2000-NOVELS
FEBRUARY

[ INDEX ]

1.黄泉津比良坂、暗夜行路…藤木稟
2.ペルシャ猫の謎…有栖川有栖
3.贋作師…篠田節子
4.マリカの永い夜/バリ夢日記…吉本ばなな
5.木曜組曲…恩田陸
6.八月のマルクス…新野剛志
7.Miss You…柴田よしき
8.グイン・サーガ70 豹頭王の誕生…栗本薫

 
1.黄泉津比良坂、暗夜行路 藤木稟
徳間ノベルズ1999.3発行1000円ISBN4-19-850449-0
一体何者だったんだ?度 ???
「血祭り」よりは度 ★(^^;)★
数秘術って面白いかも度 ☆☆☆☆
 この前作とも言える「黄泉津比良坂、血祭りの館」が、さっぱりわけわからんかったので、この本を手に取ることはなかろうと思っていた。だが、このとき図書館で長編が読みたくてたまらない時期だったのに全然長編がなくて、どうしようどうしようと思っていたら、長そうなこの本を発見してしまった。で、手に取ってしまった。本を読むのって、本当にタイミングだわ。
 でも、前作に較べて面白かったかな。まあ、事件が前作をひきずっているのでその辺でちょっと苦手な部分はあったし、相変わらずのオカルトなところとかやっぱり素直に好きとは言えない話なんだけど、こういうミステリもたまにはいい。基本的に大時代的な舞台設定は好きだしね。
 まあ、血みどろで、悪魔とか魔術とかそんな系統が好きな人にはオススメですが、ミステリ素人さんはやめといた方がいいです(^^;。
 で、最後まで読んで、疑問。邸に住むある女性、この人、朱雀とこれからなにか関わってくるんだろうか。最後の方の朱雀のモノローグがちょっと気になったんだけどね?        [ 先頭へ ]

2.ペルシャ猫の謎 有栖川有栖
講談社ノベルズ1999.5発行780円ISBN4-06-182071-0
猫派か犬派か度 ☆★犬★☆
アリスと言えば猫だなあ度 ※※猫※※
安心して読める度 ★★★☆▲
 私は最近通りすがりのお散歩犬に自分から懐いて行ってしまう程の犬好き。でも有栖川さんは間違いなく猫派なんだろうなあ〜、という感じで、しかも火村センセも猫好きであった…の今回。
 作家有栖川有栖と助教授火村の国名シリーズ第…何弾? ともかく短編集なので、どこから読んでもそんなに困ることはないと思うけど、やっぱり安心して読めるなあという感じ。シリーズという安心感のせいだけじゃなく、ある程度の線は物語としてクリアしてくれるんだよね。
 でもまあ、有栖川さんにはやはり少しでも本格テイストが欲しいなあと望んでしまう私、今回の短編集で一番好きなのは、道具だてやシチュエイションが好みだった「切り裂きジャックを待ちながら」。        [ 先頭へ ]

3.贋作師 篠田節子
講談社ノベルズ1991.3発行699円ISBN4-06-181532-6
芸術って!度 ★★★★★
情念って!度 ★★★★★
面白かった度 ★★★★★
 絵画、贋作、修復。その辺をうまく使いながら、篠田さんが書かれたのは「絵を描くということ」。芸術の持つ高尚さ・低俗さ、そして情念が濃く渦巻く世界、気が狂うほどの真実の中で「彼」はなにを描いたのか。
 いやもう、ストレートなミステリ。謎解きのミステリとはこうあるべきといった見本のようで、実は私が一番好きなタイプのミステリって、こういう話なんだよね。一見事実かと思うような話がどんどん覆され、どんどん新しい事実が現われてくる展開が、もう面白くてたまらない。
 もちろんストーリイだけではなく、登場人物の位置づけもすごくてね。篠田節子って、芸術に対する情念を書かせたらピカイチだと思っていたけど、この話(すごく昔の作品なのに!)でさらにそう確信した。面白かった!        [ 先頭へ ]

4.マリカの永い夜/バリ夢日記 吉本ばなな
幻冬舎1994.3発行1300円ISBN4-87728-006-5
ナニゲに好きかも度 ☆△◇▽☆
バリって原色度 ★▲◆▼★
で、後半は…(^^;度 ((((;^^)
 この本が発売された当時、私は結構な吉本ばななファンだったが、基本的に長編好きなので、結局この本は買わずに終わった。で、今頃になって読んだわけだが…。
「マリカ」の方は、マリカ・オレンジ、そしてバリ島の雰囲気がすごく素敵で、物語もめちゃめちゃ綺麗で、ひたすら好みだった。最近の吉本作品とはなんかフィーリングが合わないかなあと思っている私だけど、この当時の作品はやっぱりかなり好き。
 で、もう一作「バリ」もどんな話だろうわくわくと思いつつ読んだら…エッセイだった…詐欺だ(笑)。        [ 先頭へ ]

