第22講 |
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第22講 1972発表のイエスの「Close To The Edge」(邦題:危機)です。当時は彼らの黄金期と言われるだけあってメンバーも最強です。 (V)ジョン・アンダースン (G)スティーブ・ハウ (B)クリス・スクワイア (K)リック・ウェイクマン (D)ビル・ブラッフォード …以上の5人です。この5枚目のアルバムまでにオリジナルメンバーの(G)ピーター・バンクス (K)トニー・ケイが脱退しています。 このバンド、今までメンバーチェンジが何度も行われ、もともとはイギリスロック的な大作志向だったのが、このアルバムの頃にはシンフォニック的アプローチにまで昇華、その後はモダンポップを追求したりと、音楽的な変化もかなりのものです。(キングクリムズンもメンバーチェンジが多いけど常にロバート・フィリップの志向が軸なのだから状況は全く違う)。 「プログレッシブの雄」と目されるだけあって、当時の彼らはかなり技術の高いプロ集団。初期から1曲10分ぐらいは普通でした。 特に「危機」では約40分のアルバムに三曲という大作的構成。しかしどの曲もインスト的なつまらない作品になることなく積極的にヴォーカルを取り入れ、タイトル通り聴いている間張り詰めた緊張は最後まで切れないこと間違い無しです。そしてプログレと言われるだけあって、ジャケットもサウンドとの不思議な統一感、歌詞も実に難解(ホントに意味不明…)。歌詞を手がけるジョンは哲学書に傾倒していたそうです。て訳で私は感覚で楽しんでいます(笑)。 このアルバムは文字通り「筆舌に尽くし難」く、こないだの某音楽誌の「歴代ロックアルバムベスト20」に入っていたぐらいだからいきなり聴いて間違いはないと思います。インテリな音楽を楽しむ人なら特に。 ラストの「サイベリア・カートゥル」は特に素晴らしい。9分間の完全なシンフォニック・ポップ(それでいて実は複雑な構成!)を聴かせたのは奇跡です。 しかしこのアルバムを最後に、私も尊敬するドラマー、ビル・ブラッフォードはバンドを脱退。後釜にアラン・ホワイトが加入しますが、ジャズ畑出身でフリードラミングが売りのビルとは違い、スタジオミュージシャンあがりでフツーにうまいアランでは「危機」のようなアルバムの再演は不可能になり、イエスは停滞期に入っていきます。やはりイエスのドラマーはビルでなきゃダメなんです。ライブで聴き比べてもビルのドラミングには個性的アイデアとイギリスの泥臭いかっこよさがある。 9月に黄金期メンバーで来日予定のイエスですが、唯一ドラマーだけはアラン・ホワイトなのでいこうかどうか迷います。それだけ私の中では彼が存在するか否かでイエスへのイメージが変わってしまいます。他のメンバーも凄い。ベースのクリスは世界でも5本の指には入ると言われるほどのテクの持ち主だし、ヴォーカルのジョンはかなり高い声で中性的。それを今日まで維持しています。ギターのスティーブはスパニッシュやフォークも操れるし、リックはライブで幾つものキーボードを自由自在に操る。そしてロックバンドでも屈指の美しいコーラスバンドでもあります。更に彼らはいつもステージで再現不可能と言われるスタジオ作品を見事に再現してきました。 あまりアルバムの説明をしてこなかったんですが、このアルバムに関しては説明がとても難しいし、先入観なしでこの壮大なアルバムを聴くのも面白いと思います。 |