アメリカン・ニューシネマ

アメリカン・ニューシネマというのを知っているだろうか?多くの人は「ニューシネマ」がどーのという話をすると「ニュー・シネマ・パラダイス」のことだと思ってしまうようだが今回それはちょっと関係ないので置いておくことにしよう。
さて、そこでアメリカン・ニューシネマというのは何かというと、簡単に書けば1960代後半から1970年代前半にかけて作られた反体制の映画、ということにでもなるだろうか。
別にこれといった定義がある訳ではないし、人それぞれに感じ方も違うだろうからここではあくまでも僕の個人的な解釈ということで話を進めていくことにしよう。
ニューシネマ登場以前のハリウッド映画といえば、俳優は2枚目、女優は超美人、そして彼らは世間のヒーロー・ヒロイン、話はハッピーエンドと相場は決まっていた。
しかしニューシネマの登場で、その常識は見事に覆されてしまった。ニューシネマで活躍するのは、たいていが不細工で汚いかっこをした男達である。(いや、もちろん例外もあるんだけどね^^;)
主役はあくまでもその汚い男達であり、女優はその引き立て役にすぎない(女優がほとんど出てこないような映画も多い)。つまり、基本的には男の映画なのだ。
で、その男達は何者なのかと言えば、その多くがヒッピー、強盗、浮浪者などで、それまでの映画界では考えられなかったような職業(?)の者が主役として登場するのである。話の内容もそれまでのハリウッド映画にありがちだった、「正義が悪を倒す」的なものではなく社会からドロップアウトしてしまった、はみ出し者達の生き様を描いたものが多く決してハッピーエンドで終わることはない。思えばニューシネマの中でも、その代表作と言われるものは、ほとんどが最後に主役が死んでしまうような気がする・・・
ニューシネマにおいて一貫して描かれているのは等身大の(あるいは、それ以下の?)ヒーローである。それまでの映画界に存在した、スーパーマン的なヒーローは正に「強き、正しきアメリカ」の象徴であっただろう。しかし長引くベトナム戦争のさなか、アメリカの若者達はそのような象徴が示すものを信じられなくなっていたのかもしれない。そんなものよりも世間からはみ出し、後ろ指を指されても自分の思うがままに生きるニューシネマのヒーロー達に共感を覚えたのだろうか。
とにかく、戦争がアメリカ全体に暗い影を落としたこの時代にニューシネマは誕生したのである。

アメリカン・ニューシネマの代表作
作品名
制作年
監督
出演者
コメント
評価(5点満点、☆は0.5点)
俺たちに明日はない1967アーサー・ペンウォーレン・ビーティ、フェイ・ダナウェイ何と言ってもこれが始まり。ニューシネマの幕開けとなった記念碑的作品。この映画は知らなくてもボニーとクライドの名前くらいは聞いたことがあるだろう。ラストでは87発の銃弾を浴び蜂の巣に・・・★★★☆
卒業1967マイク・ニコルズダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス個人的にはそれほど好きではないのだが、一応代表作ということで・・・ ニューシネマと共に登場し、そして消えていったキャサリン・ロスの美しさに注目!!★★★
イージー・ライダー1969デニス・ホッパーピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン偉大なる一発屋、ステッペン・ウルフの「ワイルドで行こう」をバックに、チョッパーで放浪の旅へと出かけるキャプテン・アメリカとビリー。2人は正にアメリカの自由の象徴であった。★★★★
真夜中のカーボーイ1969ジョン・シュレンジャーダスティン・ホフマン、ジョン・ボイトアンチ・ヒーロー的な青春映画の代表作。社会から見放された負け犬達が、ひっそりと肩を寄せ合い生きながらも小さな夢を実現させようとするのだが・・・★★★★★
明日に向って撃て!1969ジョージ・ロイ・ヒルポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードニューシネマが時代を超えウェスタンというジャンルで登場した傑作。意図的にコミカルに仕上げられており娯楽作品としても楽しめる。しかしラストはやっぱりニューシネマ・・・なのである。★★★★☆
ファイブ・イージー・ピーセス1970ボブ・レイフェルスンジャック・ニコルソン、カレン・ブラック恵まれた環境に生まれ自らも才能を持った男が社会からドロップアウトし流浪する姿をJ・ニコルソンが好演。しかし全体的に単調で内容も地味なので見所といえばそれくらいかな・・・★★
哀しみの街かど1971ジェリー・シャッツバーグ アル・パチーノ、キティ・ウィンアル・パチーノの記念すべき主演デビュー作。麻薬常習者の堕落する姿を演じ、高い評価を得た。それ以降のヒステリックとも言えるパチーノの姿はまだ見られないが、抑えた演技の中にもあの鋭い目つきは既に際立っている。恋人役のキティ・ウィンの美しさにも注目。★★★
スケアクロウ1973ジェリー・シャッツバーグアル・パチーノ、ジーン・ハックマン社会からはみ出した2人が偶然出会い、旅を続ける中で奇妙な友情が芽生えてくる。ジーン・ハックマン扮するマックスが、旅先の酒場でストリップ・ショーを演じる場面には拍手喝采!!★★★★☆
さらば冬のかもめ1973ハル・アシュビージャック・ニコルソン若い囚人兵を刑務所まで護送する任務についた2人の下士官と囚人兵のロードムービー。J・ニコルソンのセーラー服姿を見ているだけでも楽しくなってしまう。ニューシネマには珍しくハートフルコメディといった感じに仕上がっている。残念ながら現在ビデオは廃盤になってしまったらしい。★★★★
カッコーの巣の上で1975ミロス・フォアマンジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー精神病の振りをして刑務所から精神病院に逃れてきた男をJ・ニコルソンが文字通り狂演する。刑務所以上に規則で縛られた精神病院の中で、J・ニコルソン扮するマクマーフィーは掟破りの行動によって患者に人間らしさを取り戻させていくのだが・・・★★★★
狼たちの午後1975シドニー・ルメットアル・パチーノ、ジョン・カザールニューヨークで実際に起きた事件を元に映画化された作品。白昼堂々、銀行強盗に入ったソニー(アル・パチーノ)は次第に時の英雄に祭り上げられていく。監督は「12人の怒れる男」のシドニー・ルメット。★★★☆