ROCK IN JAPAN FES.2004 8月7日(土) Vol.1


レミオロメン

柵に寄りかかって、約1時間半。ステージ中に流れる音楽を1曲1曲口ずさんでいたら音楽が突然止まる。その瞬間、後ろの人達がドーッと押し寄せてきて、「オイッ!オイッ!オイッ!オイッ!」と皆が口を揃えて掛け合う。しかし、これは過去3年参加している私を始め、前年に1度でも参加したことがある人は分かることであり、レミオロメンではなく渋谷陽一が登場。「えっ、誰?」という声がどこかで聞こえました。そして、渋谷氏からダイヴ・モッシュの絶対禁止が宣告されました。これは後々フェスの掲示板で賛否両論の意見が飛び交っていましたが、私は賛成だと思います。やはり、様々なファン層が集まるフェス。ダイヴなどを突然上でされて怪我や気分不良になっては台無しです。

そして遂にレミオロメン登場。わりと女性層にはドラムの神宮司が人気があるようだ。藤巻はカメラを持参して登場、多分1枚2枚撮ったと思う。渋谷氏曰く誰よりも早く会場に来ていた前田。本当に張り切っている感じだ。
そして1曲目。彼等が演奏し始めたのは“五月雨”だった。タイトルからして時期外れなのだが、オープニングナンバーとしては実に最適な曲であった。そこからは“すきま風”から“フェスタ”とレミオロメン王道のロックチューンを連発。レミオロメンの曲の良さは歌詞が分かりやすく覚えやすいのでサビの部分は皆で大合唱できるのだ。合唱を良いと思わない人も中にはいるかもしれないが、レミオロメンには充分適していると思う。そしてMCへ「こっち(グラス)でやりたかった!」と藤巻。彼等は毎年1組はいるレイクステージからグラスステージに来た組である(今年はGO!GO!7188も)。両方のステージを経験する者として、この光景は一体どのように映るのでしょうか?一度ステージに立ってみてみたいものだ。

そして、静かにドラムを叩き始める神宮司。このリズムは“電話”だ。さすがにこの曲に合唱はいらなかった。誰もが演奏に酔いしれていた。しかしレミオロメン・マジックはここでは終わらない。誰かが「藤巻君ー!」と叫んだ時だっただろうか、藤巻はゆっくりと歌い出した。「♪流れる季節の真ん中でー」“3月9日”。その瞬間、誰もがこの曲を待っていた、スタンディングゾーンのほとんどが鳥肌を立たせたであろう。この曲で明らかにレミオロメンのファンは増えたといっても良い。サビの部分になると涙を流す人がチラホラ。「♪瞳を閉じればあなたがまぶたの裏にいることで、どれほど強くなれたでしょう。あなたにとって私もそうでありたい」こんなにもストレートで哀愁漂うラヴソングは嘗てないでしょう。この2曲で会場中の空気を一度冷ましたところで、そのまま必殺チューン“雨上がり”へ!思えば約1年と数ヶ月前、超大型新人バンドという名と共に紹介されたこの曲。インディーズでのリリースでしたが、真のデビュー作といってもいいこの曲が今では会場中を揺るがす大合唱曲となった。朝から晴れていたので虹は出ていなかったが、いつかこのフェス中に虹の架かる空を見てみたいものだ。

ライヴは続き、アルバム『朝顔』の1曲目“まめ電球”。そして何気なく人気の“日曜日”へ、この“日曜日”、現在のその状況と歌詞がマッチしていた。「♪こんな日は何も考えず感じるままがすべてなのさ」。誰もが今まで起こった災難も、これから起こりうるかもしれないという不安も何も考えることなく、今はこの素晴らしい環境を楽しんでいた。そして“日めくりカレンダー”を奏でる3人を見ながら、僕は考えていた。歌詞に一節に「♪戻らない、破ってしまった日めくりカレンダー」、2004年8月7日という日は二度来ない。つまり一日一日をしっかり楽しまなければいけないのだろうなと思った。そしていよいよ最後の曲“アカシア”へ・・・。
ROCKIN'ON JAPANが「お前らに賭けた」と大々的に彼等を扱う理由がよく分かった。気がした。わりと時間が長いなぁと思えた。そう“3月9日”の冒頭の歌詞のように。
一青窈

レミオロメン終演後、私はその場を動こうとはしなかった。回りから見れば場所取りをしているかのように見えただろうが、でもそれは違う。私にとってこのレミオロメン〜一青窈という流れは、これまでにない贅沢な流れだ。しかしCOUNT DOWN JAPAN 03/04の出演といい今回の出演といい、一青窈にとってロックフェスというのは限りなくアウェイに近い環境だ。このフェスの2週間前に出演したMEET THE WORLD BEATは「ロックフェス」というよりはミスチル,ポルノ,スキマスイッチなどジャンルを越えた人達が集っていたのだが、今回は出演者の大半が爆音をならし会場中をアップテンポな曲でジャンプをさせる人達ばかり。そんな所で一青窈はどんなステージを見せてくれるのだろうか?

