さらば愛しのやくざ

和泉聖治監督
野沢尚脚本
陣内孝則
柳葉 敏郎

7点

元ミドル級チャンピオンでケガで引退したヤクザと一流大学で就職も決まった マジメな青年の物語。ヤクザと学生には普通変なことしなければ接点はないのですけど、この映画はその状況を無 理矢理作ったところが面白い。学生がバーでボラれたら普通二度といかないのですがこの根性ある学生は悔しいの でもっかい行く、以前来たときに学生をしばいたヤクザはその根性を認め接近する。二人には何も共通点がないの だが逆にお互いが新鮮な存在なのでしだいに友情へ変わっていく、特にヤクザが大学で教授にいちゃもんつけるシ ーンがよかったですね、アカデミックと現実の差はやはりちゃんとある。大学の講義が社会であまり役に立たないとい ったことですか。最後はこの正統派ヤクザが正義感を振りかざして敵と戦うのですが、そこに学生が飛び込むといっ た現実にはありえない設定なのですが、これが映画なのでまたそこが面白い。しかし陣内が脱いで入れ墨を大学で 見せるのですけど、あの白い肌と筋肉が全然感じられないお披露目はちょっといただけない。陣内は普段いい人で すから仕方ないにしても、メイクかなんかでごまかしてほしかった、あの体をみればボクサーという設定はちょっとしょ ぼくなっちゃいました。<99/3/14鑑賞>

G.I.ジェーン(97米)

リドリー・スコット監督
デミ・ムーア

10点

映画は評判で見るのではなく自分で見終わってから語るものであると私はこの 映画を見てつくづく思い知らされました。この映画デミ・ムーアが製作に加わっているのですけど彼女の男女同権の 未来への訴えというものが全体から伝わってきました。一言で言えば女版トップ・ガンなんですけど中身は政治的謀 略、女性差別、軍隊の過酷さなど盛りだくさんです。自らの保身ために女性差別を振りかざし、ある女性議員が男で も過酷である海兵隊にある優秀な女性兵士を入隊させた。果たして彼女は海軍の卒業式まで生き残ることができる のか。アメリカ海軍といえば過酷さで合格率60%と数字上でも物凄いですけど、例えば4分しかない食事時間、そし て食べきれなかった食事をゴミ箱に捨てるのですけど、次の食事はなんとそのゴミ箱の残飯を食べるという、見てい てこちらがまいるくらい迫力が伝わってきました。この映画のテーマは男女同権の主張だと思うのですけど、それを引 き出すためにデミ・ムーアはイジメられまくります。それにしてもデミ・ムーアが魅力的すぎます、ハゲになっても魅力 的な女性なんて本当に脱帽です。彼女はこれでアメリカの女性は世界で一番タフということをアピールできたでしょ う。見所は彼女の女というだけで世界最強の海軍の男達に負けないぞっという意地ですね。こんな女性がいれば男 なんかいらないですわ。私が見終わって一番感じたことは、この映画には色々差別についてあるのですが、差別とり わけ女性差別に対して敏感なアメリカがやたらと強調するということは、やはりまだまだアメリカには差別意識が残っ ているのだと思います。監督はアメリカ人に対して差別に対するモラルを高めたいという意図があるように思えます。 そしておそらくアメリカより女性軽視の国日本ではこの映画は受け入れられないと思います。その辺が評判が悪かっ たのでしょうか。つまりこの映画を見てつまらないと思い女性差別的感情が沸く人ほど女性差別の観念が強いのだと 思います。最後にデミ・ムーアの演技力、これだけでこの映画は満点です。<99/3/4鑑賞>

ジャッキー・ブラウン

クエンティン・タランティーノ監督
パム・グリアー
サミュエル・L・ジャクソン
ブリジット・フォンダ
マイケル・キートン
ロバート・デ・ニーロ

3点?

