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第25講 1967年夏、まさに「Summer of Love」に発売されたのがピンク フロイドのファーストアルバム「The Piper at the Gates of Down」です。 現在の邦題は「夜明けの口笛吹き」ですが、発売された当時は「サイケデリックの新鋭」なんて、まぁ時代を感じさせるタイトルだったそうです(笑)。 このアルバムは現在ではかなりの評価が高まっていて、最近の某雑誌の記事では「ファーストアルバムから完全に個性を確立していたグループはフー、クイーン、そしてピンクフロイドぐらいのものだろう」なんてのもありました。 実際当時トゥモロウ、ジェファーソンエアプレイン、ドアーズ、グレイトフルデッド、ジミヘンドリックスなど様々なバンドがサイケデリックな音楽でデビューする中、ピンクフロイドは他のバンドとは違う聴覚的に明確なサイケデリックロックを提供しました。 オリジナルのメンバーは G.Vo)シド バレット Ba)ロジャー ウォーターズ Kbd)リチャード ライト Dr)ニック メイスン の四人。このファーストアルバムではシド バレットが主導して作られ、11曲中10曲にシドが作曲で関わっています。シドはこのアルバムで、自分達のライヴと同様に長い演奏を基調としたアルバムを作ろうとしたところ、レコード会社がそれでは売れないと判断したため、短い楽曲集でポップなものを中心に作られることになったそうです。 ピンクフロイドが当時の他のサイケバンドと違ったのは、多彩なサウンドコラージュ、ギターやキーボードのソロパートを強調して押し出したりすることでギラギラとしたサウンドを作り出し、更にはスピーカーのチャンネル移動を有効に使ったり、サイケデリック調のコーラスをふんだんに使ったりすることで今までになかった新しい音楽を提示し、サイケデリックのビジョンを明確なものにしたといえます。 また哲学の要素も盛り込んだ歌詞の難解さもサイケなイメージを助長しています。 ほとんどの曲がサイケデリック・ポップに仕上げられているなか、7曲目の「星空のドライヴ」約10分に及ぶインストルメンタル。タイトル通り、まるで夜の空へ飛んでいるような感覚に襲われる名曲です。ラストナンバーの「バイク」ではかなり複雑なサウンドコラージュが聴きもの。 このアルバムは全英6位とかなりよい成績をおさめましたが、常軌を逸したシドは次のアルバムに一曲だけ残してバンドを脱退。二枚のソロアルバムのみを残して音楽産業界からは姿を消しています。絵を描いているなんて話もありますが。 ちなみにこのバンドは今でも存在する長寿バンドなんですが、去年発売したべストアルバム「エコーズ」では、なんと一曲目とラストナンバーがファーストアルバムと同じ。更にシドの作った曲が5曲も含まれています。 26年のバンド活動の中でたった1〜2年しか在籍しなかった彼の曲がこれだけ占めてしまったり、アルバムの構成もファーストと同じにしていることから、シドの存在、そして彼の在籍時に作り出したファーストアルバムは現在のピンクフロイドにもかなりの影響を与え、今でもその重圧が彼らにのしかかっていることが伺えます。 このアルバムのアシッド感覚は未だにどのバンドにも破られていない、現在でも新鮮なものだといえます。 |