公演評


99/3/27:春季演劇祭『With the spring wind〜春風にのせて〜』
99/6/19:夏期自主公演『童話裁判』
99/9/19:文化祭公演『四月になれば彼女は』


99年3月27日―
第10回大宮地区春季演劇祭『With the spring wind〜春風にのせて〜』
 2月5日に1度だけ練習を見させてもらった公演。その時に台本はもらっていたから話の流れは分かっているし、そんなに笑う事もない(話を知っているから)と思っていたけど、それでも笑った。評は、話の流れに合わせて書く。
 最初。友治(小川真樹)と咲子(久保ゆりか)がそれぞれ机の前に座っている。1箇所、台本と本番とで異なる台詞(「スッポン!…何言ってんだ」)があったが、多分自分たちで変更したのだろう。まあ、台本の方も無理があるし。
 転換。友治の部屋。友治の独り芝居もマル。そこへ達郎(原田雄太)がドアを開けて入ってくる。うわ〜、立て付けの悪そうなドア!この“友治の部屋”の場面では、まず友治と達郎の掛け合いが大事。友治にパンツをかぶせるタイミング・動きも自然だったし(「うわ〜変態かめ〜ん!」と思いました)。
 ……やめた。1つずつの場面ごとに書くのは、その芝居を観ながらじゃないと駄目だ。今はもう書けん。大まかに書こう。
 全体的にテンポが良く、不自然な間はなかった。1人ひとりの技術が上手く噛み合い、以前のような“ワールドカップフランス大会開幕戦のブラジル”のような事はなかった。むしろ“決勝のフランス”。今まで観た演劇部公演の中で最高レベル。いやあ、上手くなったなあ。百武さんが絶賛するのも良く分かるよ。
評点: 7.5 <サッカー方式/平均は6.0> / 80点 <100点満点>
 
小川真樹【野田友治】
 僕がイメージしていたような演技をしていた。動きも機敏だし。独り芝居も上手。少しオーバーなくらいの方が、舞台演劇としては良い。それでもオーバーなところはあったが。一番最初の咲子との『二重音声クイズ』のように2人の台詞を合わせて言う所は、良く練習したのだろう。タイミングはばっちり。次に、掛け合いのようにそれぞれの手紙を読む。相手の台詞を聞いて、自分の手紙を読むというだけだが、その2人の台詞のあいだの間が難しい。これも問題なし。“響子とのシミュレーション・咲子との実際”での、「ガーン!」といった表情も良い。こういったところで笑えるというのは、良い演技。演技力最盛期か。評点“7.0”。  
原田雄太【山岡達郎】
 流れの中の芝居でも一定レベル以上の力を発揮していたが、特筆すべきは“友治の心情を語るナレーション”。大きく、トーンや抑揚も良い声をしている。心情に合わせた声を使い分け、これを聞けただけでも、この舞台の元は取った気になる(僕の中では)。評点“7.0”。  
久保ゆりか【花園咲子】
 若干低めの声で、真面目で純情な女子大生という役を良く演じていた。僕が台本を読んだ時に浮かんだ“咲子”のイメージを見事に体現。こんな女性だったら確かに“第一高校のマドンナ”と言われるのも良く分かる。そりゃ彼女にしたいわ。僕だってそう思うもん。評点“7.0”。:友治との掛け合いは“小川”の項に。  
島崎香織【川井響子】
 次代の演劇部を任せるに足る逸材。高1なのに、演技の上での彼女は僕より年上と言われても全然違和感はない。明るくって意外と気を遣い、それでいてどこか抜けている“響子”を堅実に演じていた。ミスもなく、何と言うか“全盛期のドゥンガ”といった役者に成長しそう。“7.5”。  
田中一仁【谷村義雄】
 出番が短く、自分の存在感を出すのは難しかった。それでも、“自分勝手で軽い男”という役柄は良く分かったし、十分及第点。まあ、小川に殴られるシーンで「どう見ても当たってないじゃん!」と分かってしまったのは仕方ないか。“6.0”(この点数は合格点よ。無難な演技でした)。  
【音響】
 転換の時の『フットルース』が僕の心にヒット。知られているかどうかという微妙なラインの選曲が良い。  
【照明】
 『フットルース』がかかる、公園への転換の時に青く暗い照明が点いていたのだけはどうしても分からない。それ以外では別に不備もなかったのにね。  
【衣装・メイク】
 咲子の衣装は初期の“モーニング娘。”を意識したのかなあ?白いニットにタータンチェックのスカート、紺のソックス……。そう思うのは僕だけ?  
【大道具】
 上にも書いたけど、友治の部屋のドア。仕方ないのかもしれないけど、開け閉めするたびに左右にふらつく立て付けの悪さだけ気になる。多分壮ちゃんだったら、こういった所でも完璧を期していたろうからもっとしっかりしたドアを造っていただろう。ここだけは唯一大道具で気になった。だが、郵便受けは良く出来てる。  
【小道具】
 エロ本を持ってきた人、その勇気に脱帽。ほとんど使われなかった衣装ラックや机の上の雑多な物など、細かいところへのこだわりが舞台を引き締めていた。  
【演出】
 ここが一番評価しづらい。僕の時もそうだったけど、「何をもって“演出”とするか」という事がはっきり決まっているわけではないから、茂原さんがどういう風な仕事をしていたかという事にかかってくる。でも、この舞台を観た時に不自然なところとか無かったと思うから、全然問題なし。

