**********************************************************************          週刊【外国小説寸評】 第13号          発行日 11月20日 毎週金曜日発行       毎週、筆者が読んだ外国小説を皆様にご紹介します。 ********************************************************************** 皆さん、こんにちは。 今週も2作品を紹介します。 【緊急の場合は(A CASE OF NEED)】 ハヤカワ文庫 著 者:マイクル・クライトン(Michael Crichton) 訳 者:清水 俊二(しみずしゅんじ) 出版社:早川書房 初 版:1993年3月31日 原作は1968年 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 中絶手術で患者を死に追いやった容疑で産科医が逮捕された。彼が違法な中絶 を手がけていたのは事実だが、この件に限っては身に覚えがないという。無実 を信じる同僚の医師ベリーはひとり真相を探り始めた。しかし、関係者は固く 口を閉ざし協力しようとしない。 いったい彼らは何を恐れているのか? 執拗な調査を続けるベリーに、やがて 黒い圧力が! アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した迫真の医学 サスペンス。 ---------------------------------------------------------------------- クライトンとしては珍しく、かなり昔の作品です。原作は1968年となっていま す。今から30年も昔です(苦笑)。クライトンはハーバード大学の医学部出身 で医学的な分野を特長とした作品もいくつか書いています。 出世作のジュラシック・パークも遺伝子操作で古代恐竜を蘇らせるというプロッ トは見方によっては医学的とも言えましょう。 本書は500ページ程度あり、普通だったら上下巻にわければいいものを、分 厚い1冊にまとめられています。 さて、作品の読みどころですが、逮捕された医師ベリーの職場の同僚、アーサー の口を借りて中絶の是非を問う個所、また、真犯人を突止めるためのベリーの 徹底した調査、そして関係者との医学的な生々しいやりとりといった個所が強 く印象に残っています。 推理小説の常として最後にはすべての謎が明らかにされますが、500ページ もの長篇小説でありながら、途中だれることなく、最後まで一気に読ませてし まうところは「さすがクライトン」と言えそうです。アメリカ探偵作家クラブ 賞を受賞したのも肯けます。 ジュラシック・パークを見て読んで「面白い」と感じた方なら、ぜひお勧めし たい作品です。クライトンの原点がここにあると思います。 ---------------------------------------------------------------------- 【アウトブレイク(OUTBREAK)】 新潮文庫 著 者:ロバート・タイン(Robert Tine) 訳 者:加藤 洋子(かとうようこ) 出版社:新潮社 初 版:平成7年4月1日 原作は1995年 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 動物検疫施設で働くジンボが倒れた。風邪に似た症状から発疹、全身出血を起 し、死亡した時には内蔵がすべて溶解していた。彼が密輸したオナガザルの受 取人、恋人、診察した医師、その女友達、二人が行った映画館の観客……。 患者は次々に拡がり、街はパニックに陥った。陸軍伝染病医学研究所のダニエ ルズ大佐は、音もなく忍び寄る致死率100%の恐怖のウィルスに、果敢に立 ち向う。 ---------------------------------------------------------------------- 映画の方をご覧になった方も多いとは思いますが、これはそれを小説化したも のです。 アウトブレイク。原題をカタカナ表記にしたままのセンスは素晴らしいです。 もしこれが、「大流行」なんてタイトルだったら興醒めですね。 一時期マスコミでも騒がれた「エボラ球菌」、これより更に強力なウィルスが 本作品では登場します。 エボラの潜伏期間は約1週間とその期間の短さは驚異的ですが、アウトブレイ クのウィルスは2〜3日と更に上をいきます。恐い恐いと言われているエイズ すら潜伏期間は数年オーダーですから、エボラやアウトブレイクのウィルスが いかに短期間かお分りだと思います。感染から発病までの期間があまりにも短 かいと、医学的な処置や対策がほとんどできません。だから患者は次々と死亡 していってしまう。結局、有効な治療が無理なので、新たな感染を防止する ため、患者を完全に隔離する程度のことしかできないことになる。 本作品はこのような短期発病型ウィルスの恐ろしさを知らしめる衝撃的な仕上 りになっています。 では、また来週、お会いしましょう。 **********************************************************************    週刊【外国小説寸評】 第13号    発行日 11月20日 毎週金曜日発行    発行責任者 塩田 和明 sioda@anet.ne.jp    企画・制作 ハロハロプロダクション 週間【外国小説寸評】ホームページ http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/3407/index.html **********************************************************************   Copyright(C) 1998 HaloHalo Productions All rights reserved. ----------------------------------------------------------------------