虚構    (改題の可能性アリ)




 明日にも梅雨に入ろうかっていう土曜日だった

 吉祥寺には色んな人がいた 老若男女って言うのかな

 天気はそんなに良くなかったけど 結構人が出てた

 いい街だ 土曜でも なんてゆーか

 武蔵野の穏やかさみたいなのがあるね


 トシキのおごりで昼飯を食った後 特に目的もなく街を歩いた

 ケンジはともかく トシキがヒマなことってめずらしいから

 せっかくだからなんかしたかったんだけど

 なぜか3人とも やっぱ昨日の疲れなのかな

 テレテレ歩いてるばっかりで 特にどうって なかったなぁ



 「・・・・・ん どした シン?」


 「イヤ なあトシキ あの右から2個目の看板  どんな映画?」


 「あ〜 アレは そうそうシンの好きな

   ダスティン・ホフマンとミシェル・ファイファーの

                   ・・・・・教師の夫婦の映画だよ」


 「ん そういや二人ともシンの好きな俳優じゃねえか」



 映画ってモノをほとんど観なかったオレとケンジが

 スクリーンにしろビデオにしろ 週に1本ぐらい観るようになったのは

 やっぱりトシキの影響だ

 もちろん 全然詳しいわけじゃねえけどさ

 トシキが コレおもしれえからって貸してくれた映画で

 オレとケンジは目を覚まされた感じだったもんなあ

 トシキんトコとか ウチで何度も上映会やってるけど

 結構映画が好きだって言ってたフミカも

 知らないのがあったみたいだし セレクトには感心してたみたいだった


 そんなこんなで映画を少しずつ観るようになって

 オレが好きになった俳優さんが ダスティン・ホフマン!

 あと ブルース・ウィリスと トム・クルーズ!

 でもって 女性ではミシェル・ファイファー!

 ブルース・ウィリスとトム・クルーズはよくミーハーだって言われるけど

 ダスティン・ホフマンとミシェル・ファイファーについては

 トシキも まあまあだって言ってくれた

 言われたからなんだって話なんですけどね・・・・・


 「時間もちょうどいいじゃん 観てこうか シン?」


 「え そりゃうれしいけど トシキもケンジも 時間とか大丈夫?」


 「オレはいいぜ 観てくか 確かにちょうどいいし」



 吉祥寺のオデオンは座席が狭くてあんま好きじゃないんだけど

 肝心の映画の方は 個人的にはかなりおもしろかった

 オレは映画はハッピーエンドじゃなきゃイヤなんだけど

 これだけは師匠の影響受けなかったな

 師匠はその辺は 割となんでも来いの雑食みたいだ


 内容的には そんなに深いわけでもなく

 別に教師じゃなくてもよさそうだったけど

 ベタな展開に弱いオレとしては じんわり涙ぐんでしまった




 ・・・・・アヤコと映画をたくさん観たことを思い出す

 アイツはオンナのクセに涙腺ユルくなくて

 ヒューマンドラマでもロマンスでも

 決まってオレが先に泣き出す・・・・・ もとい 涙ぐむ

 よくオトコのクセにって 笑顔で怒られた



 「・・・・・だよね シン?」


 「えっ? ああ そうそう 今じゃ駅でタバコ吸えるのってJRだけらしいよ」


 トシキの声で引き戻される

 オレは二人を改札まで送った 次に会うのは明後日の月曜だ