2000-NOVELS
JUNE

[ INDEX ]

1.新宿鮫4 無間人形…大沢在昌
2.グイン・サーガ74 パロの苦悶…栗本薫
3.理由…宮部みゆき
4.美神…小池真理子
5.名探偵の掟…東野圭吾
6.不在証明崩壊(アリバイくずし)
7.なぎさボーイ…氷室冴子
8.多恵子ガール…氷室冴子
9.北里マドンナ…氷室冴子
10.嘘をもうひとつだけ…東野圭吾
11.朗読者…ベルンハルト・シュリンク

 
1.新宿鮫4 無間人形 大沢在昌
光文社文庫2000.5発行724円ISBN-4-334-72998-3
 入院中、病院の売店で買ったこの本。大して面白くもなさそうなラインナップの中で買ったこの本は、実は再読。鮫シリーズは全部読んでるのだ。
 で、そのシリーズ中、もっとも好きな話がこの「無間人形」。直木賞も取って、大沢さんにとっても代表作なんだろうが、これはいい〜。
 いわゆる基本に忠実という点では、上の「密告」と変わらない。やはり基本形は強いのだ。
 そしてクライマックスの、いわゆるヒーローが間一髪ヒロインを救うという場面は、ほんと、たまらない。新宿の街の雰囲気も相変わらずうまいし、もう大好き。        [ 先頭へ ]
2.グイン・サーガ74 パロの苦悶 栗本薫
ハヤカワ文庫2000.5発行520円ISBN4-15-030638-9
 …未だにこの話は100巻で終わることを信じているんだけど…私だけか?
 パロの反乱が前回から本格化して、変なモノが憑いてしまったレムスからパロ王家を取り戻すというナリスの試みが始まった。これはいわゆる物語のひとつの山場であることは間違いない。
 しかし、リンダもヴァレリウスもいなくて大丈夫なのかな〜って思った割には、意外と大丈夫らしい…でも、このまま素直にナリスが勝つのかはまた問題なのだけど。        [ 先頭へ ]
3.理由 宮部みゆき
朝日新聞社
 再読。このHPの1998年のベストを見て下さればわかるとおり、その年のベスト1に輝いております。
 なんで1位だったのか、それは今でもわかる。偽の家族を演じていた彼らはそれでも幸福だったのだろうか。本当の家族と偽物の家族、その差はどこにあるのだろうか、二年前に読んだときとはまた別の感想もちょっとあって、なかなか考えさせられた。本物の家族を捨てようとしていた少年が、はたして犯人の「彼」のようになったかは、やはりわからないけれども。
 そして、やはり、誰もが「彼」のように彼らを殺したかはわからないけれど。
 ともあれ、読んでから表紙を眺めると、やはり怖さ倍増の本なのだ。        [ 先頭へ ]
4.美神 小池真理子
講談社文庫2000.5発行495円ISBN4-06-264915-2
 ひとりの女性の成長を追いつつ、それを時期と語り手を変えていくという試みは面白い。色々な男性の目に映る彼女がこれまた魅力的なんだよね。しかも、本当に文章がうまいので主人公の魅力が淫靡さも含めて凄い伝わり具合なのだ。逸品。        [ 先頭へ ]
5.名探偵の掟 東野圭吾
講談社1996.2発行1553円ISBN4-06-207400-1
 最近再読が多いがこれもそう。東野氏の作品は「ミステリ」にあんまり興味がなかった頃のデビュー作からナニゲに読んでいるが、正当派というイメージが強かった。それが、今や「何が出てくるかわからない作家」というイメージになったのは、この作品がきっかけだった。
 ミステリ人気が沸騰している時期に発売された問題作。まさにこれは「問題」なんだけど、ただの読者にはバカバカ笑えるので、よしとすべし。実は2時間ドラマ編とか好きなんだけど、大変なのは、ミステリ作家かシリーズキャラクターか。どっちにしても、一般読者、無責任に笑うにはベスト。ミステリ中級者向け。        [ 先頭へ ]
6.不在証明崩壊(アリバイくずし)
角川文庫2000.5発行533円ISBN4-04-191303-9
 8人のミステリ作家のアンソロジー、で、当然アリバイくずしのネタばかりを読んだもの。有栖川さんとか山口さんとか加納さんとか、好きな作家も何人かいるんだけど、この辺りの方の作品はさすがにうまい。あ、でもこの中のひとりの作品は読んでいたよ。
 初読とか、あんまり読まない人の中では、浅黄さんとか、法月さんの作品も面白かった。もちろん、「これはいただけん」とか「らしすぎ」みたいな作品もあって、あんまり読まないアンソロジーだけど、ナニゲに面白いのだ。        [ 先頭へ ]
