真夜中のカーボーイ

アメリカン・ニューシネマの最高傑作とも言われる1969年の作品。ニューシネマというものは概してハッピーエンドでは終わらないものだが、この「真夜中のカーボーイ」のラストはその中でも際立って暗く、そして悲しい。しかし他のどの作品よりも2人の男の友情が美しく描かれている作品でもある。
思えばニューシネマには男2人が主役として登場するものが随分ある。「明日に向って撃て!」「イージー・ライダー」「スケアクロウ」そして「真夜中のカーボーイ」。だが、これらの中でも、真夜中の〜に登場するジョー(ジョン・ボイト)とリッツォ(ダスティン・ホフマン)は間違いなく最低のダメ人間である。
ジョーはテキサスからホストまがいのことをして金を稼ごうと、ニューヨークへ出てきた根っからの田舎者だ。自分の肉体的魅力を武器に金持ちの女のヒモにでもなれば、いい暮らしができるだろうと考えてる世界一の勘違い野郎なのである。 そしてリッツォは廃墟になったボロアパートに住み着き、泥棒や詐欺師まがいのことをしては日銭を稼いでいる、ジョーに輪をかけたようなダメ人間だ。おまけに片足が不自由で肺病まで患っている。
こんなダメ人間2人が偶然出会い、話は展開していく。
ジョーの現実は厳しく、抱いた女から金を取るどころか逆に金を巻き上げられる始末で次第に暮らす金にも困るようになる。打ちひしがれるジョーに声をかけてきたのがリッツォであった。最初はリッツォに騙され、男の客を取らされたりもしたジョーであったが孤独と貧困に暮らす日々のせいか、何時しかリッツォのアパートに転がり込むようになる。
そして時がたつにつれて2人の暮らしはいっそう厳しくなるが、それと反比例するかのように奇妙な友情が深まっていく。そんな中、ようやく金の目途がついた矢先にリッツォの病気が悪化してしまう。2人はリッツォの長年の夢であったフロリダに行くことを決め、バスに乗り込むのだが・・・

バスの窓に映るフロリダの町、そしてリッツォの肩を抱くジョーの姿は映画史上に残る美しいシーンである。
ジョーを演じたジョン・ボイトはこの後「帰郷」でアカデミー主演男優賞を獲得し、「暴走機関車」でいいとこを見せたりもしているが、やはりこの「真夜中のカーボーイ」が彼の最高傑作だろう。
アカデミーの作品・監督賞を獲得し、ニルソンの歌う主題歌「うわさの男」も大ヒットした。