監督:トム・ティクヴァ 2000年3月19日蠍座 実にゲーム的な映画。音楽はアクションゲームに欠かせないテクノだし大金を制限時間内で集めるという無理難題はまるでプレイヤーの挑戦者意識を主人公ローラを通じてかき立てさせるようだ。また、リセット可能な人生というより選択肢を変えていった末に辿り着くマルチ・エンディングを観て私は「スライディング・ドア」というよりあの画期的な名作(珍品?)ゲーム「弟切草」と「かまいたちの夜」を思い出し、ローラの金切り声では「ブリキの太鼓」を思い出した。 そして去年この映画が公開されてからは未見だったにも関わらず、私は街中で赤い髪の女を見つける度に、例えそれがどんなオバハンであったとしても、反射的に「あっ、ローラだ」と心の中で呟いていたのである。この映画のビジュアルはヘアー一つ取っても素晴らしいということだ。赤い髪が疾走する姿は爽快感に溢れている。素晴らしい走りッぷりだ。手の振り、腿の上がり方、目線といい申し分ない。いわゆる運動会等で目撃される女走りが大嫌いな私はこのランニング・フォームだけで高得点を付けてしまいそうになる。さらにローラの走る目的が「愛のため」というのが純粋過ぎてカッコ悪いを通り越し、一周戻ってきて格好良い。恋人が無くした金がクスリで儲けたもので、万事うまくいっても結局その彼氏はギャングになるんだよな、とちょっと冷めた目で見ても必死に走るローラ姫を応援せざるをえないのである。 どれもが伏線になる人、車、建造物などを記号として地図に配置し、それらを動かすことで反応を見てみようというシミュレーション的な楽しみが味わえる一風変わった映画が「ラン・ローラ・ラン」なのである。ところでローラの行動を見ているとどうしても過去の反省を活かして次は失敗しないようにしようとしている気がしてならないのだが、その辺もやっぱり非現実的なゲームの世界を表現したかったのだろうか(声でガラスが割れるのもそのせい?)。観る側としてはどういうスタンスで観て良いのか迷うところでもあり、初めは夢中になって楽しんでいたのが正直に言って途中から飽きてしまったことは否めないのであった。
総合:79点 |