監督:デイビッド・O・ラッセル 2000年3月22日試写@STVホール 批評家の絶賛を受けたこの映画が一般の観客からはそっぽを向かれた理由が何となく分かった。正義の味方として華々しく登場し、圧勝、戦勝パレード、めでたしめでたしのはずだった湾岸戦争。しかし、この映画はアメリカを糾弾する。イラク人の口を借りて。この言い分が的を得ているだけに痛いのだろう。宝探し映画だと思って見に行くと痛い目に遭う。わざと古いフィルムを使ったという映像はリアルであり、戦争の現実を残酷に見せつける。そこには「まるでゲームのようだ」と茶の間で呑気に見物していた湾岸戦争の姿はない。弾丸を浴びた臓物は悲鳴を上げる。血が苦手なら観ない方が無難だろう。 しかし、この映画の主人公達はやっぱりアメリカ映画の主人公だ。成り行きとはいえイラク軍に弾圧されるイラク人を助けるのである。何というヒューマニズム。何という嘘臭さ。戦争の矛盾を見せつけておいて最後はやっぱりそう来るか。主人公の兵士が人間くさいのが救いである。彼らの目的はあくまでも「金」。金:他人の命=7:3くらいの割合であろう。時に打ちひしがれた表情を見せても結局はお金のためにはエンヤコラ。相手がイラク人であろうと臨機応変に商談を成立させていく逞しさは実にアメリカ的である。「新感覚アクション・アドベンチャー」と銘打っているが実際はそんな軽い映画ではなく、湾岸戦争の滑稽さを小洒落たブラック・ジョークとどん底の残酷物語で描いた二重人格映画である。良くできているのは認めるが心を揺さぶるほどのインパクトは残念ながら無かった。 マーク・ウォールバーグが見事な演技を見せる。呼吸困難に陥る演技は観ているこちらまで息苦しくなり拳を握りしめてしまう。実際に何度も気絶してしまったらしい。見上げた役者根性である。他にも「ビーング・ジョン・マルコビッチ」で新人ながらアカデミー監督賞にノミネートされているスパイク・ジョーンズが少々頭の弱いコンラッド役で出演しているのも見逃せないところだ。ラップファンはアイス・キューブに注目。どうもオーラが消えているような気がするのは気のせい?
総合:72点 |