ROCK IN JAPAN FES.2004 8月8日(日) Vol.1
| GOING UNDER GROUND 開場の瞬間、レイクステージへ駆け込んだ。翼のゲート付近にいた私は確実に一番前の柵を確保できると思っていた。しかし、もう着いた頃には一番前の柵は人がもう寄りかかっていた。当然、もう確保はできない。仕方なく私はステージ前のCREWが出入りする。細い出っ張った部分へ寄りかかっていた。開演1時間半ぐらい前、丁度同じ所に場所を確保した、友達同士で参加した二人組の女の子達と私は話し込んでいた。数分前、全く知らない他人だった人が、30分も話す相手になってしまっている。フェスというのはやはり何かがある。「お目当ては誰ですか?」「GOINGです!」「この後、誰見るんですか?」「GOING終わったら、あっち(グラス)行きます」「そうですか。僕はクラムボンまでこっちにいようかと」そして過去4年参加している私は初めての参加だったらしい彼女たちにちょっとしたROCK IN JAPANのウンチクを語っていた。彼女たちは飽きずに聴いてくれた。本当に感謝したい。 午前11時。兵庫氏登場。このフェスを作り上げた総大将でもあるこの人の登場に沸く。そして拍手が起こる。このフェスでの約束を一つ一つ話すとき会場中から「はーい!」という声がアチラコチラから。この「はーい!」と言った人達は、きっと約束を守ってくれたであろう。 そして遂に始まったGOING UNDER GROUND。まずは松本素生以外のメンバーが登場。次第に起こる黄色い歓声と、天に突き出される拳、既に会場は一つになっていた。ボーカル松本素生登場でボルテージは既に最高潮へ。1曲目は“凛”。トップバッターというのは会場を一つにする重要な役目を持っているのだが、彼等はまさに、トップバッターに相応しいアクトであると思えた。こんなにもスタンディングゾーンにいる人達が笑顔に包まれた瞬間はないかもしれない。そして、そのまま“グラフティー”へ。5人それぞれが各々のスタイルを持っているのがGOING UNDER GROUNDの魅力で、鰻と梅干しのように食い合わせが悪かったり、違う種類の薬を一緒に飲んで胃の中で喧嘩したりするようなことは絶対ない。5人がお互いの味を尊重し、汚し合うことなどは一切無い。 既にピークに達した会場に新曲“サンキュー”を叩き込んでいくGOING UNDER GROUND。 気付いたときには後ろはシートゾーンまで埋め尽くされていた。新曲を披露するというのはオーディエンスがどのようなノリでその曲を聴いたらいいのかが分からないものだが、GOINGの曲はどの曲も空に届きそうなくらい伸びやかで、手拍子がよく合う。この新曲の発売は待ち遠しい。 そして次は「センチメンタルを乗せて!」という演奏前の一言から、ほとんどの人達が理解したであろう“センチメント・エキスプレス”。「乗り遅れんなよ!!」に会場興奮。キーボードの伊藤が勢いよく背後にあるシンバルを叩きつける。その都度、天へまた天へと昇る拳。 この拳をそう簡単には降ろさせまいかの如く、ギター中澤が「今年もここでやっちゃうよー!!」と叫んで中澤がマイクを握る“ショートバケーション”へ。ギター中澤の松本とは違う色を持った声が聴けるのも、この曲の魅力だが。キーボードのメロディが一番軽やかにかつ伸びやかに聞こえるのがこの曲でもある。 そして、そのまま“ハート・ビート”と“トワイライト”とGOING UNDER GROUNDの確実な進化を証明する曲がライヴの締めとなった。サビの部分は当然の大合唱が会場中に響き渡り、嫌なほど眩しかった日差しは、今では会場中を照らす最高の照明道具となっていた。 持ち時間40分をしっかりと使い切ったGOING UNDER GROUND。今年で3年目。GOING UNDER GROUNDは確実に今この水辺に立つステージの守護神になろうとしていた。 椿屋四重奏 GOING UNDER GROUND終演後、私はシートゾーンへ移動。本当は椿屋四重奏を目の前で見ていたかったが、このスタンディングゾーンはライヴを盛り上げる人達ためのスペース。