こちらは本その他の作品の感想(鑑賞して感じた事、メーッセージとして受け取った事など)のページです。
【MEMU】
 「水に眠る月」 ごとうしのぶ 作 キャラ文庫
「闇の守り人」 上橋菜穂子 作 偕成社 


 「水に眠る月」ごとうしのぶ 作 キャラ文庫

  このお話を読んでいて私が一番どきっと来た言葉はラフィーネの「嘘つきは、しあわせにはなれぬものなのだよ、タスティス」です。
月の王になりたい兄の為に、夢を見ない自分の自身のなさのゆえに、レエナとの恋の成就の為にと…「自分は月の王になりたくはない
(なりたいわけではない)」と自分自身に嘘をつき、逃れられない月の王としての使命からも逃げたタスティス。 
そしてその報いはあまりにも大きい自らの死…
最初私は、(基本的に最後に人が亡くなる話が苦手ということもあるのですが)ラストでのタスティスの突然の死が納得出来なくて、出来れば
異世界(リンデンの巨木のある世界)へワープ(^^;でもしてレエナと二人で暮らしていて欲しいな、などと考えていたのですが(^^;
人は自分の望みのままに自由奔放に生きても、いろいろなもので自らを縛って生きても、どのような生き方を選んだとしても、その結果どのようなことが自分の身などに起きようとも結局最期には自分で始末しなければならないわけですよね。たとえそれが自らの死だとしても。
ということをタスティスの「死」によって作者は私達に伝えたかったのではないかなぁと、そしてタスティスは自らの「死 」によって水の王子レエナと共に「世界」の外への扉を開き、最期の最期で月の王としての使命をも果たしたのだなと、やっと今はタスティスの死を受け入れられる
気持ちになれました。
 しかしどちらにしても最期には自分の始末は自分でつけるならないのなら、自分の望みのままに生きた方が絶対お得(^^) ですよね。
とはいえ、自分が本当に何を望んでいるかを見極めることは本当に難しいことだとは思います。
が、少なくても、
自分に「嘘をついて」いろいろと理由を付けて「逃げてはいけない」という、作者からのメッセージを感じました。
 思えばしのぶさんの他の作品にも同様なメッセージをいつも感じます。
自分の心の傷、様々なしがらみ、世間の常識受けるであろう非難そんなものを理由にして自分の本当の気持ちから「逃げては行けないよ」と
作者は作品を通していつも私達読者に伝えているのだなと思います。
 
 

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「闇の守り人」  上橋菜穂子 作 偕成社

  そしてこちらは 自分の望みやそのもろもろを飲み込んだまま自分を犠牲にして使命を全うして生き亡くなった死者への弔いと犠牲にして
しまった遺族の心の傷の癒しの闘いの物語。
だれもが心の中に持っている心の闇。
 人が生きていく上には「自分がしたい事(自分の望み)」の他にそれと両立不可能な「周囲の人々に課せられたあるいは自分の正義感
責任感においてしなければならない事(使命、義務あるいは義理)」があることも往々としてあり、その場合、周囲の犠牲や非難を無視して
自分の思うように自由に生きるのも、自分の望みは飲み込んで自分を犠牲にしても使命を全うして生きるのも、確かに結局はその人の
選択次第であり、そしてどちらにしても、その結果はやはり自分で引き受けなければならないのも同様。
とはいえ、それを抱え込んだまま死んでしまった場合、死後の世界に持っていく心の闇はどちらの方がより深いだろうのでしょうか…。
  自分が自分を犠牲にしてまで守ってきた人達への愛情と自分を犠牲にしたことへの恨み、犠牲にならなくてはならなかったことへの哀しみ。
その相反する諸々を飲み込んだまま亡くなった死者、闇の守り人、ジグロ
彼の養い子バルサの自分を犠牲にしてまで育ててくれた彼に対する愛情と幼かった自分が生きるために仕方がなかったとしても彼を犠牲にしてしまったことへの罪悪感と申し訳なさとそうしなければ生きてこられなかった哀しみとのぶつかり合う激しい闘いの場面は何故か寂寥と
もの哀しく静かな感じさえしました。それはこの闇の守り人との闘いはジグロへの弔いの闘いであると共にバルサにとって自分の中の心の闇を直視し認め直しそして癒す為の闘いだったからなのだと思います。そしてそれはお互いにしか出来なかったことだったのでしょう。
 誰もが持っている
心の闇。それから目を背け見ないふりをして生きていても決して心の傷は癒されることはなく、それがどんなに辛くても
そこを直視し直すことから始めなくては、人はその闘いから逃げてはいけないのだと、思います。本当に難しいことではあるのですが…ね(^^;
 幸せになる為に……心の闇を抱え込んだまま死を迎えることなどない為に…
 


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