◆ヘビーローテーションなアルバム◆

 

 

 

● Roger Nichols & The Small Circle of Friends ●

『The complete Roger Nichols & the small circle of friends 』

 

 

ソフトロックの神様、ロジャー・ニコルズの楽曲を集めた、文字どおりThe complete Roger Nichols & the small circle of friends”な一枚。メロディ、アレンジ共きわめて上質。多分、このアルバムが嫌いな人はあんまりいないのでは? と思うほど、ストライクゾーンが広い、普遍的な名曲揃い。

ライナーを小西康陽が書いているのだけど、愛溢れるテキストも秀逸。これを聴かないでポップスは語れない。

蛇足だけど、1曲目の"Don't take your time"はコーネリアスの“ラヴパレード”、"Lovesong Lovesong"はピチカート・ファイヴの“我が名はグルーヴィー”に引用されている。

 

● Claudine Longet ●

『Love is blue 』

 

 

A&Mの歌姫、クロディーヌ・ロンジェのウィスパリングヴォイスをこころおきなく堪能できるアルバム。ジェーン・バーキン、シャルロット・ゲンズブール、最近ではカヒミ・カリィ・・・・これらの“ヘタウマ”ロリータの元祖ともいうべき存在なのでは?

あまりにもアクがなさすぎて物足りない・・・という人もいるかもしれないけど、この声は貴重(もちろん楽曲もGood)。

"Hollyday"はフリッパーズの“サマー・ビューティー1990”の元ネタになった。

 

 

 

● Fripper's Guitar ●

『 Camera Talk 』

 

 

今や伝説的存在になってしまったフリッパーズの2nd。1stや3rdを推す人もいるけど、私は2ndがお気に入り。

彼らの音楽のほとんどはきわめてセンスの良い引用とサンプリングとで構成されていることはよく知られたことだけど、そのこと自体には何も思わない。オリジナルの下らない音楽を聴かされるぐらいなら、パクって作った名曲の方がまだマシだと思うから。

冷蔵庫のドアにバターを塗ったり、カメラの中で3秒間だけ恋をしたり、バスルームで髪を切ってみたり、誰も聞かない声で叫んでみたり、キスを投げてさよならをする。

フリッパーズは永遠に1990年の夏の中に生き続けている。私たちは永遠の夏にとらわれたままだ。

 

 

● Love Tambourines ●

『 Alive 』

 

 

現在はソロシンガーとして活躍するEllieが以前在籍していたLove Tambourinesの1stにしてラストアルバムとなった作品。現在のR&Bブームのずっと以前、それこそ先駆者として活躍していた彼らの作品は、当時インディーズとしては異例のセールスを記録した。

Love Tambourinesの魅力は何か。ポップで馴染みやすい楽曲、全曲英詞による非日本的な音楽スタイル・・・やはりEllieのヴォーカルだろう。今でこそ歌の上手いディーヴァは掃いて捨てるほどいるけれど、当時これほどの歌唱力やグルーヴを備えたシンガーは稀だった。また、Ellieは単に歌が上手いだけではなく、女の業や哀愁のようなものを滲ませて歌うことができる貴重な存在だった。昨今のR&Bブームにおけるディーヴァ大量生産の様子を見るにつけ、なぜこういう「泥臭さ」を表現できるシンガーが出てこないのか、疑問が湧いてくる。清潔でクールなだけのリズム・アンド・ブルースなんて煮込み不足のシチューみたいなもんである。

ちなみにEllieとほとんどの楽曲を手がける斉藤圭市は当時夫婦だった。随所に溢れる愛の言葉は何とも微笑ましい。1stマキシシングル"Love is Here 〜Just Between you and I〜"は90年代の"Lovin' You"だと勝手に思っている。

乞、再評価。

 

● キリンジ ●

『 ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック 』

 

 

彼らの音楽は「ソフィスティケイティッド・ロックデュオ」という形容詞で評されることがあるが、結構的を得た表現だと思う。

初めて聴いたのはメジャーデビュー曲『双子座グラフィティ』だったと思う。耳馴染みが良くてアレンジもよく練られてるけど、ややコンサバティヴだな、というのが第一印象。その後、ナチュラル時代の『キリンジ』や『冬のオルカ』を聴くにつけ、印象は一変。そして1stアルバム『ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック』を聴き、「これはひょっとするとひょっとするんじゃない?」。フリッパーズ以来の期待感が湧いてきた。

彼らの音楽はどんなシーンにもフィットする。よい音楽はよいBGMたりえると私は思う。ごつごつした字面の「何か」隠されていそうな詞も、流麗なメロディとホーンセクションにのせた瞬間、淡い夢のように溶け合ってしまう。

流星のイレズミをまぶたに刻め

袂を分かつ野良の虹

桃色の手のひらを振る恋人よ

バイバイバイ、グッバァーイ!

/ “野良の虹” (詞 : 堀込 高樹

 

この詞をあのメロディにのせて歌うなんて、誰が思いつくだろう!

2ndがやや凡庸な印象になったのは、『ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック』の完成度の高さのせいかもしれない。初心を忘れず、良質ポップス職人としてのスタイルを持ち続けて欲しい。

 

 

 

 

 

 

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