黒い一族の系譜 A 〜ファミリー誕生秘話〜

  このページは、10000ヒット御礼記念として、一部で微妙な人気を博している(のか?)通称「黒い一族」=オレの家族だ のネタを、当然家族にはナイショで、チョコチョコと切り売りしていくページであります。・・・肉親までとうとうネタにするようになるとは・・・ああシャイロックな俺サマ。(カッコいい・・)

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    びん一族が、ニュースや時事ネタについて、家族内でテキトーなことを言いたい放題言うようになった原因の1つに、「びん父の影響」というものがある。びん父は、基本的には真面目で頑固で融通がきかない性格な上、いったん怒り出すとかなり手がつけられない。 たとえ相手が子供だろうと、悪さをすればガツガツ手を上げちゃうような、けっこう昔気質のいわゆる昔ながらの「父親」である。 しかし反面、普通のガンコ親父と一味違ったのは、「子供の頃から、妙に明るい性格だった(祖母談)」らしいということで、どうもそれによって、びんは小さい頃から、様々な場面でいろいろと騙されているんである。                    父親なのに・・

ある日のびん父・ まだオレが小学3年生くらいだった頃のこと。幼いびんは、学校で当時流行っていた「両親のなれそめを聞く」という流行にのっとり、びん母に聞いた。「なー。お母さんて、お父さんとなんで結婚したん?」 びん母は恥かしそうに身を捩りつつ、「そんなんお父さんに聞きやー。お母さんよう言わんわ」 「あそ。ならお父さんに聞こ」  

  まあこれが間違いの始まりだったのであるが、その時のオレ(=小学3年生や)がそんなことを気付く筈もなかった・・。

そしてびん父に聞きにいくオレ。「なあなあ、お父さんとお母さんてなんで結婚したん?」 瞬間、キラリと輝くびん父の瞳。 「お前、そんなん聞いてどうするんや」 「・・え?だってクラスの友達のも聞いたけえ・・」 「そうか。とうとうそんな年になったんかお前も」 「・・は?いや、あの、そんな年て」 「聞いても驚かんようにな」 「いやあの。そんなスゴイ話なんかな・・」 「覚悟はできとるんか?」 「かくご・・」 「ほならそこに座り」 「う、うん」  思わず正座するオレ。

かくして、びん父による、びん父&びん母の壮大な恋愛叙事詩が、下記の如く繰り広げられたのであった・・。

「あんな、お父さんはな」 「うん」 「お父さんは・・・お父さんはな」 「う、うん」 「昔な、しがない餃子売りやったんや」 「・・・・へ。ギョ・・?」 「餃子売りや」 「ギョウザウリ?」 「ギョウザ知っとるやろ。お父さんはな、屋台でギョウザ売っとったんや」 「だだってお父さん新聞記・・・」 「新聞記者する前はな、ギョウザを売りよったんや。ま、転職したっちゅうことやな」 「知らんかったわ・・」 「そらー今まで言うとらんかったし」 「そ、そうやったんか・・。お父さんギョウザ売りやったんか」 「そうや、それでな。毎日毎日ギョウザ売りよったんやけど、お父さんまだ若かったしな、うまいことギョウザ焼かれへんから毎晩売れ残りのギョウザたくさん抱えて帰って、親方に怒られてばっかりでなあ (やたら遠い目のびん父)」 「・・・親方・・ギョウザ売りに親方・・」 「そうや、まあマッチ売りの少女のギョウザ版みたいなもんやな」 「マッチ売りの少女・・・ギョウザ版・・・」 「あれで結構大変やったでぇ、屋台のギョウザ売りは」 「・・はあ」    ←既に呆然としていて、コトの不条理さに気付かぬオレ

