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―忘却―
あの日、
あの冷たい雨の日、
赤い傘を持った
小さな目は怯えていた
そして、小さな小さな手を
ぎゅっと握り締めて
何かに耐えて、逃げ場を失って
コワイヨ
タスケテ
声にならない闇が
悲鳴を上げる
僕はただ、
立ち尽くし、迫る闇に
目をつぶっていた
コワイヨ
オニイチャン タスケテ
忘れたいんだ、早く
一刻も早く
忘却の闇に捨て去りたい過去なんだ
人間ってなんて不器用な生物なんだろう
忘れたいのに忘れられないだなんて
神が与えた試練なのか
一生背負っていく罪なのか・・・!
あの子はもう、何も言わない
言えないんだ
僕は忘れないんだ
忘れられないんだ
あの鮮明な、傘に見えた海を・・・
<2000/10/30>