5.木曜組曲 恩田陸
徳間書店1999.11発行1600円ISBN4-19-861093-2
恩田陸〜〜〜っっっ度 !\(⌒o⌒)/!
誰が彼女を殺したか度 ♪☆♪☆♪
綺麗な話だなあ〜度 (*^^*)(*^^*)
 さて、私の中で、恩田陸はこの作品でかなり化けました。もともと好きな作家ではあったけど、突出しているかというとそんなことはなかったからね。全然知らない人に薦めるのは気がひけたし。でもこの小説はオススメ度高し!
 数年前に自殺した女流作家。彼女に影響され物書きをしている4人と編集者、すべてが女性。作家は本当に自殺だったのか、それとも誰かが彼女に毒を盛ったのか。話の二転三転具合、確執の数々、そしてラストまでひっぱられる物語…おもしろーーい。
 最初は、登場人物が女性ばかりで、誰が誰だかわからない感じもあったんだけど、そのうちもう目が離せない展開になってしまった。なによりも、すでに死んでしまった人物を描きだすというのは、こういうことなんだなあと感心した。
 SF的要素もファンタジー的要素もまったくない、ミステリ。でも「ミステリ」と括ってしまうには勿体ないくらいの話だった。        [ 先頭へ ]

6.八月のマルクス 新野剛志
講談社1999.9発行1600円ISBN4-06-209857-1
新人にしてはうますぎ度 ★★!!★
ハードボイルド!度 (゚o゚)(゚o゚)(゚o゚)
表現うまい度 ★!!★★
 引退したお笑い芸人を主人公に、もと相方の失踪、ライターの死、そして過去の若手芸人の事故と事件が広がっていく話。
 さて、99年の江戸川乱歩賞受賞作。作者の特異な経歴と「おもしろかった」という感想がごっちゃに伝わってきたので、本当に面白いのかなあと思いつつ読んだら…面白かった。いやあ、今月の感想、こればっかりだけど本当に面白い本ばかり読んでます〜。
 なんといっても、ばりばりのハードボイルドの雰囲気をよく掴んでいる。上の「木曜組曲」にハードボイルド小説の定義みたいなものにちょっと触れたところがあって、すごくだぶってしまったんだけど、そういうお約束をきちんと踏まえた「うまい」ハードボイルド。最近の乱歩賞ってハードボイルドが多いけど、これだけうまい新人てあんまり見ないなあ。
 主人公のキャラクターについては典型すぎるところもあるんだけど、他の部分のうまさでカバー。
 一番うまいと思ったのが、実は文章。直接表現ではなくて、比喩で、きちんと「それはこういう意味だ、今はこういう心情だ」ってわからせる部分がいくつもあって、スゲエと思ったぞ。
 作者の作家になりたいって覚悟が、見事に結果として出た作品。次作にも大期待。        [ 先頭へ ]

7.Miss You 柴田よしき
文藝春秋1999.6発行1905円ISBN4-16-318520-8
緑子シリーズを彷彿とさせる度 ★★★
まあちょっとイタイ度 ★★(^^;
本筋の使い方って難しい度 ☆※!?☆
 編集者を主人公に、出版界の話を書いたハードボイルド(だろうなあ)だけど、なんか内容も表現も、デビュー作の緑子シリーズを思いださせる感じがした。
 上の上「木曜組曲」とはまた全然違う、すごくナマくさいこちらの話は、柴田さんが作家という事実を考えると少々内輪話って気がしないでもない。面白いことは面白いんだけどね。
 話の持って行き方、特に主人公の「誰かに狙われている」感じはやっぱりうまい。新人作家の性癖とか、個人的に?なネタもあるけど、話の作りはいいと思う。
 ただ、この本を読んで思ったこと。本筋が一本あって、どこから犯人を持ってくるか(本筋メインの登場人物から持ってくるか、それ以外の部分から持ってくるか)ってのは結構大事な考えどころだなあということ。
 とまあ、いくつか気になる部分もあったにしろ、でも面白かったことには変わりない。今月はヒット作、本当に多かった。        [ 先頭へ ]

8.グイン・サーガ70 豹頭王の誕生 栗本薫
ハヤカワ文庫2000.2発行520円ISBN4-15-030631-1
70巻!度 ★\(⌒o⌒)/★
おめでとう!度 ☆\(⌒o⌒)/☆
残り30巻!度 ▲\(⌒o⌒)/▲
(堂々とネタバレあり)
 さて、70巻にして、おめでとうございまーすの、グインとシルヴィアの結婚式。もうこれでケイロニアは安泰、マリウスの問題が残ってはいるけど、ともかく国としては一番安心していられる心のオアシス。
 パロは次巻あたりからかなり激動となりそうだし、モンゴールはあんなんなっちゃったし…まあそれはそれで楽しみではあるけどね。
 ということで残り30冊。物語がどうまとまっていくのか、めちゃめちゃ楽しみである。これが全100巻でおさまるかどうかってのは、はっきり言うけど作者の腕の見せどころで、「おさまらなかった、ごめーん」で、そのあとに(爆)とかつけられたら、やっぱりこの作者はそれだけの人なんだなと思うんだろうなあ。期待を裏切らないでね>栗本さん、て感じだ。        [ 先頭へ ]