「リトル・ヴォイス」
  LITTLE VOICE(’98年・英)

監督:マーク・ハーマン  
製作:エリザベス・カールセン
脚本:マーク・ハーマン ジム・カートライト
撮影:アンディ・コリンズ
音楽:ジョン・アルトマン
出演:ジェーン・ホロックス ユアン・マグレガー ブレンダ・ブレッシン マイケル・ケイン ジム・ブロードベント アネット・バッドランド フィリップ・ジャクソン


1月23日@蠍座
 父親の遺産であるレコード聴いて育ったリトル・ヴォイス(ホロックス)。彼女に目を付けた怪しげなマネージャー(ケイン)は一回きりという条件付きで彼女をステージに立たせるが・・・。ほのかな思いを寄せる鳩好き青年にユアン・マクレガー、身勝手な母親にブレンダ・ブレッシンを配した
「ブラス!」のマーク・ハーマン監督が描く感動作。

 感動作とは書いたものの、「ブラス!」ほど面白い作品では無かった。描かれているのは両作品ともにあまり裕福ではない労働者階級の人々。炭坑夫という特殊な職業を描いた前作に比べれば今回は下町の女の子が得意の歌でスターに・・・という図式は非常に共感できるテーマになるはずだった。しかし、この「リトル・ヴォイス」ではストーリーを盛り上げるために登場人物の性格形成を凝りすぎたせいか、変に観客の感情移入を妨げるというジレンマに陥ってしまったようだ。マイケル・ケインの怪しいマネージャーは楽しかったがユアン・マクレガーの普通のアンチャン振りが最も印象に残ってしまっているのだからこれは失敗と言わざるを得ない。

 一番の失敗は主人公の性格にある。ある程度は必要だったに違いないが、主人公リトル・ヴォイスの人を遠ざける様子は単に引っ込み思案というだけでなくちょっと病的に見せてしまう前半部のやり方は効果的だったとは思えない。全く外に出ないで毎日家にあるレコードを聴いているなんてちょっと想像できないし現実味がない。対照的に躁病かと思えるくらい激しい気性の母親との確執は後半のクライマックスで一気に爆発するがそれまでの主人公の性格から一変してしまう様に突き放された気分になってしまう。もう少し彼女の内面の変化を細かく見せるか、初めからある程度は自己主張のあるところを見せて貰わないと突然の変身についていけないではないか。そこから終盤に至るまでのストーリーはまるで取って付けたような印象でラストも尻切れトンボ。またしても突き放された感じだ。

 今思えばこの映画はリトル・ヴォイスが舞台で歌うシーン以外はこれと言って見るべきものがない。ジェイン・ホロックスの素晴らしすぎる歌声と活き活きとしたステージに肝心なストーリーが霞んでしまったのだろうか。 

感動    
前作に比べて      

総合:64

つ て な に ぬ ね の