私は椿屋四重奏の曲は事前に学んでおこうと思ったら、コンポが故障してしまいほぼ聴いていなかったので、自分が盛り上げるには値しない人物であると思ったのだ。 しかし、GOINGが終わってまもなく椿屋四重奏のメンバーが登場。一気に沸くスタンディングゾーンの人達。タイミング良くレイクステージへ来た人達は、もう始まったのかと勘違いしたのか一気にスタンディングゾーンへ駆け込んでいく。レイクステージはセッティング中にアーティスト本人が登場するところが魅力でもある。昨日のDJ JINもそうだが、その登場によって演奏開始前から会場中、興奮で包まれていく。そして白のYシャツ姿のボーカル中田がゆっくりとサウンドチェックに合わせて歌い出したのはイエモンの“楽園”。フェス数日前、再起することなく解散したイエモンに捧ぐかのように中田は熱唱していた。さらに“BURN”の熱唱などサービス精神旺盛なセッティングが終了し会場中の拍手をされながら一度ステージを下がる。モニタには椿屋四重奏の文字が登場してまもなく今度こそ本当のライヴをするためにやってきた。中田は先程のYシャツの上に黒のスーツを身に纏い登場し、投げキッスをした後王子様のように一礼をした。モニタで見ると髪の毛が夏には適さないくらいのボリューム感である。 1曲目はミニアルバムから“群青”。イエモンの魂が乗り移ったかのようなミステリアスで鋭い歌声と切り裂くような演奏が真昼の会場に響き渡る。「孤高のロック貴族。椿屋四重奏でございます。」と挨拶。本当に彼等は衣装といい、曲といい、そしてバンド名といい貴族的なイメージがある。そんなことを考えているうちに、静かなようで強烈な歌い出しが印象的な“成れの果て”へ突入。スタンディングゾーンは埋め尽くされていた。始めスタンディングゾーンは少し寂しかったのだが、きっとシートゾーンにいた人達が椿屋四重奏の魅力に惹かれ磁石のように吸い込まれていったのかもしれない。そして、そのまま“硝子玉”へ。この曲、彼等の曲の中では比較的スローな曲だが、イントロで奏でる意気のあったリズムはライヴでも見せてくれて、CD通りアレンジもなかったが、CDより素晴らしかった。 “かたはらに”が終わった頃だったろうか、中田は黒のスーツを脱ぎ捨てた。そしてお客さんの「Yシャツも脱いで」コールに「これ以上は勘弁してください。」といって笑いを誘う。自らを「代表取締役」と名乗ったりメンバーを「奏者」と紹介するなど、他のアーティストがやるとどうかと思うが何故か中田だけは悪くは思わない。彼の細身と無造作の髪が、そのキャラクターに味を占めて、ミステリアス(悪い言い方をすると不気味)な雰囲気を醸し出しているのかもしれない。そう感じていた時に次の曲“舌足らず”タイトルからしてミステリアスだった。 最後は“空中分解”“小春日和”のロックチューン2連発。「あっちでやるてぇなぁ」と嘆く中田。来年はグラスステージの大草原をその幻想的な世界に変えてくれることを待っている。 セッティングの時間のサービスもあったせいか。1時間ぐらいのステージにも感じた。 ロック貴族は、最後まで紳士的な対応でステージを後にしていった。 クラムボン 某携帯のCMで話題になっている“サラウンド”の効果もあってかレイクは相当な量の人が押し掛けていた。当たり前のようにシートゾーンはいっぱいだったけど。スタンディングゾーンも驚くくらいの人だ。先週行われたFUJI ROCKでの原田郁子のソロステージが入場規制になったことが、このLAKE STAGEにも再現されていた気がする。私はスタンディングゾーンにいた。比較的前の方だ。全員の楽器が既にスタンバイ。始まる前から周りの人達がシャボン玉を吹き始める。コチラ側から見てステージの下手から上手に流れる風によってシャボン玉はゆっくりと流れていく。 セッティングに伊藤大助が登場。会場中に響き渡る拍手。わりと軽く叩いた程度でセッティングを終えた後彼はステージ床にべったりと腰を降ろして一番前のお客さんと談笑。後に何かものを落としてステージを一回降りて、モニタ側のステージ入り口まで急いで駆け込んでいった。