四万十川で”ダム論争”(1999/2/2 朝日新聞より)

 「ダムのない最後の清流」といわれる高知県の四万十川。だが,実際には本流の中流域に,地元の人たちが「家地川ダム」と呼ぶ「佐賀堰堤」がある。同堰堤は水をせき止めるコンクリート壁が高さ約8mで,河川法でいうダムではない。しかし,この堰堤で年間平均30%の水が別水系の川に分水され,発電や農業,飲料水となる。堰堤を管理する四国電力や分水の恩恵を受ける地域の住民等は「存続」を強く求めているが,本流の下流域の漁師等は「清流を保ち鮎の漁獲を確保できる」よう「撤去」を主張している。


 佐賀堰堤は1937年,河口から約120km上流の窪川町内に造られた。四万十川をせき止め,四国電力佐賀発電所に導水して発電し,別の水系の伊与木川に放流する。発電量を維持するため水量の少ない冬季を中心に年間約90日間,ダムの下流には水が流れない。
 せき止めた水の水利権を取り決めた協定の更新時期が2001年4月に迫っている。

下流「撤去せよ」

 堰堤下流の大正町民等は言う。
 「見て下さい。これが観光客の知らない四万十川の現実の姿なんですよ」堰堤の直下の四万十川には,水がほとんどなく,河床の岩がむき出しになっている。「四万十川に水を返してほしいだけだ」


分水系住民「必要」

 堰堤からの分水を受ける佐賀町側は,
「私たちは四万十川から伊与木川に流れる水で生活している。農業用水や飲料水を奪われたら暮らしていけない」と訴える。「ダムは60年前からあり,撤去するのはむしろ不自然だ」