Introduction
最近のテレビの歌番組にはあたりまえのように多くのロック・バンドが出演し、沢山
のヒット曲を演奏している。彼等の多くは髪にカラフルな色がついていたり、濃いメ
イクで素顔を隠していたり、派手な衣装に身を包んでいたりするが、誰も気にする
人はいない。ロック・バンドのメンバーが日常生活とはかけ離れたルックスをしてい
ることを、日本中の人々は当然のこととして納得し、少しも違和感を感じていないの
だ。だが、たった十数年前の日本のロック・シーンは全く違っていた。派手なロック・
バンドは保守的な人々に異端視され、やることなすこと批判の対象にされた。テレ
ビの音楽番組に出演することはもちろん、ヒットチャートの上位に顔をだすことさ
え、非常に難しいことであった。そんな茨の道を切り開き、現在のロック全盛の音
楽シーンを作り上げた先鋭が、Xだった。彼等が89年にメジャー・デビューしたと
きのキャッチ・コピーは「Xはメジャーを変える」という過激なものだった。多くの関
係者はこの言葉を聞いて、「ルックスだけの連中が大ボラを吹いている」と鼻で笑
っていた。しかし、Xは常識を覆し、1つ1つ日本のロック・シーンを塗り替えてい
った。シングル・ヒット曲を連発し、音楽番組はもちろんのことバラエティ番組にも
積極的に顔を出して知名度を高め、ライヴをやれば常に記録的な動員数を誇り、
他のバンドとは比較しようも無い程のドラマティックな盛り上がりを見せた。そして
彼等はいつのまにか日本を代表するバンドに成長し、栄光の頂点へと上り詰めた
のである。その一方常にチャレンジ精神を持ち続ける彼等は、次々と今まで誰も
トライしなかった新しいことへと目を向けて、音楽以外の分野にも積極的に進出し
た。そんな彼等の生き方は多くのファンに感銘を与え、カリスマ的とも言える絶大
な人気を誇っていた。彼等が日本の音楽シーンに残した功績は数多いけれど、
もっとも大きなものと言えば、ファンに与えた勇気と感動かもしれない。多くの若者
達がX、XJAPANの精神に影響を受け、自分の生き方と真剣に向き合うことに気
付かされた。X、XJAPANは巨大なハリケーンのように日本の音楽シーンを席巻
し、多くのヒット曲と思い出を残して時代を駆け抜けて行ってしまった。今、伝説と
なった孤高のバンドX、XJAPANに敬意を表し、彼等の波乱万丈な歴史をもう一
度振り返ってみよう。

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