**********************************************************************          週刊【外国小説寸評】 第18号          発行日 12月25日 毎週金曜日発行       毎週、筆者が読んだ外国小説を皆様にご紹介します。 ********************************************************************** 皆さん、こんにちは。 今週も2作品を紹介します。 【暴虐の奔流を止めろ(FLOOD TIDE)】上下巻 新潮文庫 著 者:クライブ・カッスラー(Clive Cussler) 訳 者:中山 善之(なかやまよしゆき) 出版社:新潮社 初 版:平成10年12月1日 原作は1997年 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 湖底に沈む無数の死体−−−。静養先でおぞましい光景を目にしたピットは、 不法入国とその強制労働を指揮して莫大な利益を上げている中国人犯罪組織の 本格的調査に乗り出す。黒幕の海運王チン・シャンは米中の要人と気脈を通じ、 さらなる野望を燃やしていた。彼がルイジアナに建設する巨大な港湾施設の恐 るべき目的は何か? 壮大な構想と嵐の展開に世界が瞠目したシリーズ第14弾! ---------------------------------------------------------------------- つい最近リリースされた作品です。 ご存知ない方に説明しますと、このシリーズとはダーク・ピット・シリーズの ことで、近未来(ほとんど現代ですが)の西暦2000年を舞台に、米国立海中 海洋機関(NUMA)の特殊任務責任者であるダーク・ピットが主人公となる冒険活 劇です。現代版インディ・ジョーンズと言えばわかりやすいかも知れません。 冒険活劇の常として、悪者と戦い、最後には正義が勝つというお決りのストー リーはもちろんですが、特にダーク・ピット・シリーズのウリは、歴史的な発 見をする点にあります。シリーズ唯一の映画化作品では、あのタイタニック号 を引き揚げてしまいます(“タイタニックを引き揚げろ”)。 今回もわくわくするような歴史的な発見があるのですが、ネタばらしになるの でこれ以上は書きません。 と、これで終ってしまうとあんまりなので、作品の内容についてちょっとだけ 触れましょう。 今回、ピットの敵は、中国人海運王チン・シャンです。チン・シャンは米国へ 高い渡航費用を取って不法移民を送り込んで、莫大な利益をあげていながら、 現地で強制労働に不向きな老人や病人は処刑してしまうという極悪非道な奴で す。静養先の湖底で処刑された人々の死体を発見したピットは、チン・シャン の犯罪組織の本格的な調査を始めます。 この展開だと、米国(白人)=善、中国(中国人)=悪でストーリーが進められる のではと考えがちですが、そんな人種差別的な内容では、ベストセラーになる わけがないわけで(笑)、今回、ピットのパートナーとなる女性は中国系米国人 、そして、チン・シャンに買収されている憎たらしい米国政治家も出てきたり します。 まぁ、とにかく米国的な楽しい冒険活劇ですので、ハッピーエンドですし、後 味の悪いことはありません。ベストセラーになるのも理解できます。 年末年始のお休みに、ぜひ、お勧めの作品です。 ---------------------------------------------------------------------- 【死者のギャンブル 新・刑事コロンボ(A BIRD IN THE HAND)】二見文庫 著 者:W・リンク/R・レビンソン(Richard Levinson & William Link) 訳 者:谷崎 晃一(やざきこういち) 出版社:二見書房 初 版:1996年3月25日 原作は1996年 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 フットボールのオーナーが早朝のジョギング中、トラックにひき逃げされた。 捜査に立ち会ったコロンボだが、その目の前で第二の殺人が発生する。爆弾が 仕掛けられたロールスロイスを調べるうち、現場に残された奇妙な「跡」にコ ロンボは気づく。呪われたマッケイン家の謎を解く鍵は、一人のギャンブラー が握っていたのだが……。 ---------------------------------------------------------------------- 多額の借金に苦しむハロルドは、金貸しのハッカーから、フットボールチーム のオーナーである叔父のビッグ・フレッドを殺して、相続する遺産で借金を返 済するよう脅される。ハロルドは仕方なく、叔父のロールスロイスに爆弾を仕 掛けるが、自分の仕掛けた罠にかかる前に叔父はジョギング中、トラックにひ き逃げされてしまった。誰だが知らないがラッキー...。だけど、今度は自分が 仕掛けた爆弾を早く処分しないと、自分が疑われる。 ところが、庭師がロールスロイスを移動させようとして、爆弾が爆発。庭師は 死んでしまった。仕方ない。こうなれば、叔父を殺した犯人が、ロールスにも 爆弾を仕掛けておいたことにして、自分はシラを切ろう。 でも、コロンボは現場に残された奇妙な跡に気づいてしまう。 いよいよ、コロンボとハロルドの対決が始まる。 と思いきや、なんとハロルドは殺されてしまう。おいおい主人公が死んでしまっ てどうするんだ? でも、忘れちゃいませんか、ブッグ・フレッドを殺した犯 人を。 というわけで、今回のコロンボはいつものパターンとは違い、最初に犯人を読 者に知らせつつも、実は最後に真犯人を明らかにする、という変ったスタイル になっています。 さすがにコロンボの犯人を追いつめていくやり方もある程度分ってきてしまう と、マンネリズムから飽きてきてしまいます。そんな中、こういうスタイルを たまに出されると面白いです。倒叙小説と見せかけて、実は推理小説だったと いうわけです。 ただ、真犯人が最後になって出てきて、コロンボに問詰められて犯行を認めて しまうくだりは、性急すぎてちょっと興ざめです。もう少しじっくりと真犯人 が解き明かされていくと面白かっただろうと思います。 さて、来週の金曜日31日はまぐまぐが年末年始の休暇モードに入ってしまう ため、メールマガジンの配送ができません。そのため、一日早く配送する予定 でいます。しかし、配送が間に合わない場合も考えられます。そのときは、年 明け4日以降に2号同時に届くことがあるかも知れません。あらかじめご了承 ください。 では、また来週、お会いしましょう。 **********************************************************************    週刊【外国小説寸評】 第18号    発行日 12月25日 毎週金曜日発行    発行責任者 塩田 和明 sioda@anet.ne.jp    企画・制作 ハロハロプロダクション 週間【外国小説寸評】ホームページ http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/3407/index.html **********************************************************************   Copyright(C) 1998 HaloHalo Productions All rights reserved. ----------------------------------------------------------------------