「次に私が殺される」
TESIS(’96年・スペイン)

監督:アレハンドロ・アメナバール
製作:ホセ・ルイス・クエルダ
脚本:アレハンドロ・アメナバール
撮影:ハンス・バーマン
音楽:アレハンドロ・アメナバール
出演:アナ・トレント フェレ・マルティネス エドゥアルド・ノリエガ

ビデオ=「殺人論文/次に私が殺される」
DVD=「テシス

2000年5月21日@蠍座
 「映像と暴力」について論文を書こうとしている女子大生アンヘラは担当教授が一人で講義室で死んでいるのを発見する。教授が見たと思われるビデオを持ち出したアンヘラはホラーマニアのチェマとそれを見て驚愕する。そこには本物の「殺人」が映されていたのだ。

 「ミツバチのささやき」のアナ・トレントが29才になって帰ってきた(といっても私にとっては前作を見てから一年しか経っていない)。大きな目は面影ありますね。彼女、映画の中で何度も「美人」と形容されてますがちょっとビミョーなところか・・・。何とか女子大生に見えるところは凄いけど。さて、この映画ですがとっても恐いです。脚本もよく練られていてアメナバール監督の2作目「オープン・ユア・アイズ」のような二転三転するストーリーがドキドキもの。全員が疑わしく、主人公まで疑ってしまった。一級のサスペンスと言えるだろう。それに加えてハリウッドに反抗せよと講義する教授がいたり、映画の中の暴力に待ったをかけようとしたりとこの若い監督の主義主張がチラッと見えて嬉しくなる。

 犯人は何度も言う「ニーズがあるからスナッフ(殺人ビデオ)を撮るのだ」と。死や暴力に関する興味は誰にでもあるのだろうか。必死にそれを否定しようとするマヌエラでさえ冒頭の列車事故で吸い込まれるように死体を見に行くがそれですぐに人には誰にだって深層心理で死や暴力に興味を持っているのだということにはならないだろう。ただ、そういう人がいるということは理解できる。そして暴力や死は今や自宅にいるだけで簡単に手に入るようになっている。デジタルビデオカメラ、インターネット、デジタルカメラ・・・テクノロジーを利用するのではなくテクノロジーの使い道を無理にでも捻りだそうとして行き着いた先はスナッフフィルム。ニーズに応えたのではなくニーズを作り出したように見えるのはまるでニワトリが先か、卵が先かの堂々巡りのようだ。

 初期の作品だけあって少々テンポが悪いなぁというシーンもあるが、気になるほどではない。大学構内での追いかけっこはスピード感に溢れていた。それとアンヘラとチェマがイヤホンを付けたまま食堂で接近するシーンはあまりに作風にそぐわないので笑った。「オープン・ユア・アイズ」で主人公を演じたエドゥアルド・ノリエガが同じような美男子の役で出演しているがホラーオタクのチェマも実は意外にいい男だったりする。これが23才の監督が撮った映画だとはとても信じられない完成度の高さだ。

   

感動  
音楽  
視覚的残虐度    
推理サスペンス

総合:87

つ て な に ぬ ね の