2000-NOVELS
APRIL

[ INDEX ]

1.ハッシャ・バイ…鴻上尚史
2.夜曲(ノクターン)――放火魔ツトムの優しい夜…横内謙介
3.月の砂漠をさばさばと…北村薫
4.ボーダーライン…真保裕一
5.ヨコハマB級ラビリンス…山崎洋子
6.プリズム…貫井徳郎

 
1.ハッシャ・バイ 鴻上尚史
白水社1996.1発行1456円ISBN4-560-03335-8
「ララバイまたは百年の子守唄」という舞台を観た。サブタイトルは「ハッシャ・バイより」で、どうやら昔第三舞台でやった「ハッシャ・バイ」の芝居がベースにあるようだ。
 ということで、読んだ戯曲なのだが、なるほど確かに「ララバイ」で観た劇中劇だわ。「ララバイ」は、夢と現実の境界みたいなものが目についたけど、こっちはもっと素直に子守歌という感じがする。でも少しわかりづらかったかな、名前が男1とか女1で感情移入しにくいからという理由もあるんだけど、ま、この辺は多分鴻上さんの計算でしょうね。        [ 先頭へ ]
2.夜曲(ノクターン)――放火魔ツトムの優しい夜 横内謙介
角川書店1988.8発行1300円ISBN4-04-876014-9
 こちらは3月に観てエラく感動した脚本家さんの以前の芝居の戯曲。「夜曲」と「きらら浮世伝」が入ってるけど、表題作の方は再演で実際に舞台でも観ているもの。でも、今回こうして読んでみると、実は「きらら浮世伝」の方がたいそう好みだった。江戸時代を舞台に、戯作とか浮世絵の世界を描いたものなんだけど、小説を描くことも絵を描くことも、つきつめてみればただ本人が好きだからやっているはずなのに、それが命を落とすことにつながったりするのが辛い。3月に感動した舞台とちょっと通じるところもあったし。しかもこの「きらら」って、中村勘九郎サマ主演で舞台になったとか…観たかった!        [ 先頭へ ]
3.月の砂漠をさばさばと 北村薫(絵・おーなり由子)
新潮社1999.8発行1400円ISBN4-10-406603-6
 ちょっと童話っぽいっていうんだろうか、おーなりさんの絵のこともあって、なかなかメルヘンな連作。お伽噺ってのとはちょっと違う、母と娘の日常生活にすぎないんだけど、その中の小さな発見みたいなものがいいな〜と思わず感心してしまうのだ。
 この母娘、綺麗な物語になりすぎちゃってるきらいはあるけど、それでも10年くらい経つとすごくいい親子になるんじゃないかな。10年後とか20年後の話も読んでみたい。        [ 先頭へ ]
4.ボーダーライン 真保裕一
双葉社1999.9発行1800円ISBN4-575-23376-5
 マイベスト真保裕一、1位は『奪取』なんだけど、2位はこの作品に決定。アメリカの話だとは思いもよらなかったんだけど、すごくうまい翻訳小説を読んでる感じがした。職業としての探偵の描き方も面白かった!
 さて、内容、人を殺せる人間と殺せない人間の差はいったいどこにあるのか。笑って人を殺せる人間と、それを追いかける探偵。はたして探偵は最後に人を殺すことができるのか。
 殺された探偵、殺人を犯した友人、失踪した恋人――唯一失踪した恋人のエピソードがなんか本筋とずれていた気はしたんだけど、それでもなかなかうまいし、一番うまいと感じたのはなんと言ってもタイトル。読了したあと、すごく響いてくるタイトルだった。絶品。        [ 先頭へ ]
5.ヨコハマB級ラビリンス 山崎洋子
集英社1998.11発行1700円ISBN4-08-774370-5
 山崎洋子さんの書く「ヨコハマ」がとても好きなのだが、この本は意外というか、ともあれ面白かったことには間違いないんだけど。
 短編集でどれも語り手が「相手」に向かって話しかける調子で進んでいくが、その辺の語り手と、見えない相手のやりとりみたいなものもよくて、楽しめた話だった。ちょっと面白かったり怖かったりいい話だったり、バラエティに富んでるしね。想像してたのとは全然違った内容だったけど、こういう違い具合ならそれでもいいと思う。楽しかった(^^)。        [ 先頭へ ]
6.プリズム 貫井徳郎
実業之日本社1999.10発行1600円ISBN4-408-53367-X
(ちょっとネタバレかもしれない)
 一人の女性教師の死をめぐっての4つの推理。
 個人的にはやっぱりすぱっと犯人がわかる小説ってのが好きなんだけど、ときどき読む分にはこういうのも面白い。あと、最初が子供の推理だったので、その辺から違う展開も予想してたんだけど、そちらは見事に外れた(笑)。
 あ、子供編と最後の話に出てくるしっかりした女の子は、某漫画の灰原哀ちゃんみたいな雰囲気で読んでしまった(笑)。ストレスがちょっとたまりそうな展開ではあったけど、まあ綺麗に終わってくれたからいいや、プラマイゼロってことで。貫井作品は、こういう構成に凝ったものってうまいよね。これはストレスたまるけど、でもオススメ度高し。        [ 先頭へ ]