99年6月19日―夏期自主公演『童話裁判』
 今回は練習も見ていない。前回の公演が良かったのは、3年生の引退公演でもあり、演技レベルが最高点に達している状態での公演だったためなのかな?今年度新たに入った1年生のデビュー公演なのだが、辛口の僕はそういうことはほとんど考慮しない。まあ、そういう事を考慮すれば、まあそれなりに良かったかな?という感じではある。でも、僕個人の考えを言わせてもらえば、演出上やや無理があったり、「これはいらねーだろ」というところがあったことは否定しない。全体的には、何となく単調だったし。メリハリがないというか……。なお、ここで書くのは悪い面が中心。いい面もあったよ。
評点: 5.0 <サッカー方式/平均は6.0> / 60点 <100点満点>
 
田村理遊【父】
 肩に力が入っていた。もうちょっとリラックスして演技してみよう。僕の代の白鳥とキャラがかぶっていたなあ。キャスト中唯一の2年ということで力んじゃったかな?まあ、今まで役者専門としてやっていたわけじゃないし、力が抜けていれば良い演技になっていたはずなので、これからの成長に期待。それにしても、新入生の女の子とイチャイチャできるなんておいしい役だなあ。評点“5.5”
高橋加奈【母(幸絵)】
 1年生でデビュー作としてはいい。まだ“夫とのイチャイチャ”シーンでは照れがあったかな?ま、仕方ないけど。それにしても、僕の素人目では、「1年生にしては自然な演技をするなあ」とか「新婚の人妻らしい雰囲気があるなあ、ホントに」と思えたんだけど。ただ、何となく「腹にほんの少し力が入ってない」というか……。評点“6.0”
伊藤淳二【絵本販売員(セールスウーマン)】
 ああいった役柄では存在感があるのは当たり前。むしろ無い方がヤバイ。まだ何か足りないというか、そんな感じがしたが<女役>を男が演じることで出てくる“オカマっぽさ”みたいなものは出ていたし、裁判官役になった時の低い声は原田以来の“良い声”。低い声の君はまるで別人。その低い声は君の財産だから伸ばしていけ。評点“6.0”
馬場香奈子【白雪姫】
 まだ強い個性を感じない。3人のヒロインのリーダー的位置にいる役柄だったけど、他の2人との絡みがまだ“バッチリ!”という感じじゃなかった。2人を突き転ばせるような場面があったけど、あの場はもうちょっと強く押してあげた方が動きがはっきりしたと思う。でも、おしとやかな役は似合いそう。“真のヒロイン”としてキャラ立ちできると思うよ。評点“5.5”
荻野薫【シンデレラ】
 まだ強い個性を感じない。この話の中でのシンデレラの“こざかしさ”“陰謀家”みたいな感じが少し弱かったね。変な言い方だし、気を悪くするかもしれないけど“ちょっと図々しいオバサン役”なんか似合うんじゃないかな…と思いました。髪の量が豊かだし、そういった特徴を生かした役をやらせてみたい人材ではあるね。評点“5.5”
藤崎香奈子【グレーテル】
 まだ強い個性を感じない。よく動き回る活発な役だったけど、どこかまだ“ダイナミックな動き”みたいなものはない。う〜ん、緊張していたのかな?静と動の差があまりはっきりしない。キャラ的には僕の下の代のジロウこと小池とかぶっている感じがした。てゆーかそっくり。ジロウ2だ。評点“5.5”
【音響】
 DDRに何かこだわりでも?まあ、いいんだけどね。ダンスをやってまで使うのは何故?最近の演劇部ではDDRがはやってるんだっけ?全体の比率から見ればDDR関連の曲の割合は少ないのかもしれないけど、あれは曲の強さもあって強烈にイメージに残っちゃうからね。注意した方がいいよ。
【照明】
 役者とのタイミングが合っていなかった。役者が舞台の所定の位置についておらず、裏方が引っ込みきっていないのに照明がついてしまうというミスが何回もあった。1回だけならともかく、何回も繰り返されると嫌になる。
【衣装・メイク】
 シンデレラの衣装とポスターの衣装が若干(←この字、アンケートでミスった)異なっていたのは気になった。でも、白雪姫の衣装には感服。島崎's motherご苦労様です。素晴らしいよ。あ、幸絵の上履きは僕も気になったな。まあ、僕は「あれは(足を全部包む)室内履きのつもりなんだな」と思って自分を納得させていたけど。
【大道具】
 芝居の序盤、3人のヒロインを隠してセットに隠す白い大きなボードがあったが、その裏にいた黒子が照明がついてもボードの陰から出て何かチョコチョコやっていたのは気になる。照明がついたら諦めろや。それ以外は特になし。
【小道具】
 ソファーの下のピカチュウは何だったのかな?グレーテルがいないというだけなら、あそこには何もなくても良かったのに。よくよく考えりゃ、普通の家庭であそこに人形を置いているのも不自然。それ以外は特になし。
【演出】
 正直に言うと、1年生の演技レベルがまだまだだと言うこともあってそれぞれの演技がバラバラでキレがない。その後に、テレビゲームやテレビドラマでやるようなキャスト紹介をやるのは(「くだらねー」と思った)、斬新だったが、1人1人の持ち時間(というのかな?)が長かった。もう少しポイントを絞りに絞った、短い時間にまとめた方がいいと思う。しかも、キレのない演技の後に、キレがなく、また芝居の流れに無駄なダンスは、見ていてつらかった。よっぽどDDRにこだわりがあったんだね。凝るんならそういう(はっきり言って)どうでもいいところではなく、芝居の方に凝ろうよ。何か、中学生とかの純真な観客をごまかしているような気がするよ。……色々厳しいことも言ってるけど、これを糧にして伸びていってくださいな。ただ1つ勘違いして欲しくないのは、これは決して「毒舌」ではないということ。けなしているわけでもないしね。

