「ムトゥ 踊るマハラジャ」
はっきり云って、ものすごい映画である。インドエンターテイメント映画なんですが、核タ験が出来るはな、これだけ力があれば。とインド映画の底力を感じます。映画の要素をすべて盛り込んでいる映画である。何でもかんでも歌と踊り、その音楽は、テクノ。それはそれはすごいもんで、大人数のバックダンサーと衣装が一曲の間にいくつも変わってしまう。何でと突っ込みたくなりますが、そこはインド人になりきり、細かいことは気にしない。アクションシーンはブルース・リー。悲しみと怒りの表情と、やられた人はものすごい勢いで吹っ飛んでいく。駅馬ヤ宜しくの馬ヤでの追っかけ。追手が次々とけつまずいていきます。馬ヤががけを飛び越えます。ココは感動です。要チェック。
これだけじゃない。逃亡のなかで生まれる愛。まさしく映画的。ラブロマンスには、障害がつきもの。それも苦しいもの。ドキドキである。
もっとも大衆に受け入れられるテーマ。それは勧善懲悪。悪を駆逐するところにあるカタルシス。これも当然入り込んでいる。
見終わった後は爽快感が残り気持ちのいい映画であります。
98.7.7.
「ジャッカル」
大金をつぎ込んだ割には、ちょっと弱い感じがする。ブルース・ウィリスはいいんだが、リチャード・ギアの行動に関して、FBIは寛容すぎるような気がする。キャストの面は、全然問題はない。作戦の穴が大きすぎるのが、間抜けなので興ざめしてしまう。後は、リチャード・ギア演ずるデクランの昔の恋人との再会。その恋人はもう夫がいて二児の母になって、幸せな生活を送っている。デクランと恋人の絡みが少し物足りない気がした。
この話はジャッカルとデクランの対決である。ジャッカルは、冷ややかに人を殺す。デクランは、もともとIRAの伝説的なスナイパーで、祖国のために動く情熱的な人物。ココの比較が面白い。それと、追うもの追われるものという形ョ。
男の映画でもある。ラストシーンでFBI副長官が、黙ってデクランを逃してやるところは、映画としての面白みである。
98.8.24
「スクリーム2」
前作の恐怖再び。タモリさんの付き人金子君がおびえるぐらいの怖さ。これはあまりいい指標にならないか。前作同様映画ネタをてんこ盛りのせりふが飛び出てくる。面白くするにはせりふ、つまり脚本がよくないとだめだといういい見本。脚本だけではだめで、いい監督がいて、いいキャスト、いいスタッフが必要である。そういう点でもいいと思う。
それにしてもアメリカの大学生て言うのはよっぽど普段たまっているのか、前作の事件を元にした映画「スタブ(刺殺)」の試ハ会で騒ぎ回っている学生達のパワフルなこと。なんかいつもはあの反対の力が世の中から受けているのかと考えてしまう。
98.11.5.
「カンゾー先生」
今村期待の新作です。話は昭和20年岡山の田舎で町医者を営む赤城風雨が医者として駆け回るものです。赤城は患者を何でも肝臓病と診断するので街の人は肝臓先生と呼んでいる。赤城は妻を五年前に亡くし、一人息子は満州へ軍医として出征している。暗い時代である。赤城の元に若い女が来る。名は、ソノ子といい、貧乏な家庭を支えるため淫売をしていて、それを嫌がる近所の人が赤城のところで看護婦として世話をしてくれと頼んだので、仕方なく赤城はソノ子を引き取ることになる。ソノ子は、頭は弱いが逞しいさ強さがある。その他、赤城の周りの人々に女と酒が大好きな寺の坊主やモルヒネ中毒の外科医、赤城に昔から惚れているが赤城は構ってくれない料亭の女将など。どこか偏屈でいて人間らしい人たちがいっぱい出てくる。
赤城は良く走る。だから、三国連太郎は赤城風雨を降りた。その赤城が往診のために走るシーンに流れて来る山下洋輔の音楽が大変素晴らしい。躍動感がある。見終わった後も頭の中に残る。
この作品は、「うなぎ」とは違うテイストを持っている。というより「うなぎ」が変わっていたのだ。この作品のテイストは昔の今村作品のテイストである。登場人物のすべてが欲望を前面に押し出していて、自分に忠実な人たちなのだ。性欲だったり研究心だったりそういうのに忠実な人たちが面白くやがて悲しいのだ。「うなぎ」では欲望を押さえ込んでいる人たちが多かった。が、今村作品の面白さは人間の欲望を全面から捉えて、それをじっくり見るというところにある。
98.11.5.
「相続人」
この作品の売りはジョングレシャムが映画用に書き下ろしたオリジナルストーリである。これがメインである。しかし、私が見たいと思ったのは、やっぱりアルトマンが監督だからである。アルトマンといえば、「マッシュ」を思い出す。「マッシュ」の面白さに笑った笑った。その監督だから見るのである。
グレシャム得意の法廷物かと思ったら、実はそうではない。主人公は八年間負けなしの敏腕弁護士である。ある女性が父親から脅されているという話を聞き弁護をしたのをきっかけに大変なことに巻き込まれてしまう。といった話。アルトマンはアンチハリウッドのスタンスを捨てたかのようにハリウッドの売れっ子作家と手を組んだ。これはどういうことだろうか。グレシャムの書いたこの話に法廷はほとんど出てこないところにあると思う。法廷物といえばグレシャム。グレシャムといえば法廷物といわれる人が敢えて法廷を出さない話を書いたので、じゃあその挑戦を手伝おうとしたのがアルトマンだったのでないか。アルトマンのハリウッドの名前を借りてアンチハリウッドを組み立てたのだ。
98.11.5.
「マスクオブゾロ」
この作品はスターウォーズか黒澤作品かと見まがうばかりの作りである。どういうことかといえば、先代ゾロが二代目ゾロにゾロとしてのあらゆるテクニックや心構えを教え込むとこなんかまさしくそれなのだ。熟達した人が、未熟な若者にいろいろ教えてやり、若者が心身ともに成長していくというところが似ているのだ。それだけの話ではない。娘を敵に取られた先代ゾロと敵。敵を本当の親と思っている娘。先代ゾロと敵の対決。娘はどちらにも肩入れできない。二代目ゾロの間抜けなところなど笑える。バンデラスは愛嬌があるいい男で、先代ゾロの娘エレナ役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズが色っぽいけど品がある。とにかく楽しい映画であります。