「ほいで俺はな、毎日必死にギョウザ売りよったんや。そんなある日、一人の美しい女性がこっちの方を毎日見とるのに気付いたんやな」 「ふう・・ん」 「で、『あの人は誰やろう』てだんだん思うようになって」 「うんうん」 「それがある日、その人が夕方やってきて、売れ残りのギョウザを全部買いとってくれたんや」 「へー売れ残りを全部?」 「そうや、売れ残り全ー部買い占めてくれた訳や」 「はあ」 「そらもうお父さんは大感激やし、その人はそれから毎日毎日夕方に来てくれて、売れ残りを買っていってくれるようになったんや。 お父さん、もうその女の人が来るんが毎日楽しみでなー。だんだんその人と親しく話をするようになったんや」 「そっかー!! それがお母さんや」 「そうや。お父さんは毎日その人と会えるのが楽しみで、おかげで売り上げもそこそこ軌道に乗ってきたし、こらもうギョウザ売り一本でなんとかやっていけるなーと思とったんやけど・・」   「やけど」

「急にな、家の事情で実家に戻らんといけんくなって、ギョウザ売りやめることになったんや」 「あーそっか。お父さんの家、○×県やから、お母さんの家と遠いもんなあ」 「そうや。こらもう、泣く泣く諦めるしかないなーて思うて、実家に帰る日、お母さんトコの実家に挨拶に行ったんや」 「あー。おばあちゃんトコやな?」 「そうそう。お母さんトコの家、料亭と食堂やっとるやろ?それまでにも何回かご飯食べに行っとったから、家の人もお父さんのこと知っとった訳や」 「そうなんか」 「それで挨拶に行ったんやけど、お母さんが最後までどーしても挨拶に出てこん」 「あっ、お母さんもしかして隠れて泣いとったんかなぁ(←何故かテレ笑いのオレ)」 「うーん、それでお父さんも、相当会いたくて粘ったんやけど、とうとうお母さん出てこんで、時間もなかったし、おばあちゃん達に手振って、人に借りた車で出発したんや」 「え、そのまま会わんで?」 「そうや」

「それじゃあ・・・お母さんとは何ヵ月か後にどっかで再会したん?」 「まあ、再会ちゃあ再会やな」 「いつ、どこで?」 「その日お父さん、泣く泣く車運転してなあ、4時間後くらいに実家に着いて」 「うんうん」 「で、もうあの人には会えんのやろうなーなんて思いつつ、荷物を出そうとしてトランク開けたら」 「・・・・開けたら・・・?(なんか嫌な予感してきた・・)」

「お母さん、トランクの中に入っとったんやなあ。4時間クルマの中で耐えて、出てきたら『お嫁さんにしてください』て言うんや。また家に戻す訳にもいかんやろ。 やから、こらもうお父さんも腹くくってなあ 『なら嫁に貰うたる』 と」       

・・・・・・(お前ナメてんのか)・・・・・

さらに後日談。

「あの話を学校で友達にしたら、やっぱり『そんなん絶対ウソやわ』 『あんたお父ちゃんに騙されてんねん』 て言われたんやでー」 「そうか・・」 「あの話は嘘やろ?『だいたい屋台のギョウザ売りなんておらん』、『クルマのトランクなんか、4時間も入っとれんわ』 てみんなに言われたで」

沈痛な顔で黙り込むびん父。

「仕方ないな。本当のことだけは絶対言うまいて思とったんやけど・・・」 「や、やっぱり嘘やったんやな。 今度こそ本当のことちゃんと教えてや」 「本当に知りたいか?」 「うん、知りたい!」

重い溜息をつき、おもむろに目をそらすびん父。

「お父さんは、お父さんはな。本当は・・・」 「・・う・・ん(ゴクリと唾を飲み込むびん)」

「あとの話はホンマやけど、1つだけお前に嘘ついとった。お父さんはな、本当は しがないパンケーキ売りやったんや・・・ほんま、ウソついてゴメンなあ」

「パ・・・パンケーキ・・?」 (←予想だにしない返答の衝撃で声が裏返っているびん)

 

・・・・なぜそうまで、ペラペラと口からでまかせが言えるのかこの男・・・・おそるべし びん父・64歳。 =現在、とある地方都市でびん母と隠居生活を楽しむ男・・・


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