99年9月19日―県立大宮高 文化祭公演『四月になれば彼女は』
 1度だけ練習を見させていただいた。その時やっていた場面で僕が気がついたことを言ったが、それを取捨選択したんだなーということは分かった。それはそれで可。ただ、テキストレジの仕方をどうしたのかは知らないが、全体的な話の流れからみて不自然な感じがした。それは、話が進んでいくうちに分かるというものでもなく、「あぁ?こうなのかな?」と思うことが最後まで完全には解消されなかったような気分。話の内容からなのかもしれないけど、あんまり強烈な印象というのは受けなかった。それぞれの役者の演技も「これはっ!」というのはあんまりなかったし。何というか、メリハリがないような感じ。STOP&GOがはっきりしないというか。そのため「ここで笑いがとれるはず」というところでも笑いがとれなかった。アンケートは芝居を観ながら書いた細かい振り・台詞の言い方が中心だったので、ここにはあんまり書かないつもり。
評点:5.0 <サッカー方式/平均は6.0> / 60点 <100点満点>:前回と一緒じゃん。
 
島崎香織【のぞみ】
 早口。動きも常に慌てているような感じを受ける。演技は確かに上手いのだが、それだけ。何となく伸び悩んでいるような感じを受ける。評点“6.0”
石井野乃子【あきら】
 全体的にはそこそこ。サイコメトラーですね。それは分かるんだけど、序盤「サイコメトリーをして、相手の考えていることが自分の中に流れ込んできた瞬間」というのがあんまり分からず、さらっと流して動いていたように思う。また「イヤよイヤよも好きのうち」というか、嫌ってはいるんだけど心のどこかでは母を慕っているという部分が弱い。ついでに、序盤の頃は“周りに対して壁を作っている”という役なのだと思うが、その辺りも弱い。もっとつっけんどんでも良い。それが健太郎と会い、耕平の想いを知ることで氷解するのだから、その分の“貯め/溜め”を作っておかなくっちゃ。あと、「真っ白……」のところは綾波レイ(fromエヴァンゲリオン/見てないんだけど。)のような言い方をイメージしてみては?ところで、この日の衣装でこの日の髪形を見た時、「あー、そっくりな先輩がクイ研にいるよ」と思いました。(大学)5年生なんだけどね。評点“5.5”
久保島里美【麻子】
 出演時間が短い方だから評価しづらいが、その短い出番の間で個性を発揮したとは思えない。台詞をそれなりの感情を込めて言うことに集中したためか、動きの方が緩慢。評点“5.0”
黒須千晴【結子】
 森下も言っていたけど、この役は明らかに【世話好きでおしゃべりな明るいオバサン】のはず。そんな明るさの中に、人のことを考えている優しさがにじみ出ているべき。なのに、【明るさ】が中途半端だから、全体を通すと“真っ平”な演技になってしまっている。評点“5.0”
伊藤淳二【耕平】
 この日のメンバーの中ではいい方。ただ、「あきらが好きなんだ」という秘められた想いがあるはずなのに、それを感じさせるのがサイコメトリーされた時だけ。普段の何でもない時でもチラチラあきらのことを気にするような素振りが【あらかじめ書かれている台詞】以外のところでも欲しい。評点“6.0”