まもなく今度はミトが登場。本格的に音合わせ。一つ一つの機器を自ら音声さんと打ち合わせをしながら、セッティングしていた。これまた伊藤と同じく、演奏が終わるとステージ前方に座り込み談笑。LAKE STAGE一体にTHE BOOMの“島唄”が流れていて、それに合わせて両手を挙げて左右に振り出すミト。そんな事をして客を盛り上げている間に、ついに原田郁子登場。比較的女性層に人気があるようで登場の瞬間、女性の歓声が一気に沸いた。これまたセッティングを終えると、床には座らなかったがミトと同様、“島唄”をマイクを持って熱唱する素振りを見せ爆笑をさらう。そして一端ステージから離れた伊藤も加わったところで「あれ?これはもう始めちゃっていいんですか?」とミトが確認をするとお客さんが拍手をしはじめる。1分1秒でも早く見たいという気持ちはLAKEにいた誰もが思うことなのだろう。予定より10分も早い始まりだった。 1曲目“id”がスタート。ゆっくり原田郁子が歌い出す。拍手をする余裕もなかったが、ゆっくりとレイクステージに2つの涼しい風が吹き始めた。1つは先程から会場中に吹く風、もう1つはクラムボンの演奏から出てくる癒しという名の風。その風を目一杯浴びた後に原田郁子が「気持ちいいね。」と囁く。この瞬間、体の中から何かがスッと抜けるような気がした。そのまま“コントラスト”へ持っていく「♪僕は僕を取り戻せる」と終わると会場に拍手が響き渡る。水辺や床のコンクリートに反射して拍手が更に盛大に聞こえる。曲の終盤オーディエンスが飛ばしていたシャボン玉の一つがLAKE STAGEの丁度ミトの頭上まで昇っていった、そのシャボン玉をクラムボンの3人は演奏をしながら見上げていたオーディエンスとアーティストが一つになった瞬間を見た気がした。このシーンは一番脳裏に焼き付いている。 そして“ミラーボール”も歌い終わって、一瞬静まりかえった会場をあの歌い出しが包み込んだ。“サラウンド”だ。昨年、平井堅が“KISS OF LIFE”を歌い出した瞬間と同じような観客のざわめきがあった。物凄かった。私はステージ後方を見た。丁度、LAKE STAGEに到着した人達が一気に駆け込んできていた。「♪笑ってごらんよ 歩いてごらんよ」CMでお馴染みのこの1フレーズがレイクを感動で包み込んでいた。そして次の曲にも驚いた「1,2,3」という郁子の合図と共に、“シカゴ”のイントロが演奏された。クラムボンファンにとって“サラウンド”と“シカゴ”は王道の人気曲で、まさか、この曲が連続で演奏されるとは思わなかったはずだ。何とも言えない感動の時間をそこにいた人全員が実感していた。スタンディングゾーンの人もシートゾーンの人も、物販やフードブースにいた人、さらにはスタッフ,クルーそしてクラムボンの3人も。 “Folklore”がシカゴで沸いたステージを再び冷まして、そしてミトがMC「コチラの原田郁子がソロで作品を出します。曲名は『たのしそう かなしそう』。もう1度言います『たのしそう かなしそう』です。」何故にそこまで宣伝をする?というくらいタイトルを言うときの口調はハッキリとしていた。そして「今から、その曲を3人でやってみようかと思います」と言った瞬間。会場中で思いがけないことに対する喜びの拍手が巻き起こる(ちなみに私は何となくだが演奏をするだろうなと思ってました)。「すいませ〜ん。新人です。」と原田郁子のMCに続き、再びミトが「では聴いてください。曲目は・・・『たのしそう かなしそう』」と再びハッキリした口調で言って演奏が始まる。スペースシャワーTVのパワープッシュで流れまくっているこの曲まだ発売もしていなかったのに口ずさんでしまった。だって凄い良い曲なんだもん。 そして「どうもありがとう。ミト,郁子,伊藤。クラムボンでした。」とミトが一言言った後3人はゆっくりとステージを去っていった。拍手は会場中に音楽が流れるまで止むことはなかった。クラムボン目当ての人はたくさんいたらしく、グラスへ移動するのに時間が掛かってしまった。ステージを去る人皆々が満足そうな顔をしていた。 |