**********************************************************************          週刊【外国小説寸評】 第7号          発行日 10月9日 毎週金曜日発行       毎週、筆者が読んだ外国小説を皆様にご紹介します。 ********************************************************************** 皆さん、こんにちは。 今週は法廷モノと軍事モノを紹介します。 【合理的な疑い(REASONABLE DOUBT)上下巻】 ハヤカワ文庫 著 者:フィリップ・フリードマン(Philip Friedman) 訳 者:延原 泰子(のぶはらやすこ) 出版社:早川書房 初 版:1994年4月30日 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 不仲だった息子を殺され、父親として何もしてやれなかったことを悔む弁護 士ライアンに意外な依頼が舞い込んだ。殺人容疑者である息子の妻ジェニファ から弁護してくれと頼まれたのだ。彼女は無実を主張していたが、事件の直前 に息子と口論しており、有罪であることはまず間違いない。だが、ジェニファ が息子の赤ん坊を宿していることを知ったライアンは、わが子を殺したかもし れない女の弁護を引き受けることを決意する! ---------------------------------------------------------------------- 訴訟が日常茶飯事な米国では、良い悪いは別として、法廷は一種のショーと 化しているとも言われています。 ショーとして面白い理由は原告と被告が知力の限りを尽くして争い、そして陪 審という一般市民12人が評決を下すという点にあると思います。 著者のフリードマンはニューヨークの法律大学で学んだ弁護士開業資格を持つ 人物で、大学時代に映画製作に参加していたことから、卒業後は映画界に進み 脚本家となったという変わった方です。 さて、物語の内容です。弁護士ライアンはその昔、検事として名を馳せた人物 です。仕事に追われ、家庭を顧みない生活。妻との不仲。飲酒を繰り返す妻。 彼の下を去る妻。妻の交通事故死。父が母を殺したと責める息子。自らはある 訴訟でヘマをやり検事を辞めることになった。ライアンはそんな暗い過去を持っ ています。そんな人生の抜け殻的な日々を送っていたライアンへ不仲だった息 子が殺されたと連絡が入る。犯人として息子の妻ジェニファが逮捕される。昔 の検事仲間に聞くところではジェニファが犯人とされる有力な証拠があるとの こと。死んだ息子の遺言状で皮肉にも遺言執行者として指名され、打ちひしが れた気持ちにいるところへ、ジェニファが自分は無実だと弁護を依頼してくる。 はじめは取り合わなかったライアンだが、ジェニファが妊娠していることを知 り、自分の孫のために我が子を殺したかも知れない女の弁護を引き受けること を決意します。 この物語では、弁護士が依頼人から弁護に必要なプライベートな情報を聞き出 す過程、判事の選び方、陪審員の選び方、裁判の日程の決め方、法廷で実際に 争う前にすべての証拠を相手に提出しなければならないこと等、実際の裁判の 進め方がよく描写されています。 本カバーにある<著者紹介>で「ベストセラー作家」とあるのは嘘偽りないと 納得させるだけの作品の仕上がりです。劇的なラストシーンは映画脚本家なら ではの素晴らしい演出です。これはおススメです。 ---------------------------------------------------------------------- 【北朝鮮の決断(RAID ON TRUMAN)】二見文庫 著 者:ジョン・T・キャンベル(John T. Campbell) 訳 者:小関 哲哉(おぜきてつや) 出版社:二見書房 初 版:1994年1月25日 ---------------------------------------------------------------------- <あらすじ>文庫カバーより引用 朝鮮戦争で米軍に一家を全滅させられたカン・チュンクウォンは、現在は北朝 鮮の国家スパイ期間“連絡庁”のトップの座に昇りつめていた。そして、長年 秘かに抱いていた米国への報復劇のシナリオを実行に移す。まず、北朝鮮国家 主席を暗殺して軍部を乗っ取る。さらに黄海に緊急配備された米空母<トルー マン>を毒ガス攻撃して搭載の核爆弾を奪取し、米国に威しをかける。カンの 恐るべきもくろみは次々に達成されるかに見えた…迫真のテクノ・スリラー! ---------------------------------------------------------------------- 典型的な冴えない邦題の例です。 原題を直訳すれば「空母トルーマンを奇襲せよ!」となるわけで、終始舞台と なる空母トルーマンを邦題名に持ってこないのは解せません。 著者のジョン・T・キャンベルは元米海軍の機関科将校で、自らの経験から空 母トルーマンで機関科将校ポール・シモンズが活躍する今回の作品を書き上げ たと思われます。 さて、肝心の作品の内容です。 プロットがなかなかよく出来ていると思います。空母トルーマンを制圧するの に毒ガスを用いるというのはなかなか説得力がありました。 主人公ポール・シモンズは部下を死なせてしまったという辛い過去を背負って おり、それがトラウマになっており、自虐的な性格です。 そのような時、空母トルーマンへ配属され、北朝鮮からの攻撃を受け、物語は 進行していきます。 この作品の場合、著者が元海軍将校ということもあり、戦闘シーンは説得力が あり、なかなか読み応えがあります。でも、ストーリーのテンポがよいので、 一気に読み進めることができます。 戦闘モノが好きな方には気軽にお勧めできる一冊です。 では、また来週、お会いしましょう。 **********************************************************************    週刊【外国小説寸評】 第7号    発行日 10月9日 毎週金曜日発行    発行責任者 塩田 和明 sioda@anet.ne.jp    企画・制作 ハロハロプロダクション *** HP制作中です。 *** **********************************************************************   Copyright(C) 1998 HaloHalo Productions All rights reserved. ----------------------------------------------------------------------