まことに申し訳ないが始まって30分で寝てしまいました。それがまた映画がつま んなかったか、それともただ疲労で寝てしまったか僕自身も分かりません。悔しいからいつかまたちゃんと観ます。 主 人公ジャッキー・ブラウンは、武器商人オデールの金をメキシコに運ぶ手伝いをしている。警察はオデールを捕らえ るために、金の運び屋ジャッキーに圧力をかける。オデールを裏切り、警察に協力しなければ、ジャッキーを逮捕す るというのだ。オデールを裏切れば殺される。裏切らなければ逮捕されて、生活の一切を失う。前にも後ろにも進め ないジレンマの中で、ジャッキーはオデールにある提案をするのだった……、といった話。結構入り組んだ話ちゃん と観ていないけど、タランティーノらしさが少し薄かったような。 しかし、タランティーノは黒人をよく作品で協調する。 はじめの30分は確かに退屈でした。テンポはB級にこだわったせいで悪いし、役どころがいまいち個性を発揮してい ない。デ・ニーロもいつもの彼らしい渋さが必ずだしているはずなのに、今回はタランティーノの言うとおり普通の演技 に徹していた。全体的にタランティーノにしては普通の映画でした。途中で寝てしまったのがあまりにも悔しいのでま た観てちゃんと総評します。<98/5/21一応鑑賞>

十二人の怒れる男

9点

日本では三谷幸喜がリメイクした「12人の優しい日本人」のもととなった映画。 父親殺しの18歳の少年が有罪か無罪かを議論するためにあつまった12人の陪審員。12人のうち一人が無罪を主 張したために議論は長引く。そしてこの無罪を主張したものが次々と疑問をなげかけ他の陪審員は混乱する、事実 は何か?真実はどれか?物事の真理をついた様々な議論が人間というものの存在を探る。人間って12人も集まれ ばこんなに素晴らしい議論ができるのですね。うわべだけじゃなく本音で話し合えば喧嘩もするかもしれない、でも今 まで違った色々なものが見えてくるのですね。注目したいのはこの無罪を主張した人の限りない冷静さ、そして頑固 までに自分の主張をしっかり的確に表現した人間像です。冷静に話し合えば何事もちゃんとわかりあえるのですね。 <98/10/2鑑賞>

十二人の怒れる男
/評決の行方

ウィリアム・フリードキン監督
ジャック・レモン

9点

57'版の脚本家R・ローズ自身が現代向きにリメイクしたTV版、57'版は白黒であ ったが今回はもちろんカラー、日本でもお馴染みの三谷幸喜がリメイクした「12人の優しい日本人」の原作品。父親 を殺したかも知れない少年の裁判を巡って12人の陪審員が個性を出しながら話し合いをする。法廷で有罪確実な 被告に対して11人の陪審員は有罪の烙印を、しかしただ一人の男は無罪を掲げ11人と戦う。私はこの映画非常に 評価しているんですよ、何故なら「人間」というものをたくみな表現で表しているからです。人間はどんな生き物なのか ?命とはなんなのか?色々考えてみるとやっぱり人間ってすごい生き物なんだということをこの映画は教えてくれま す。名優ジャック・レモンの演技が素晴らしいですね、彼の仕草、発言のタイミングどれをとっても見事に演じていま す。社会的には陪審員制度について考えさせられます、先進国のほとんどの国は陪審員制度を適用しています。い い面でいうと陪審員によって公平な判断が下される。アメリカなんかはおかげで有罪率が低い、あやしくともきっちりと した証拠がなければ有罪にはなりません、これによって本当は無罪の人も助かったりします。一方日本は有罪率が 非常に高いんですよ、アメリカの倍ほどもです。これはある意味犯罪の検挙率が高いとみえますが、反面無罪の人も 有罪になってしまう可能性が高くなるということです、最近ではよく何十年たってみて無罪であったという記事をよく見 ますね。日本の場合は起訴する前に警察なんかが綿密に時間をかけて調査するから有罪になる確立が高いとも言 われていますが、陪審員制度はスピーディーで公平でこういうことを防ぐことができるということです。もし日本も陪審 員制度を取り入れたら、税金が低く済みますね、陪審員が公平に判断してくれて、警察なんかは本業に専念できる わけですから。そして悪い面で言いますと陪審員の判断が甘ければ有罪の人も無罪になってしまうということです。ま あアメリカなんかでは政府がしっかりしていますから、この辺のモラルを社会的にきっちりしています。この映画のポイ ントは「固定観念」、人はいかにあやふやな固定観念にしばられて自由な発想がてぎなくなってしまっているということ をこの映画は教えてくれています。あなたは何かの固定観念にしばられていませんか?<99/10/07鑑賞>