7.なぎさボーイ 氷室冴子
集英社コバルト文庫1984.9発行300円ISBN4-08-610689-2
 再読。昔だいっすきだった作品。氷室冴子はうまい。今読むとさすがに若気の至りみたいな書き方とか文章とかあるけど、それでも物語の組み方とかは、めちゃめちゃうまいのだった。
童顔のなぎさの中学高校時代を描いた作品で、続編ともども何度も読み返しているが、今読むと、なぎさてすっごくいい奴だな〜と思う。修子とのエピソードとか、泣けてくるくらいうまい。昔は北里ファンだった私だが、今はなぎさのキャラクターに惹かれる…でも、多恵子の立場だったら…辛いな〜、ってなことで、次につづく。        [ 先頭へ ]
8.多恵子ガール 氷室冴子
集英社コバルト文庫1985.1発行320円ISBN4-08-610719-8
 この中に好きな言葉がある。初読のとき(ちなみにこれ、初版で買ってます)からずっと好きだったんだけど。「一生懸命やったって、ちゃんとできなきゃ意味がない」というなぎさの台詞。すごいよ、これ。15年私の心で大きな意味を持っている言葉です。
「なぎさボーイ」は男の子のなぎさからみた視点、なぎさには一大決心でも、この本で女の子の多恵子から見ると全然的を外していたり、その辺が面白い。
そして最終章の「あなたについて考えている」のサブタイトルは、フレーズとして大好き。なぎさ編から見るとおせっかいで確かに修子みたいな子には厭な子だな〜と思う多恵子だけど、か〜、やっぱり可愛いや。こういう子になれたらいいね。そして、まだ続く。        [ 先頭へ ]
9.北里マドンナ 氷室冴子
集英社1988.11発行750円ISBN4-08-609001-5
 なんでこれだけ文庫じゃないんだろう。のち、文庫化もされたはずだがそのときは挿絵が渡辺多恵子さんじゃなかったので、そっちは買ってないんだけど。ちなみにこの前二作とハードカバー(か、これ?)は渡辺さんの表紙絵。バラ持った北里くんが二枚目っス。
 さて、なぎさと多恵子はある意味当事者で、それを見ていたいわゆる傍観者だった北里。でも彼は彼なりにやはり当事者なのであったという多恵子ガール後日談。なぎさは北里に、北里はなぎさにそれぞれコンプレックスがあるんだよね。北里の方が大変そうだけど、これはまだ大丈夫。
 あとがきで氷室さんが書いていたことに関するんだけど、なぎさとか北里とか、すっごく将来いい男になるんだろうな。青少年、悩め悩めって感じだし、あ〜自分もこんなんだったな〜とか今でもこんなんだな〜と思ったり。でもこの三部作、読んでるあいだ、古くささは全然感じず、とっても面白かった。幸せだった。        [ 先頭へ ]
10.嘘をもうひとつだけ 東野圭吾
講談社2000.4発行1600円ISBN4-06-210048-7
 加賀刑事御出演の短編集。でもまったく全然シリーズという感じではなくて、別物短編集という感じ。ただの短編に終わらずに、どれもすごいひねってあるのがさすがって思う。「犯人はこいつだ」って推理しても、実はさらに色々な面で裏をかかれるものばかり。
 ところで表題作、「嘘をもうひとつだけ」で、加賀刑事がバレエに少々感心がるんだと言ったのは、やっぱり「眠りの森」のためだろうか。「眠り」の大ファンだった私は、そちらの彼女とのその後も読みたいんだけど、無理かな〜。
 でも、ミステリ好きに、この正当派加減は気持のいい一冊。おすすめ。       [ 先頭へ ]
11.朗読者 ベルンハルト・シュリンク
新潮クレスト・ブックス2000.4発行1800円ISBN4-10-590018-8
 大ベストセラーとなっている。某テレビ番組で紹介されていたのを観た妹が書店注文してまで買った一冊で、確かにみんな書評家のみなさまが絶賛してらっしゃる。ほう〜、期待高まる。
 …そんな中で読んでみると、なるほど。という感想で終わってしまった(^^;。二度読んだら、もっとずっと面白くなるかもしれないな。世間で絶賛されているその良さはわかるというか、こういう部分がよかったんだろうなってのはあるんだけど、それは私の期待したツボからはずれていたのが惜しい。
 いい話、と言う言葉では勿体ないくらいのストーリィなんだけどね。
 だから多分、期待のさせすぎ。そして私の大いなる勘違いが敗因。だって…ミステリかと思ってたんだもん(爆)。
 この本については、他の方の感想もぜひ伺いたいところ。数年したら、もう一度読もう。       [ 先頭へ ]