まずはバンドメンバーが登場。MEET THE WORLD BEATの時より多い。そして1曲目。
ゆっくりとライヴメンバーがあの幻想的なイントロを鳴らし始めた。“もらい泣き”だ。
まさか、この曲を1曲目に持ってくるとは思っていなかったが、それは同時に一青窈と言えば“もらい泣き”という概念を取り除くための一青窈の決心のようにも思えた。実際にこの曲が終わったからといってスタンディングゾーンを去る人はほとんどいなかった。
イントロが鳴らされている間に、会釈をしながら一青窈登場。黒のワンピース姿だ。背中はわりと露出してある。どのライヴでも一青窈の衣装というのは目を奪われる。「♪ええいああ〜」とゆっくりと歌い出した一青窈。「♪やさしいのは誰です〜」と歌い終わるとたちまち会場から拍手と手拍子が起こり始める。声だけではなく体全体を使って一青窈は歌っていた。“もらい泣き”の間、彼女が動きを止めたのはなかった。「♪やさしいのはここにいる皆さんでーす!」に大きな歓声が起こる。心配していたアウェイの空気は無くなっていた。
そのまま休むことなく“月天心”へ池上本門寺で丁度一年前に行われた野外ワンマンライヴその時の1曲目がこの曲だった。台湾への思いを告げるような冒頭の母国語の歌詞は、何故か知らないがいつでも鳥肌が立つ。寒気がするからではない、逆にこの曲には暖かさが詰まっている。そして“イマドコ”。ROCK IN JAPANということもあってかいつもよりバンドの演奏もROCK的になっていた“イマドコ”ここまではアルバム『月天心』の中から一青窈を知るためには十分な曲達が披露された。

そしてMCへ、「今日はこんなに大きなところでやらしていただくということで気合いを入れて靴を履いてみたんですけど・・・。」本当だ靴を履いている。「一青窈=裸足」というイメージがあった僕の中では新しい一青窈を見た気がした。そんな中、オーディエンスから
「脱いでー!」と言われて「脱いで?上?下?」という少し茶目っ気のある部分も披露した。そして話は開催地・茨城の話へ、「今日、茨城の人はどれくらいいるの?」という質問に茨城のお客さんが一斉に手を挙げる。茨城の参加者は他の都道府県にも比べものにならないくらい多いと思う。私もその一人だから。一青窈は毎回開催地をネットサーフして調べてきてネタを拾ってくるのが魅力の一つだ。納豆早食いの全国大会があるとかいう話になり「まぁ・・・。3へぇぐらいいただけたかな・・・」とMCでしっかり心をつかんだ後、話は茨城出身で曲作りのパートナー・マシコタツロウの話へ、一青窈が言うには4年ほど前、彼は会場近くのジョイフル本田でバイトをしていてROCK IN JAPANでのDragon Ash舞台を見たとき、いつか自分が作った曲をこの会場で響かせるんだと決心していたらしい。私は少し感動してしまった。これは感動せずには得られない話だった。次第に拍手が起こる。
そんな夢を叶えるべく一青窈がマシコタツロウ作曲の“いろはもみじ”と“心変わり”を披露。
この二人は、フェスに参加している多くの若者に、夢は追い続ければ叶うということを教えてくれた気がする。そして「今度、映画に出ることになりまして、そのために井上陽水さんが作曲してくれた曲をやります。まぁ、映画には使われなかったんですけど・・・」と一言余計なMCをはさんで“面影モダン”を披露(映画に使われたのは“一思案”でした)。この一青窈主演の映画「珈琲時光」。何気なく邦画好きの私は楽しみにしている作品だ。近くで公開されればいいなと思っている。

そのままバンドは一気にサウンドを上げてイントロを少しアレンジした“江戸ポルカ”へ。
「♪ててとてとてとしゃーん」とはっきりいって意味が分からないこの歌詞は今ではすっかりリスナーの耳にタコができるほど張り付いてしまったフレーズだが、なんとなく悪く思えない。それも一青窈の作詞の魅力なのかもしれない。この曲がお客さんが一番“ノリ”を感じていた曲だと思う。そして個人的にやってほしかった“犬”へ。ロックフェスという環境で一青窈が唯一対等に出来る曲がこの“犬”だ。この時の一青窈の動きは激しかった。ギターソロの部分ではギターに向かって頭をふったり床にベタリと座り込んだり、ロックフェスという環境を彼女は楽しんでいるようにも思えた。