ジョージ・ウォレス
アラバマの反逆者

ジョン・フランケンハイマー監督
ゲーリー・シニーズ

8点

私はこの映画をみて改めてアメリカは恐ろしい国だと思った。60年代沸き上が る公民権問題の中で、真っ向から人種隔離政策を唱え、南部白人達に絶大な人気を誇ったアラバマ州知事ウォレ ス、権力が渦巻く選挙の世界と人種問題で揺れるアメリカの歴史との関わり、人権とは?民主主義とは?ウォレスの 激しくも過酷な知事生涯をかいま見れる。エミー賞部門8賞にノミネートされた秀作。主人公を演じるゲーリー・シニ ーズの迫真の演技力がアメリカの歴史を見事に表す。日本がまだ直面していない人種問題、多種人種はグローバ ルなこれからの世の中において大切な存在である。我々日本人もいつか遭遇する人種問題について今から考える のもなかなか面白い。<98/12/12鑑賞>

スネーク・アイズ

ブライアン・デ・パルマ監督
ニコラス・ケイジ
ゲイリ ー・シニーズ

6点

ハリケーンが吹くラスベガス、ヘビー級タイトルマッチのノックアウトの瞬間、観 戦中の防衛庁長官が何者かに撃たれた。長官は誰に撃たれたのか?ボディガードは何をしていたのか?長官の側 にいた謎の女性は何者か?ノックアウトされたチャンプは八百長か?このすべての鍵を解くのは汚職刑事のニコラ ス・ケイジと親友でボディガードのシニーズ、彼らの間でうごめく友情・裏切り、真実はどこにあるのか。ストーリーがシ ンプルでやや面白みにかけるが二人の男の心情が妙にくすぶる。人は誰でも可愛いのは我が身、自分さえよけれ ば後はめんどうなことは避けたい、だがめんどうなことは自分にやってきて自分が責任をとらなければならない、果た して人間はその責任をとれるのだろうか?悪い道に行くのは簡単ですね、逃げて逃げて悪いことを重ねてしまえばい いのですから、しかしいったん悪い道に入ってしまえば後戻りができないのがこの世の常、そのためにも人は信念っ ていうものを大切にしなくちゃいけないんですね。一番の見所はデ・パルマ監督の映像マジック、物語の裏の裏まで すべてカメラが張り込んでいます、さすが厳重警備のアメリカンっといったところでしょうか、この映画を見ると日本の セキュリティってまだまだ甘いような感じがします。役どころでは引き立て役のゲイリー・シニーズの役って「身代金」と 同じですね、型にはまりすぎてストーリー読めちゃいました、ダメですよこんな型にはまった役者を起用しちゃ、ひねり が欲しかったです、こんなことをしそうにない人を起用したら面白かったのにね。最後に自分の運命がどうなるか分か っていながら信念を貫いたニコラス・ケイジ、彼はラストで自分の運命を受け入れます、そして皮肉る、この辺がなか なかいいオチでした。現実には難しいんですけどね、自分の運命を受け入れることは、でも受け入れられた人は強 い人のような気がします。<99/10/13鑑賞>

スワロウテイル

岩井 俊二監督
江口 洋介
三上博史
CHARA
山口智子
渡部篤

9点

東京近郊にある無国籍都市イェンタウン(円都)に舞台に中国語と日本語と映 画のチャンポンを話す。イェンタウン住民を描く。夢と挫折、愛と哀しみに満ちた物語。発想が素晴らしい見事な言 語の使用、外人がバリバリの日本語を話すシーンなど見事だ。それぞれのキャラもみんな個性的に表現されており 素晴らしい。しかし残念なのが無駄なシーンが多すぎる。上映時間が148分もいらないくらい無駄なシーンが多い。 これ以外は素晴らしいくらいの展開だ。時に気持ち悪い映像が出てくるがこれもまたよかった。ラストのアクション映 画顔負けの破壊がうれしい。日本的な要素をふまえた国際的な素晴らしい映画である。