**********************************************************************          週刊【外国小説寸評】 第4号          発行日 9月18日 毎週金曜日発行       毎週、筆者が読んだ外国小説を皆様にご紹介します。 ********************************************************************** 皆さん、こんにちは。 今週も2作品ご紹介します。 【レッド・カメレオン(RED CHAMELEON)】 二見文庫 著 者:チャールズ・ロバートソン(Charles Robertson) 訳 者:青木 榮一(あおきえいいち) 出版社:二見書房 初 版:昭和62年3月1日 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 米国は、暗号名“プロメセウスII”と呼ばれる防衛システムを完成させよう としていた。それは、すべての核ミサイル攻撃を無効にする最終兵器だった。 一方ソ連は、この防衛システムを阻止するために、暗号名“レッド・カメレオ ン”と呼ばれる超大物スパイを、米国シリコンバレーの奥深くに潜入させた。 冷酷非情なレッド・カメレオンとは何者なのか? いまや米ソ両超大国の緊張 は極限に達し、第三次世界大戦への秒読みは開始された。 ---------------------------------------------------------------------- 文庫本で580ページの長編です。上下巻に分ければ、もっと売り上げを伸ば せたのでは?というのは下衆な意見でしょうか(笑)。 いわゆるスパイものなんですが、シリコンバレーという舞台設定から、ハイテ ク情報をスパイからどうやって守るか、いわゆるセキュリティの技術の説明の くだりが楽しめました。あと、スターウォーズ計画の要であるビーム兵器が登 場してくるくだりでは、ビームをいかにICBMの弾頭に命中させるための管制シ ステムの演算処理能力の限界が問題視されている点が、なかなか説得力があっ て良かったです。多少ネタを明かせば、この管制システムこそが「プロメセウ スII」なわけで、いわゆる並列処理により、高速な演算処理能力を持つコン ピュータです。このシステムを開発する地がシリコンバレーであり、ソ連の工 作員(スパイ)が、目的の企業から情報を入手する手口は楽しめました。 作品の最初の方で、レッド・カメレオンの生い立ちが詳しく説明されているこ とから、レッド・カメレオンが、いかに大物のスパイであるかを読者に認識さ せてくれます。とある不幸な事件があってからは物語は推理小説的な展開を見 せてきます。途中、ラブロマンスもあり映画化を意識した作品に仕上がってい ます。 長編ですが、飽きもなく、一気に読ませる内容ですので、スパイものに興味の ある方にはお勧めの一冊です。 ---------------------------------------------------------------------- 【重要証人(PRIME WITNESS)】上下巻 集英社文庫 著 者:スティーヴ・マルティニ(Steve Martini) 訳 者:白石 朗(しらいしろう) 出版社:集英社 第2刷:1994年7月15日 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 地面に縛りつけられ無残に殺された犠牲者たち−−カップルばかりを狙った 三件の連続殺人の容疑者が逮捕された。幼なじみの頼みで臨時に地区検事を引 き受けた刑事弁護士のポールは、世間が注目するこの事件の訴訟指揮を執らな くてはならなくなる。だが、捜査が進むにつれ、複雑な真相が明らかになって きた。犯人はほかにもいるかもしれない...。J・グリシャム絶賛の傑作法 廷サスペンス。 ---------------------------------------------------------------------- 著者は元弁護士で、出版社や著作権エージェントへ原稿をせっせと送って、メ ジャーデビューを狙っていた作家のタマゴの一人だったそうです。J・グリ シャムはどこで関わってくるかというと、弁護士が裁判小説(リーガル・サス ペンス)を執筆するブームについて、グリシャムはニューヨーク・タイムズ・ ブックレビューにエッセイを発表しており、その中でスティーブ・マルティニ を絶賛していたとのこと。 法廷もの、しかも、あのグリシャムが絶賛、とくれば読まないわけにはまいり ません(笑)。 著者は、さすがに元弁護士だけあって、証拠を固めて、立件に持ち込むくだり や、判事との駆け引き等、極めて説得力があります。 主人公のポールは嫌な判事からプレッシャーをかけられ、奥さんから愛想をつ かされ、厳しい裁判に臨むという、これでもか!といういうぐらい辛い目に会 うのですが、これが、読み手の側の私からすれば「ガンバレ!」と応援したく なるわけで、書き方が「うまいなぁ」と感心させられます。 最後は、なかなかスゴイどんでん返しで、驚かされました。 どんでん返し以外、ストーリーは予測のつく単純なものなのですが、弁護士な らではのディテールの演出が良い効果を出してます。 非常に面白かったです。この著者の他の作品も読みたくなりました。 では、また来週、お会いしましょう。 **********************************************************************    週刊【外国小説寸評】 第4号    発行日 9月18日 毎週金曜日発行    発行責任者 塩田 和明 sioda@anet.ne.jp    企画・制作 ハロハロプロダクション *** HP制作中です。 *** **********************************************************************   Copyright(C) 1998 HaloHalo Productions All rights reserved. ----------------------------------------------------------------------