そしてMC。大洗水族館に行ったという話から、「環境を壊しているのは人間だけ」と少し切ない話へ運んでいく、会場は静まり返った。ここまで静かになった時間はこの3日間なかったと思う。「もし、ここにあの時のテロのように飛行機がドンと落ちてきたとき。自分のことよりも周りの人達の幸せを願えたらいいと思う。」その場にいたお客さん全員がそのようなことが起こった場合の情景を頭の中で描いただろう。「まずは、私から・・・。あなたと、あなたの好きな人が百年続きますように。」この瞬間、物凄い盛大な拍手が会場を包んだ。
“ハナミズキ”だ。一青窈は初めて「動」から「静」へと自らを変え歌い出した。誰も手拍子や手を横に振ったりすることはなかった。誰もがこの平和に対する願いを込めた歌を噛みしめていた。終了後「ありがとうござました」と一礼して笑顔でステージを後にする一青窈。拍手は彼女がステージから去ってもしばらく鳴りやまなかった。
銀杏BOYZ

私はレイクステージ急いだ。1分,1秒でも早く銀杏を見たかったからだ。1回100円のトレインは列をなしていたため。とてもじゃないけど間に合わない。私は人より早く歩いていた。
隙間があってはそこを通り抜けていった。いつの間に走っている自分がそこにはいた。
みなと屋のいい匂いもレイクステージ会場外の売り場も今は目に入らなかった。そして付いた頃には汗だくになっていた。着替えようとも思ったが、私はとりあえず、レイクステージ上でポツンと座る峯田和伸を見ることにした。おかしい。会場に向かう途中で響いていた爆音はどこにいった?ステージ上には峯田一人。あの音が一人で出せたはずはない。あとでネットブースで見たがやはり前に2曲やったらしい。

最近では、映画にも主演して(一青窈といい役者で新しい味を出してる人達が増えてきて嬉しい)すっかりその顔が広まるようになった峯田が長いMCの後ゆっくりと歌い出した。「あなたが幸せになったとき。この歌は忘れてください。人間。」と「人間」という曲を弾き語りで歌い出す。会場から自然と手拍子が起こった・・・しかし!峯田は演奏を止め「手拍子とかすんじゃねぇよ!!」と一括。会場は驚きと笑いでいっぱいになった。「あなたが幸せになったとき。この歌は忘れてください。人間。」とさっき言ったことをもう1度言って再び歌い出す。この曲、歌詞の中に込められたメッセージ性が非常に強い、しかも峯田のあの今にも泣きそうになる声で歌うことで、より訴えるような歌に聞こえてくる。これで“人間”は終わりかと思ったが、他の3人が登場し“人間”のメロディーを奏で出す。そして峯田はステージを降りて客席へ、スタンディングゾーン手前の人達に近づいていく。それだけで終わりかと思った。しかし峯田は会場の奥へ奥へと進みいつの間にかシートゾーンの一般客の群衆の中へ、勿論、峯田がこんなに近くで見えるのか!?ということもありオーディエンスも一気に峯田の元へ雪崩れ込んでゆく。電気メガホンを持った峯田は何かしらの言葉を叫んでいたが、電子メガホンはこういう場には適していなかったようだ。全く聞こえない。次第に峯田を中心とした、まるで「デモ集団」のような固まりが出来る。しかし、感動したのはそんな中でも演奏をしつづける3人のメンバーだった。「銀杏は峯田だけではない!!」と言わんばかりに自由に演奏をしまくる。挙げ句にはギターの中村がハサミで自分の髪を切り始める。スタンディングゾーン前方のお客さんは、峯田よりそっちに歓声を送っているようだった。

長い旅から帰ってきた峯田はいつのまにかトランクスのみの姿になったいた。そして数年前分かれた彼女の話へ。どうやら今日、彼女は見に来ているらしい。「正直ね。俺はね。あんたらなんてどうだっていいんだよ!〜〜ちゃんが見に来てくれたらね!」と笑えるようで笑えない話から最後の曲“青春時代”へ。思えばゴイステ解散後にリリースされたこの曲。ゴイステとして演奏はされなかったけど。今、改めて銀杏BOYZとして峯田は歌ってる。「♪僕らはいつかいなくなるー。一つ一つずつ星になる」という部分には「とりあえず今を必死に生きろ!」という峯田の強い思いが込められている気がした。

今、気になっているのは一年前この場で演奏された“あの娘は中谷美紀が好き”という曲があったのだが、それが今年は“あの娘は綾波レイが好き”になっている。これはどういうことなのか?歌詞が「中谷美紀」から「綾波レイ」になっただけなのか?それとも全く別の曲で「中谷美紀」の方はちゃんとまだ存在するのか?
Rhymestar

