「ワールド・イズ・ノット・イナフ」
The World Is Not Enough 007(’99年・イギリス)

監督:マイケル・アプテッド
製作:マイケル・G・ウィルソン バーバラ・ブロッコリ
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド ブルース・フィアステイン
原案:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
プロダクション・デザイナー:ピーター・ラモント
ライン・プロデューサー:アンソニー・ウェイ
撮影:エイドリアン・ビドル、B.S.C.
タイトル・デザイン:ダニエル・クライマン
特殊効果スーパーバイザー:クリス・コーボールド
ミニチュア・イフェクト・スーパーバイザー:ジョン・リチャードソン
音楽:デヴィッド・アーノルド
主題歌:ガービッジ
出演:ピアース・ブロスナン ソフィー・マルソー ロバート・カーライル デニス・リチャーズ ジュディ・デンチ ロビー・コルトレーン ゴールディー ジョン・クリース デズモンド・リューウェリン サマンサ・ボンド マイケル・キッチン デヴィッド・カルダー マリア=グラツィア・クッチノッタ

2000年3月26日@帝国座会館
 英国の石油王ロバート・キング卿がジェームズ・ボンドが持ち帰った札束により暗殺された。かつて卿の娘であるエレクトラを誘拐したテロリスト・レナードが再び彼女を狙っていると知ったMはボンドに彼女の警護を命じる。

 アクションてんこ盛りで満腹の2時間8分だった。スペイン銀行、MI-6内部、さらに美貌の暗殺者とのボートレースと続くオープニングは早くも火薬を大量に使い、手に汗握るテンポの良さ。命懸けのはずのボンドが水中でネクタイを締め直すなど相変わらずの美学も見せる。石油をモチーフにしたタイトル・デザインとガービッジによる主題歌は色気を感じさせる秀逸なこらボレーションであった。ちなみにLUNA SEAのエンディング・テーマは彼らが好きでも嫌いでもないが明らかにミスマッチで失敗している。次回作は少なくとも英語の曲にして欲しい。

 ジェームズ・ボンドはやはりスーパーマンで人間離れしすぎているため憧れの対象にはなっても共感を呼ぶようなキャラクターになるのは難しいようだ。エレクトラとのエピソードは一般人との距離をまたしても広げてしまうことになったが、このキャラクターが深みを帯びてくるのは次回作からになるのかも知れない。ピアース・ブロスナンがまた出演してくれるならという前提付きだが。そのスーパーマンと対決するレナードを演じるロバート・カーライルがイマイチだったのが残念だ。痛みを感じない切れたテロリストというより手負いの子犬といった趣で迫力不足。哀愁のこもった瞳が裏目に出てしまったようだ。前半は悪に徹し、後半は悲哀を感じさせるというメリハリのある描き方をすればもっと盛り上がっただろう。

 それに引き替えエレクトラ役のソフィー・マルソーが良かった。敵か味方か分からない謎めいた女性だが、潤んだ瞳で「私は潔白よ」なんて言われたら有無を言わずに信じちゃうよなぁ。工事現場での衣装はヒラヒラしすぎていてちょっと笑ってしまうけど。もう一人のボンドガールであるデニース・リチャーズは英語が分からなくても棒読みと分かってしまうラズベリー賞受賞の大根ぶりを発揮。特にクライマックスでの緊張感の無さと目が泳いでいる感じは「オースティン・パワーズ:デラックス」のエリザベス・ハーレーのようなオチが待っているのではと変にドキドキしてしまったが結局何事もなく、この謎も次回に持ち越しである(嘘)。

 スパイ道具も楽しい。透視メガネが科学的に一番実現不可能に思えるのはご愛敬。チェーンソー付きのヘリコプターは実際に枝切りようとして使われているのをテレビで見たことがあったがまさか007で再会するとは思わなかった。観た後に何も残らない映画だが、ハラハラドキドキの娯楽作品としては最高級のクオリティーだと言える。楽しかった。 

 

感動    
小道具
Mことジュディ・デンチの出演時間

総合:87

な に ぬ
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