彼女が出て行った部屋はなんだか広く感じた。
壁に貼り付けてあった映画のポスターは持っていかれてしまった。
元から俺が飼っていた猫のナナは無事にこの部屋に残っている。
「結局俺たちだけになってしまったな〜。」
俺がナナにニッコリ笑顔で話しかけるとナナは「フンッ!」という素振りで開いてる窓へ去っていった。
「なんだよ〜、ナナまで・・・。」
彼女と別れた日、彼女が出て行ていった日なのに空は雲一つないいいお天気。
小さなアパートで将来を約束しあっても最後はこういう結果が待っているとはね・・・。
セミの声が近所中に響き渡る日曜日。
昨晩の喧嘩を思い出していた。今思うとすっごくくだらないな・・・。
夏の日差しがあたるラジヲから数年前の流行歌が流れてくる。
今聞くとなんだか歌詞の意味が染み込んでくる。なんだろ。涙が少し頬を濡らしてくる。
「情けないな・・・。」
うつむいている俺の元にナナが帰ってきた。
「ま、俺たち二人っきりの生活をしばらく楽しむか!」
ナナがくれた微笑みを見たら少し心が落ち着いたある暑い夏の午後の日。残った男の猫の部屋・・・。
残った男と猫
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