スタンディングゾーンは人でいっぱいだった。このパーティータイムを味わおうとする人達が集っていた。セッティング中にDJ JINが登場。オーディエンスに大歓声で迎えられる。思いがけない待遇に手を振るDJ JIN。一度、引っ込んでまた出てくるJINに「始まるのか?」と思ったらしく拳を挙げる人達。しかしJINは「まだまだ」と言わんばかりに手を振る。しかし、サウンドチェックにやってきたDJ JINのターンテーブルのスクラッチが絶妙なリズムを奏でだし、いつの間にか、そこはDJクラブのようになっていた。そして再びステージを離れるJIN。

Rhymestarの登場を今か今かと待っている人達。しかし、そこでちょっとしたハプニングステージ脇のモニタ前に見慣れた男の姿があった。DJ SHUHOだ。恐らく本日彼はKREVAのパフォーマンスにDJとして来たのだろうが、あの何とも言えない体の大きさはさすがに目立ちすぎて、オーディエンスは目を奪われてしまった。次第に手を振り出す。
そんな事をしている間にRhymestarのステージが始まった。

まずはDJ JINが試合前のK-1選手のように白いガウンを身に纏い登場し「Welcome to〜」と喋り出す。ガウンを脱ぎ捨て、プレイを始めた瞬間。MUMMY-Dと宇多丸登場!同じくガウンを身に纏い一気に脱ぎ捨て1曲目“スタンバイチューン”が炸裂。この曲アルバム『グレイゾーン』の1曲目なのだが、オープニングには非常に適した曲だった。「I say "rockin" You say "Japan"!」「rockin!」「Japan!」このオーディエンスの物凄い理解力は素晴らしいと思った。そして自己紹介を兼ねた曲“ライムスターインザハウス”が終わった後。「今日はフェスだから本当いつものようなカッコイイラップみたいなのはやりません!お祭りらしいことをやります!」という宇多丸のMCに会場も乗り気だ。「例えば次はこんな曲・・・」と言って鳴らされた曲は“肉体関係Pt2”!「肉体関係!」「SEX!」「性行為!」とコールアンドレスポンスをさせ、横山剣の歌う部分はまずオーディエンスに歌わせ、その後は二人が歌うというサービス満点のプレイ。でも一番盛り上がったのはDJ JINがマイクを取ったときだ。「俺も忘れるな!」と言わんばかりに熱唱するJIN。曲終了後ステージに寝そべるMUMMY-D。
「イッちゃった・・・。MUMMY-Dイッちゃった・・・」という宇多丸のMCには笑った。

しかし、ここで祭は終わらない。ここでまず1人目のゲストSUPER BUTTER DOGの竹内朋康登場!生ギターを加えた“グレートアマチュアリズム”を披露!そして次の曲でもゲストを迎えた宇多丸が「だって“グレートアマチュアリズム”もやっちゃったのに、これ以上に素敵な曲があるのですか?」と勿体ぶったことを言い出す。そして「これまた意外なバンドから・・・」というMCの後、SUPER BUTTER DOGのTOMOHIKO登場!先程の竹内朋康も加え総勢5人による“キング オブ ステージ”が披露された後。いよいよ、この人が登場!
またまた「意外なバンドから・・・」と宇多丸のMCでSUPER BUTTER DOGの永積タカシ!
「素敵なツラを見せてくれ!」と始まった極上のパーティーチューン“This Y'all That Y'all”
あと、ここに沢田周一と池ちゃんがいれば完璧だったのだが、それでもパーティーチューンはパーティーチューン盛り上がらないわけがなかった。永積タカシはこの後、ハナレグミとして登場するのだがその時には見せないような高いノリでステージを駆け回っていた。そして約8分という長い演奏が終わり、ステージを後にするSUPER BUTTER DOGの面々。
宇多丸が「この太陽の角度はキツイ。特に俺なんかは」とスキンヘッドの自分をネタにして爆笑をさらった。そしてMUMMY-Dが「これから凄い贅沢します」と頭から水をかぶる。宇多丸は特に気持ちよさそうだ。なんせ直接頭皮に水がくるのだ。そして最後の曲“WELCOME2MYROOM”へターンテーブル横のシンバルを力強く叩くDJ JIN。「ここは限りなくホームだ!」とオープニングに話したとおり。完全にステージ中はライムスタームードに包まれていた。

次の日、彼等はサマソニに出演したのだけど。その時はB-BOYイズム等カッコイイラップを披露していたようだ。どうやら私達はとてつもない贅沢をしたのかもしれない。