長崎英紀【堀口】
 ラグビー選手だったはずなのに線が細い。彼のせいじゃないんだけど。淳二と役を入れ替えても良かったのでは。台詞の言い方に起伏があまり感じられない。ラグビー関係者役という点では弱かったが、逆に「父親らしさ」の方は出てたように思う。評点“5.5”
藤崎香奈子【健太郎】
 確かに【子供らしさ】はあった。「こんな男のコいる」とも思った。だが、「子供らしくない、規則・ルールを厳守し融通が利かなさそうだが、やっぱり子供なんだ」という“差”がもっと欲しい。評点“5.5”
佐藤綾子【カンナ】
 【女優っぽい感じ】は何となく感じられるのだが、【女優らしいオーラ】のようなものは皆無。“もうちょっとハキハキした喋り方”“両足を閉じて背筋を伸ばして立つ”“子供にかこつけて自分の考えを押し通そうとする「悪役っぽさ」”を意識してほしい。評点“5.0”
伊東佑介【上田部長】
 “部長”という役職から出てくる“重み”というか、「実は真面目なんだぞ」という部分が弱い。特に「桐島。これは仕事なんだ……」のところでそう思った。「お前の気持ちは分かるが、私情をはさむな」という気持ちがこもっているはずなんだから。もう少し低い声で言えれば良い。評点“6.0”
高橋加奈【馬場】
 演じられる役柄の幅があるということは分かった。ただ、今回はそれが裏目。初めから終わりまでいつもトラブルメーカーというかムードメーカーというか。「何で教えてくれなかったんですか!?」とのぞみを責めるところまでアレじゃあね。あそこは「真面目に」詰め寄った方が良いのでは。また、終盤、タクシーを呼んだ場面で這っていたが、そのまま這ったままタクシーのところまでカンナたちを誘導してほしかった。評点“6.0”
田村理遊【西条】
 出場時間短く持ち味を発揮できず採点対象外。評点“  
【音響】
 選曲に意図が感じられない。「何となくそれっぽい」というだけの音楽だった。
【照明】
 特になし。
【衣装・メイク】
 上にも書いたけど、あきらの衣装は僕の中でちょっとヒット。西条のトレーニングウェアも良い。理遊に合ってるよ。ただ、逆に堀口はどうなのかなぁ?あれでいいような気もするし、よくないような気もするし。馬場は役柄ともあいまって【ステレオタイプのカメラマン】というか、【NHK教育のドラマ『ズッコケ三人組』のハチベエ】というか。
【大道具】
 家庭と事務所じゃチェアやテーブルの配置が若干違うと思うんですけど……。ま、仕方ないか。
【小道具】
 特になし。
【演出】
 まず。『童話裁判』の項で書いたのは、「キャスト紹介をすること自体が斬新」というんじゃないんだけど、誤解されたのかなぁ。何でキャスト紹介をしないの?時間が押してたから?……それだけに限らないけど、どこがどうとは言いにくいんだけど、まだまだ改善の余地は多分に残されている。全体的に中途半端だしね。詳しいことは森下や百武さんに聞いて下さいな。


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