2001年宇宙の旅」に登場するモノリスをイメージしてる思われます。この映画は確か1970年の発表だったので、製作時期を考えるとピッタリ重なります。 中身の方はA面5曲、B面4曲という構成。トップの「ババオライリー」はピートが自身でヴォーカルをとる彼の意欲作。まだ初期のシンセループが聴けます。「10代は不毛の時代だ/10代に実りなんかない」という歌詞は、「マイジェネレーション」を180度回転させたような内容で、非常に興味深い。30歳くらいにもなるとそんな風に自身の不良然とした過去を回顧するものなのかもしれません。この曲のラストではキースがコンポーズを担当したバイオリンが聴かれますが、これが彼の超速スネア連打(フィルではない)と相まって美しい仕上がりです。 次がこれまた名曲の「バーゲン」…駆け引きと訳しましょう。間違ってもデパートの歌ではありません。 ハイスピードで迫っておいて、いきなりアコースティック調になって今まで走っていたロジャーがそのスピードを守りつつバラード風に雰囲気を持っていったり、という息もつかせぬ曲展開は圧巻です。ラストで聴けるキースのドラムはどうやって叩いているんだろう。まず手が三本ないと無理だと思いますが。 四曲目はジョン作の「マイワイフ」。奥さんに追っかけられる男を歌ったかなり面白い曲なんですが、彼の最高傑作と言われたりするほどの評判です。ヴォーカルもジョンで、ホルンも吹ける彼は間奏でのホルンも担当してます。ちなみこの曲以外は全てピート作です。そしてこの曲で私はタ○リ倶楽部という番組で全国に名前が知れ渡ることになりました(実話)。 B3に収録されている「ビハインドブルーアイズ」はロック界の中でも屈指の名バラード曲と言っても過言ではない名曲。アコースティックギターと少し重いベースの上をバラードの得意なロジャーと分厚いコーラスが悲しくなるような美しさで歌い上げ、途中でロック調に転調するところも完璧。 そしてラストナンバーも超名曲の「無法の世界」。8〜9分の長尺のナンバーですが、時間を忘れさせるような底から天井まで上下する静と動の曲展開は勿論、一人一人の個性も光ります。特にここではキースのドラミングが凄い。リズムという概念を完全に打ち壊す天衣無縫さに感動。クライマックスはなんといってもラスト近くで聴けるシンセループをバックにしたキースのドラムソロの直後でロジャーが喉を最高に絞らせて叫ぶところでしょう。そして最後はピートらしくオペラチックに演奏をキメて終わり。ココはいつ聴いても背筋に寒気が走るような感動を覚えてしまいます。音は少しソフトな気がしますが、逆にライヴバンドとしてのフーの演奏の実力を感じることもできるし、なによりも誰もが感じてしまうロック的なカッコよさがこのアルバム、そしてフーというバンドには強烈に感じます。 |