アロエラス物語:第二話

シーダ盗賊団は最近、アロエラス王国で名をあげている盗賊団の名前である。
ただし、その盗賊団は貴族や金持ちしか襲わず、
盗品は全て貧しい国民にわけているとのことである。
つまり国民からの盗賊団の人気は高く、国といえども、うかつに手は出せなかった…。
しかしウィルマの決断は早いものであった。
「国民から支持されている賊だが、盗んだ物が悪かった。早急に交渉をしてこい。」
ウィルマは盗賊団に刺客を送り、水晶を金と交換してくるように告げた。

数日後にその報告がされた。その内容……
『我が国の王よ、そのような大事な宝ならば自らが交渉に来るべきではなかろうか?
刺客を送り、そのものに全てを任せるような宝ならば返すに値しない。
どうしても返して欲しいという宝ならば王自ら一人で我々と話し合おうではないか。
3日後の正午にリリィの丘にて待つ。------シーダ盗賊団団長、ワラビー。』
その手紙を読み上げた大臣が叫ぶ、
「王よ!これは罠でございます!団長のワラビーは前国王を襲っているのですよ!」
「……むぅ、では、大臣は名案でもあるのか?」
「はっ。影武者をたてるべきと考えます。」
ウィルマは次の言葉を濁した…。
(盗賊の理屈は確かに合っている。ならば、それに従うべきではないか?
わたしは王という前に男だ。そのプライドもある。それを壊してまで大切な身分であろうか?)
ウィルマは決して王と言う身分を軽んじていたわけではない。
しかし、それ以上に自分の生き方に自信と誇りを持って生きてきたのである。
ウィルマは王としての自分より、誇り高き人間としての自分を選びたかった。
(だが、大臣の言うことももっともだ。国を愛してこそ王であるのだ。)
ウィルマの悩みは王の間に静寂を与え、王の間は沈黙の部屋と化した。
20分くらい経ち、沈黙を破ったのは召使いのじいであった。
「ウィルマ様はどうお考えですかな?王の意見が国の意見であるはずですじゃ。」
その言葉に家臣達は胸を打たれた。王も悩みが晴れたようであった。
「わたしは自分で行こうと思う。」
「なぜです!?罠であることは間違いないですぞ!!!」
大臣の声が響きわたる。
「罠でもよい。わたしは団長を信じておる。」
「うむ。それでこそウィルマ様じゃ。良い子になられたものです……」
じいは感動の涙を流した。一方、大臣はため息を一つつくと、
「確かに……。今の王様らしいお言葉です。」
と言って照れくさそうに笑いながら下がっていった。

3日後……。
リリィの丘にてアロエラス国王ウィルマと盗賊団団長ワラビーの話し合いが行われた。
話しているうちにワラビーはウィルマを気に入った様子であった。
「王と言うのは自分から動かない者と思ったがあんたは違うようだな。」
「わたしは貴殿を信じただけだ。俺が違うわけではない。」
「なるほど。だが、口調が固いのは気になるな。」
「今は一国の王として話している。必然であろう?」
「ふふふ……面白い王様だな。二人だけなのにな。」
……そして話は進んでいった。そして、水晶の話となった。
「返してはもらえるのか?」
「条件次第だな。俺はあんたの事を気に入ったしな。」
「……条件とは?」
「金かな。救いたい村があるんだ。」
「それならば国が援助するのでどうだ?」
「いや、保護だ!援助ではぬるい。」
「よかろう。保護しよう。」
「決まりだな。村ってのはハコベ村なんだが。」
「!?……あそこは生きることを捨てた村ではないか!保護の意味があるのか?」
「人がいりゃ国だ!心が生きることを捨てても体が生きてりゃ心を与えるのが王だろうが!」
ウィルマは再び言葉を濁してしまった………。
    -----------------つづく。