虚構 (改題の可能性アリ) 結局一睡もできないまま 朝8時半に家を出た 三鷹にある学校までは チャリで15分 9時前には余裕で実験室に着いた 着くなりケンジと目が合う 「いよう 相変わらず朝は不景気そうなツラだな」 「・・・・・」 「おいおい 朝イチから機嫌悪いなー」 オレは朝は当然機嫌が悪い 寝てない今日はなおさらだ 理不尽にイラつくオレに 追い打ちをかけるように 女の子が声をかけてくる 「ははは シンくん 早く真人間になりなさいよ」 「何で顔見た第一声がソレなんだよ」 「だって澱んでるもん カオが おーかた寝てないんでしょうが?」 「・・・・・」 この口の悪い女の子は フミカ ウチの学科にたった7人しかいない女の子のひとり カオもかなりだが スタイルがハンパじゃない こないだ学校新聞みたいなヤツの表紙にのって 一躍他学部の連中にもカオが売れたようで 学食なんかで一緒にいると よく声をかけられてる あのモデルみたいな足は 正直一見の価値ありだと思う ・・・・・口は悪い 大学の授業や実験なんてのは まあ クソだ 内容は重要なのかもしれないけどさ 教える人間がクソだ 大学が教育機関だってのもクソだ 「おいシン 明日やっぱりオッケーだってよ 決行だ!」 人が哲学的な気分に浸りながら コンデンサの配線を変えていたら ケンジが後ろを通りながら声をかけてくる 「明日? オメーのバイトのコの アレか?」 「アレ? この野郎 やる気ねえなら連れてかねえぞ!」 「・・・・・悪い 気合い入れる」 オレと同じく朝は機嫌が良くないはずのこのバカが なんかテンション高いのは こういうことだったのか 昼休みから3限は授業がないから オレはひとり涼しい図書館のソファで昼寝を敢行する マジメなヤツは3限も取ってるけどさ 「コラ! ここは寝るところじゃないぞ!」 「えぇっ! はいっ・・・・・!」 「バーカ 引っかかったー!」 「・・・・・!」 学校の職員みたいなマネをして オレの午睡を邪魔しやがったのは フミカだ この女 せっかく気持ち良く寝てたところを・・・! 「この野郎 授業はどうした!」 「いきなり休講になっちゃてさ 涼みにきた」 よく見るとケンジが後ろでニヤついてやがる 「涼みにきたなら 他人に迷惑かけずに おとなしく涼め!」 「おいおい 昼寝が長けりゃ また眠れなくなるんじゃないかっていう 親友らしい配慮じゃねえか?」 「余計なお世話だ!」 言ったオレに何の遠慮もみせずに 二人そろって満面の笑みだ つくづくアタマにくる連中だ こいつらのカオ見てると安心する なんでそんなセンチなこと考えるようになったのかと言えば 月並みな表現だけど やっぱりオレはいろんなものをなくしちゃったからじゃないかな こんなオトコになりたいと思って この年になってだんだんと そうあるにはどうすればいいのか わかるようになってきた気がする なりたいと思ったときには 考えもしなかった 何を身につければいいのかってことばっかり考えて それを身につけるためには 何を失うのか なんてこと オトナになるってことは 成長するってことだ 肉体的に 精神的に 成長するってことは 何かを失うことだなんて 普通 考えたりできないよなぁ? |
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